絶叫から立ち直ったヘイが要求した水を慌てて給仕したミニョは、ミナムとリビングの床に座らされた。
「いーい良っく聞きなさいっ!年頃の男女は席を同じくするなって言われてるのよ!それも七歳よ七歳!七年男女不同席不共食って言葉を知らないのっ!双子だからってねー、世間一般の兄妹でも男女の部屋は別にするも・の・なのよ!」
戦々恐々肩を竦めるミニョの隣でヘイを一瞥したミナムはスリっと肩を寄せている。
「席ったってゴザだぜ、ござ・・・今なら座布団とかだ」
「ふぇっそうなのですか」
「布団なんてもんもなかった時代だぜ・・・ゴザ敷いて寝るとか寒そうだよなぁ」
「くっついてたら寒くないですよ」
コソッと耳打ちされたミニョもコソコソミナムにすり寄った。
「そうだよなー、俺達そうやってきたもんなー」
頷きかけたミニョの首が引っ込んだ。
「って!聞きなさいよっ!!」
「んっな何千年前の高級な礼節話されても俺達こうやって生きてきたんだから一般的な兄妹と違うからってあーだこーだ言われたかねーよ」
立ったまま見下ろしてくるヘイを遥かに見上げたミナムがミニョを抱き込んでいる。
「ジェルミにも同じこと言われたことあります」
「俺じゃねえってバレた後だろ・・・ヒョンとは別で良いの」
「間違い起こしそうだもん」
「ヒョンニムはそんな人じゃありませっ」
思い切った否定でヘイを見上げたミニョだが、また縮込まっている。
「どんな人よ・・・あぁでもそうねあいつ潔癖症過ぎてそういうこと出来ないのかも」
「あーそれっ一理あるなって事は結構安全牌!?」
「少なくともミナムより安全じゃない」
気色を削がれ呆れ顔で背中を向けたヘイはキッチンで水を注ぎ足して椅子に座った。
「何にもさせてくれねーくせにそういうこと言う!?」
「何しようとしてんのよ」
「そっりゃヘイが気持ち良い事に決まってんじゃん」
いそいそ浮かれ気味のミナムは、ヘイの隣で食事を再開し、ミニョは、真っ赤な顔で聞いていられないとばかりに階段へ足を向けている。
「あ、ちょっと待ちなさいよ!そ、れ、持っていきなさい」
きょとんと上目で振り返ったミニョは、ヘイの指差した袋を見つめている。
「ミナムに頼まれてたあなたの服よ!下着も入っているからサイズも確認しなさい」
「ブランド物の服ばっかり着せられてメンドクセェんだろ!綺麗な物着れるのも悪くねぇけど部屋着とか俺のを着回ししてんじゃん・・・お前に合わせて選んだからしまっとけ」
肩越しに話すミナムは、夢中で食事を続け、ミニョは、袋を一つ一つ覗き込んだ。
「ヒョンがくれた服も悪くねーけど普段着って感じじゃねーよなぁ・・・デートコーデしてるとしか思えねぇもんばっか買いやがって似合ってねぇ訳じゃねーけどちょっと違うっつーか・・・んな着るものまでヒョンに気ぃ使ってんじゃねえぞ!お前は、ヒョンの恋人だからここにいられるんじゃなくてコ・ミナムの妹なんだからもっと堂々としてろよー」
「オッ」
「あー泣くなら部屋に行けというかヒョンの部屋にしろ!ヒョンの部屋で見ろ!」
捲し立て追い立てる様に手を振ったミナムは、ゴソゴソ袋を持ち上げる音を聞きながらニンマリ笑い、チョコッと頭を下げたミニョは、階段を昇って行った。
「良いお兄ちゃんよね」
ミニョの足音が消えた途端ヘイがミナムにすり寄っている。
「そうだろ!だから同衾くらい許して」
「添い寝くらいならね」
軽い会話を交わしながらヘイもミナムも眉間を寄せた。
「「どっち!?」の!?」
揃った声に顔も見合わせ首を傾げていたのだった。
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