おとぎ話の始まりは、風刺であるとどれだけの人間が知見をもてるであろうか。
今に於いてそれらは娯楽の一端でしかなく、世に出た初め弾圧の惨殺の対象であったなど、どれだけ伽の夜話に権力者に面白おかしく聞かせられるかを競った女達の男達の涙の結晶であったなどと。
「つまりおとぎ話って怖いって事よ」
「それって歴史でもあるってことですよねぇ」
数日後に控えたアルバイトの依頼内容にはドレスコードがあった。
当然ソヨンにそれらを用意する術はなく、ナ・ソルジュンの指示通りナ・ソヨンを伴って街に繰り出した週末ソウルの市場はどこもかしこも賑やかしく久しぶりの外出にどちらのソヨンも年相応にはしゃぎまわり目移りも激しく指定されたお店に辿りついた頃には夕方になっていた。
「アジョシに怒られちゃうかなぁ」
「アボジは時間指定はしてなかったので問題ないです!ここへ行けって言っただけ!」
ドレスのフィッティングをされながらナ・ソヨンが微笑んだ。
「腕周りがもう少し動きやすい方が良いですね」
「そうですか!?とてもお似合いですのに」
「うーん立ってるだけならとっても素敵なドレスなのですけどぉ」
「給仕もされるのでしたかね」
「ええ、なのでスカートも少し短めにしてください」
落ち着いた色合いのピナフォァドレスを試着するナ・ソヨンは、エプロンは問題無いとしてドレスに細かな注文を付けている。
「お嬢様が給仕ねぇ・・・」
「あ、馬鹿にしちゃいけませんよ!アボジにそれならパーティ出ても良いって交渉に勝った結果ですから」
「前回みたいに黙って立ってアジョシのパートナーでも良いんじゃないのー」
「アッパのお仕事って難しいのですよー隣で聞いてると退屈極まりないんですからーそれに前回で凝りました!アボジのお仕事もっと近くで見たいと思ったけど凄い人なんだなぁって結局落ち込んだんですからー」
項垂れるナ・ソヨンの横でソヨンは、選んでもらったドレスに袖を通していた。
淡いピンクを基調にグラデーションを施されたドレスは、ソヨンの身体にとても美しくフィットしている。
「わぁソヨンssiやっぱり何を着てもチェゴです」
両手でサムズアップするナ・ソヨンの感想に苦笑を漏らしたソヨンは、これでとさらりと決定づけ靴を選ぶよう促された。
「そういえばおとぎ話だけどね・・・」
ナ・ソルジュンにされた告白と自分の告白と両親の事とナ・ソヨンに全てを聞いてほしいと話の続きを始めていたソヨンであった。
御伽噺の要素が入ってきちゃった気もしなくもないが・・・(^^;
ようあることだと開き直る( ´艸`)