痛い、等と言おうものならどの面下げてそれを言いやがると無言の圧に押し負けそうで口が裂ける前に背筋を伸ばしてしまう。
それはもう出会った頃からの条件反射で誰かが遠くで呼ぶ声にさえ身を引き締めていた。
「うぅっ・・・ヒョンニムに見られたくない・・・」
それでも腰を擦り、腿を擦り、あげく踵を上げてちょこまか歩いているものだから冷蔵庫前に突っ立っていたミナムに上から下まで見下ろされ、肩を掴まれてしゃがまされた。
「っわンッパ・・・ったい」
「な、コ・ミニョお前駄目だろ！？」
「へぁっ！？」
何がダメかと聞く前にミニョが擦っている部位をあちこち撫で回し始めたミナムは、Tシャツを捲ろうとした手を叩かれた。
「オッパ、失礼です！」
「今更だけどな」
甲を擦ってポケットから白い塊を取り出したミナムが、得意げに笑った。
「湿布貼っとけ！臭い無いやつ探したからヒョンにも気付かれねえよ」
「わっありがとうございます」
「に、してもお前そんなへっぴり腰で良くヒョンの相手が務まるなぁ」
「んーん、ヒョンニムが勘を取り戻すだけって仰ってましたから私が下手でも問題ないんじゃないですかぁ」
ピリピリペリパリ、セロファンを剥していたミニョは、腰に貼ろうとして結局ミナムの手を借りている。
「ふーん・・・ヒョンの社交ダンスねぇ・・・」
「格好好いですよね！」
「・・・面々の楊貴妃な」
「ヒョンは男性です」
「虫よりましだろ」
にっこり微笑まれたミニョが肩を震わせた。
「おいコ・ミナムズ！早く飯をくれ」
「そーだよそーだよー早くしないと遅れるー」
バタバタ駆け込んできたシヌとジェルミが、手を洗ったり、食器を並べ始め、ミナムがミニョの腕を引き上げた。
「シヌひょんが寝坊なんて珍しくね！？」
「作曲してたら寝落ちしたんだよ」
双子と入れ替わり冷蔵庫を開けたシヌは、おかずを並べて椅子を引いた。
「ジェルミもお仕事なのですか！？」
「ほー！まだ時差ぼけなのにヒョンがカバーした分の借り返せって押し付けられたっ」
「テギョンは！？」
「もう車なかったですよ」
忙しく食事をするシヌとジェルミに給仕しながらミナムの仕事はと確認していたミニョだった。
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