駆け込んだ教会では、シスターメネットが待ち構えていた。
静かに佇むその姿にむしろ恐怖を感じるソヨンは、目を反らして頭を下げた。
「・・・その様子だとミナムから事情は聞いてるようですね」
そういうメネットだが実は、ソヨンは全くもって詳しい話は何も聞けていなかった。
ミナムの話は子供特有の言いたいことだけ言って他は知らないで片付けられただ、聞き出せたのはいつかのヒョンだよという言葉だけ。
ミナムとハリスが出会った経緯は聞いていたもののその時の会話までは知らない。
それでもそれが誰かを気付けたソヨンは、急いで帰ってきたのだ。
「あ、えっと・・・お客様が・・・」
「ええ、あなたにお客様がお待ちです」
待ってるという言葉に更に背中を流れるものに不快を感じていた。
ソヨンにとってシスターメネットは、母とも姉とも同然に育った人であり何でも話せるような間柄なだけに自分だけで抱えてきた事柄が待ってる人物がこの人を傷つけたのではないかという恐怖。
「あ、メネ・・・」
「驚かされるようなお話があるようですけど、内容は未だ聞いてません・・・貴女がいないところで聞かされるのは違うような気がしましたので」
院長様も同じ考えですと付け足された。
それを聞いたソヨンは、ほっとすると同時に覚悟を決めなくてはならないと思っていたのだった。