異性を、誰かを欲しいと思った事など露ほども無いというのが彼の言い分だった。
無いのではなく必要無いというのがとても正しいにも関わらず。
齢まだ他国でいう成人年齢に達していなくともそういった行為を強要されるのは、身体は既に成人に達していると見られるのともう一つは義務であっただろう。
唯与えられた人と周りに仕えていた人々が良かった。
千夜一夜の寝物語。
三年の月日をかけ覚えた知識は、老齢の者達を打ち負かせるだけのものを彼の中に作り上げ。
たった一週間。
されど六泊という日を彼に与えた。
「神職になるとはまたとんだ脅しをしたものですね」
「王位と神職は紙一重だと俺に教えたのはお前だろう」
「占いによれば・・・ですよ」
「その占いによって俺は王位に縛られてるんだぞ」
「仕方がないじゃないですか!星が流れたのは事実!流れた先に貴方がいたんですから」
「俺の母の順位から行けば5番目くらいだっただろう」
「上位の母君達に男の子が出来なかったからですよ!大爺様に言わせると苦肉の策だった」
「ボケてから言われても俺には現在進行形だ」
「でも現実問題まれにみる統治っぷりで長が次代に欲しいと言ったそうですよ」
「うんざりだろ!それでなくとも自由も無いのに俺は単に好奇心を満たしたいだけだっ!」
一族郎党、血の繋がりがなくとも家族とするのはもはや古き良き時代の伝統でもあって、一つの血統を守り続けるこの家系はまた特別な意味を持っていた。
「長の所から優秀な女の一人でも連れてくれば良いんだよ!長には娘しかいないんだから時代はどうせ女になるんだぞ」
「長女次女とも優秀過ぎて容赦がないって話ですけどね」
「・・・長って幾つで子供作ったんだ!?」
「・・・・・・聞きます!?」
「・・・聞かない方が身の為か!?」
齢十五、三年をかけもぎ取った視察旅行へ出かける前の日の出来事だった。
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そして。
「一年かけてこの体たらく、いったい何しに出掛けて行ったんですか」
「仕方ないだろ!双子の片割れに出会ってしまったんだから」
「意味もなく話を聞いてる暇など貴方には無いんですよ」
「意味はあっただろ!コ・ミナムって子供の片割れだぞ」
「でも情報持ってるのはコ・ミナムですよね」
「情報ったってなぁ・・・子供の言い分だから本当かどうかはむしろお前の方が正確だろ」
「私の情報は正確に決まってるでしょ!裏から手を回してまでどうにかしたんですから!いっそ本人に聞くとかシスター達に聞いた方が早いんじゃないですか」
「偶然が良いって言ったのお前だろ!」
「レセプション迄に会いたいって言ったの貴方でしょ」
喧々諤々の言い合いにおろおろするばかりで仲裁も出来ない側近たちがこれっぽっちの意味も解らず主従を見つめていたのだった。
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