向けられたカメラと雑誌のインタビュアーを前に欠伸を噛み殺したミナムは、失笑を漏らすスタッフに苦笑いをした。
「ミアネー、昨夜ちょっと頑張り過ぎたわ!載せないでね」
念押しを意味深だと返されるのを承知で軽口を弾ませた。
「交際宣言されないんですか!?」
────やっぱりくるよな。
「したいんですけど、ぜーんぜん俺の片思いなんですよねー」
「まあたまたー両想いだって皆言ってますよー、本人も悪い気はしてないみたいですけど・・・」
手を立ててコソリと小声で返されるのは、ユ・ヘイもここにいるからだ。
「そうなんですよねー、で、どうやったら進展できますかね」
同性の軽口ならこれも許されるとばかりに恋愛相談を始めたミナムは、ヘイに睨まれた。
「話題にしたいとこですけどね、ソロデビュー以来初のツアーを始めると聞いているのでそちらのお話をしてください」
「あは、良いですよ!でもA.N.Jell抜けるとユ・ヘイssiに頼りきりなので、あんまり変わらないですよね」
「はは、そうかもしれませんね!で、最初のPVと比べると大分印象が・・・」
ミニョを撮った初のプロモーションビデオは、まだ残っている。
出来うる限り回収させたが全てではない。
ミナムとミニョと見分けは付かないと高を括れるのは、ミナムが、折に着け奔走しているからだと誰が知っているだろう。
────こいつも持ってるんだっけ。
質問に答えながら今の自分に向けられる目がデビューが近いミニョに向かったら耐えられるのかと心配していた。
────度胸はあるんだけど肝心なとこで動揺するんだよなあいつ。
────俺みたいにはぐらかすって出来ねぇからなぁ。
────あーあヒョンってば、解ってんのかねぇどう守るつもりだ。
────シヌヒョンも何考えてっかイマイチ解っんねぇし・・・不気味。
────あーでもそっちはヌナに任せとけば何とかなるかっ。
「・・・で、新しいプロモもユ・ヘイssiとの共演を望まれたって事ですが」
「ええそうなんです!キャスティング色々考えたんですけどイメージ出来なくて」
「ヘイssiは、すぐに浮かんだと!?」
「国民の妖精じゃないですか!だ・・・とこれ以上はネタばれになっちゃうんで今は止めときます!是非プロモ見てください!」
「うーん、後数日は焦らされなきゃいけない訳ですね」
「ええ、ティーザー(小出し広告)絶賛公開中ですから是非そちらを!」
とびきりの笑顔と視線をカメラマンに向けたミナムは、締め括ると言ったインタビュアーにヘイとのツーショット写真を提案した。
「え、良いんですか!?ヘイssi・・・今日予定外ですけど・・・」
「事務所の許可は取ってありますから掲載していただいても大丈夫です!私も話題にして頂けたら嬉しいですよ」
ミナムの手招きに萎らしく頭を下げたヘイもとびきりの顔をあげた。
「公式ショットですね」
カメラを見据えながら痛い顔をしたミナムは、抱き寄せたヘイに同じ顔をさせていたのだった。
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