帰宅は深夜になるとのメールを見て、それを覗き込んだミナムとジェルミのニンマリ顔にあちこち連れ回されたミニョは、ぐったりテギョンのベッドにダイビングをしていた。
「うー、オッパってばいつのまにかユ・ヘイssiも呼んでるなんてー」
ほんの小一時間前の一方的な打ち出し劇に不満たっぷりだ。
「大体オッパてば、調子が良すぎるのです!みあんとか言いながらずぇーったい謝ってないのですからー!!!」
それでも兄妹だからそこに全くこれっぽっちも気持ちが無い訳じゃないのを知っている。
口では何とでも言ってもヘイの冷たかった目が、ミニョに向けられる目が随分変わっているのを知っている。
それもこれもミナムのお陰であることを。
「オッパに心配ばっかりかけてる・・・のよね・・・私」
ひとしきりベッドでジタバタ手足を動かしていたミニョは、バッと顔を上げた。
「ヒョンニムが帰ってくるまでにお風呂!入らなくちゃ!!」
テギョンのクローゼットへ向かったミニョは、オニモツ的に置いてあるキャリーケースを引っ張り出し、タオルと着替えを持ってバスルームへ向かったのだった。
★★★★★☆☆☆★★★★★
「じゃぁ、もう大丈夫なの!?」
勝手知ったる素振りでミナムのベッドに腰を落ち着けていたヘイは、ケーキの箱を引寄せて中を覗いていた。
「大丈夫っていうか俺のチングが断ったんでシヌヒョンに来た仕事らしいから解決案探らせただけな」
「話題作り・・・か、良くある話ね」
且つて自分もテギョン相手にそんなことをしたなと思い浮かべたヘイは、想像を打ち消す様に頭の上で手を振った。
「んな悠長に構えてらんねーだろ!妙なスキャンダル起こそうなんてA.N.Jell完全復活の大事な時期なんだぞ」
ミニバーから取り出した酒をテーブルに並べ終えたミナムは、皿を一枚だけ出してヘイを手招いた。
「コ・ミニョのデビューもあるし・・・ね」
「そっちは会見とかするわけじゃねーし、ヌルッとヒョンが何とでもするんだろ」
ケーキの箱を覗き込んだミナムは、ヘイに選択を促して皿に移し残りを手元に引寄せた。
「ヌルッと・・・ね・・・」
ビリッと箱を破いたミナムにフォークを持ち上げたヘイが唖然としている。
「ねぇ、あんた、さ・・・ヌルッと結婚宣言したんですって!?」
酒とケーキと並べた画角に満面の笑みのミナムは、フォークを突き立てようとして眉間を寄せた。
「ま、さか、アボジにまで会ったとか言わないわよねっ!!!!」
「言わねーよっ!てか返せよ!」
「返さないわよ!四つもあるのに私に一つだけとか意地汚いわ!」
「スタイルの為に夜食わねえって言ったんだから守れよ!」
「カロリー無いなら食べるわよっ!」
ピーピーギャンギャン狭い部屋の中で追いかけっこを始めていたミナムとヘイだった。
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