運転席から見える景色は、どう違うんだろう。
あ、でもこちら側の席の車もあるから。
そんな事を考えながらテギョンを見つめ、免許取ろうかなんて考えながら教えて貰うなら速攻でミナム、を頭に浮かべたミニョは、直ぐに疑問符も浮かべて手を振っていた。
「何やってるんだ!?」
見惚れていたのかと聞いてやりたいところだが、なんともいえない半笑いのミニョをろくでもないこと考えてるなと結論付けるテギョンは、憐れみの籠った目で運転を続けた。
「ったく、今度は何だ!?」
「な・・・にって・・・何がですか!?」
ギロンと鋭く動く瞳には弱い。
何もしてないのに何かした気持ちになるのは、ひとえに惚れた弱みも含まれて。
「なっ、何もしてませによー」
噛んだ。
やましいことは全くもってないのに疚しさを感じるミニョは、何をしたんだろうとあれこれ思い浮かべるが、そんなもの思いつくわけもない。
膝上の紙袋を漁り始めた。
「あ、なんか色々頂いたんです!えっと、順番に使ってくださいと言われて・・・」
スケジュール表と一緒に渡された紙には、化粧品の使い方が細かに書かれ、最後に一言手書きが添えられていた。
「一か月後には甘いお菓子が召し上が・・・れ・・・ます!?・・・」
疑問符いっぱいに読み上げるミニョの横でテギョンが吹いた。
ついでにクラクションも鳴らして慌てるテギョンは、急ブレーキでハンドルを切った。
「はりヒョンニム!?どうしたのですかぁ!?」
ミニョは、袋漁りを続けている。
路肩で止まった理由を聞くが、然して気にはしていない。
「っと・・・に・・・俺を殺・・・す気か・・・」
「危ないですねー事故になっちゃいますよー」
目を据わらせたテギョンは、シートベルトを外し隣に寄った。
「お前だ、お前っ!事故起こしてんのは、おっ前なんだよっ!」
あまりの形相に一瞬怯んだミニョだが、返答はいつも通りだ。
「どこも怪我してません」
「あーそうか良かったな!!巻き込まれる方が重傷でっ俺の運転が上手いからだっ!」
「何怒っているのですかぁ!?」
助手席のヘッドセットを掴んだ手を震わせたテギョンは、がっくり項垂れた。
「呆れてるだけ・・・」
「飽きたのですか・・・えっと、じゃぁ・・・」
「あー、もう、妙な事考えるな!聞くなっ!喋るな!!」
怒涛の言葉と裏腹な柔らかい触れ合いに目を見開いたミニョは、離れる顔を見つめながら唇に触れ、俯いた。
「街・・・中です」
「知るかっ!人目なんか気にしてたらお前またどっかに行っちまうだろっ!」
シートベルトを締め直し、ハンドルを握り直したテギョンは、車を発進させ、未だそこに触れたままのミニョは、頬に手を当てた。
「ヒョンの傍にいます」
「あーそうしてくれ!いくらでもニヤつかせてやるから」
緩みまくる頬を更に押さえつけなければならないミニョを鼻で笑いながらテギョンも頬も引き締めていたのだった。
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