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loveYou're Beautiful❦Story it was based Korean drama "You're Beautiful" secondary creation.❧ Hope to see someday"You're Beautiful" of After that. Aliasすずらん──長い長い「物語」を続けております。貴方の癒しになれる一作品でもある事を願って。イジられキャラテギョンssi多(笑) 交差点second掲載中❦フォローしてね(^▽^) コメディ・ほのぼの路線を突っ走っています(*^▽^*)あまりシリアスは無いので、そちらがお好きな方は、『悪女』シリーズ等を気に入って頂けると嬉し。 『テギョンとミニョの子供・・・』という処からお話を始めオリキャラ満載でお届けしておりましたが、登場人物も交差し始め統一中。 長らくお付き合いいただいている方も初めましてな方もお好きな記事・作品等教えて頂けると嬉し(^v^) ご意見ご要望はこちら★すずらん★メッセージを送ってください。BM仕様限定のごくごく一部解除しました。 尚、当ブログ内の著作権は、管理者に帰属するものであり、転載・転用は固くお断り申しあげます。また画像等の著作権・肖像権は、発行元に帰属するものでありこちらも転載・転用は、ご遠慮願います。
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砂漠の導火線7~キスへの道程~

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雨────は降っていた。
ポツ、リポツ、リ。
やがてそれは、桶をひっくり返したほどの土砂降りになって覆布等なんの役にも立たない。
靴もせいぜい小さなゴミを避け傷を作らない為に無いよりましという程度。
瓦礫が押し寄せ車が家屋が流されているのを見た時は、流石に動きを止めた。
地が唸り砂が崩れる。
地平が空が歪む。
何百年に一度の大降雨。
微かばかりの雨でも洪水は起こるのに。
遠く滅多に降らない雨への警戒は薄すぎた。








────その日。
外交官ナ・ソルジュンは、齢小さな男の子に伴なわれとある遺構を訪れていた。
過去この地に於いては稀代の大規模災害に見舞われ土地が放棄されたのは前をゆく少年が生まれた頃であったろうに詳細も知らず僅かに啓かれ見聞きしただけの記録を頼りに殊更意地が透けた質問をする少年に一驚を吃していた。
「”雨こそ恵み”、とも言われますからね」
「一定の時期に決まって降る地ならば対策も出来ているという事・・・だろ!?」
見渡す地平に見上げる空は澄み渡るが安定のない地と呼ばれる砂上でテーブルに拡げられた住宅地図が揺れる。
目を引く青線は、降雨後の流道を記したもので雑多な書き込みは機知によるものだろう。
それを覗き込んで質問を重ねる少年の示した方角を見つめた。
「自然対策は一朝一夕には難しい・・・あれらを撤去するには膨大な費用が必要ですし、この地では風化を待つ方が早いという意見が大半です」
後方から別の声が割込んでいた。
それに嫌な顔一つせず頷いて見せるのもまた少年の矜持だろう。
それにしても。
「子供過ぎて不足でしょうか!?」
先程の声がソルジュンに向けられ瞳が鮮やかな笑みを彩った。
少年とその最も近しい側近。
友、遊び相手と訳知らず甘受していてもよい年頃であろうがその姿勢と距離感が身分という上下関係を二人の間に在り有り置いてこちらも十二分にその姿からまだまだ幼いと形容できた。
少年もその側近も一定の年相応の風情は持っている。
がしかし、侮ればこちらが喰われる。
特異な本当に特異なこの国独特の在り様に戸惑い因循に怒りさえ覚え。
そんな感覚はいつ以来であったか。
初めてこの国へ訪れたころを思えば心は見事に隠せるだけの年月も経て。
だからこそその質問への答は、目一杯の意地を込め精一杯極上の笑顔で師が諭すように返し本筋に触れた。
「さてどうでしょうね・・・水、資源というものはねいつでも争いの引き金です」
地図を指し示す指先に握ったペンをカチリと鳴らしたソルジュンが大きな丸を書き一際大きな居住域へ向けて少年が線を引いた。
「こ・・・の治水工事が原因だったと聞いた」
「利権が絡むとね欲を出す者も必ず出ます・・・始まりは小さくとも際限は見えなくなる」
その居住域は目前に大と広がる瓦礫であり描かれた線の元ではまばらに人がしゃがみ込み山の闇を覗き掻き分け擡げた首を振っては悲壮を浮かべながらも遠くを見やりまた何やら掘り出しを続けているのだ。
「ここだけで済むなら何の問題も無かったのですよ」
「だから放棄させたのか!?」
少年の言葉にしばし考え込んだソルジュンは、当時を思い返し、遅々として進まない工事に不信を抱いた本国の要請で赴任した仕事は果たしてその状況を把握した頃事件は、事故は起きたのだと瞑っていた目と口をゆっくり開いた。
「貴男のひいお爺様の判断と決断は早かったと聞いています、で、すが」
地域全てを非難させるには時があまりになさ過ぎたなどというそんな逡巡に少年があっさり細を穿ち。
「死者は帰って来ない」
その悔しさも同情も憐れみも当事者でさえも時と共に目を心を開かなければ波間の魚だ。
「それでも微かな希望を手放せない者も当然います。僅かな、爪の先程小さくとも痕跡に縋り頼り残ったものが欠片でもかき集めたいと願う人はね」
テーブルの端に置かれた黒い塊をソルジュンが撫で上げた。
ここへ呼ばれた何よりの理由を。
「貴男が見つけたと聞いてますよ・・・私をお呼びになったのも」
「ああ、けれどそれが正しいのか俺には未だに判らない・・・た、だ・・・」
少年の手にもまた一枚のフイルムが握られていた。
「貴男はまだまだお小さい。私にも同じくらいの娘がおりますがね・・・貴男ほどの知識は当然ないですし考えも持たないし持つこともないでしょう。貴男が特異に見られる印もこの国の伝統には違いない・・・でも、ね貴男も人です。囚われる必要はないのですよ」
「子供として扱うのだな」
「大人として扱われたいのですか!?貴男の傍には私と同じ考えの方もいるようですが」
「そ、うだな。俺は俺だ。見たいと思ったからここへ来た・・・知りたいと思ったから其方を呼んだ」
「因習は良いところも悪いところも持ち合わせます。貴男は貴男の考えで進めば良い」





────当時の日記のメモ程度でしかない綴りに対して記憶はあまりに鮮明だった。
少年は成年へ。
定時報告をした一年前、その行動は素早かったが、因習は監獄と同じだと言ったその通り僅か一週間の滞在しか許されなかった。
しかし今回は。
あの聡明な頭で練りに練ったであろう計画と確かな覚悟を持ってソルジュンの前に現れ。
『宿命も因果も・・・嵌る必要のない運命があってもこの手で壊して見せる・・・』
そう言ったあまりの力強さに娘への近況報告の最後にチェ・ソヨンに会いたい旨も書き添えていたのだった。





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