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loveYou're Beautiful❦Story it was based Korean drama "You're Beautiful" secondary creation.❧ Hope to see someday"You're Beautiful" of After that. Aliasすずらん──長い長い「物語」を続けております。貴方の癒しになれる一作品でもある事を願って。イジられキャラテギョンssi多(笑) 交差点second掲載中❦フォローしてね(^▽^) コメディ・ほのぼの路線を突っ走っています(*^▽^*)あまりシリアスは無いので、そちらがお好きな方は、『悪女』シリーズ等を気に入って頂けると嬉し。 『テギョンとミニョの子供・・・』という処からお話を始めオリキャラ満載でお届けしておりましたが、登場人物も交差し始め統一中。 長らくお付き合いいただいている方も初めましてな方もお好きな記事・作品等教えて頂けると嬉し(^v^) ご意見ご要望はこちら★すずらん★メッセージを送ってください。BM仕様限定のごくごく一部解除しました。 尚、当ブログ内の著作権は、管理者に帰属するものであり、転載・転用は固くお断り申しあげます。また画像等の著作権・肖像権は、発行元に帰属するものでありこちらも転載・転用は、ご遠慮願います。
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月と星の交差点─thirdstage─dance with waltz─(11)

★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★


どんより流れる雲とグレーの空をぼんやり眺めていたジェルミは、近づいて来る足音に気づいた途端キャリーケースから腰をあげ大仰に両手を振っていた。
「ヌナっここっここだよっ」
微かな駆け足で伸ばされた手をどちらともなく引き合いハグを交わすソヨンを見上げ、もう一度抱きついた。
「相変わらずでっかいなぁ」
「相変わらずは余計よ!ドレスアップして来いってリクエストだったから、ヒールは外せないでしょ!」
ワンピースの裾から見えるスラリと長い脛と踵をあげて見せるソヨンに苦笑したジェルミは、肘を折り曲げた。
「では、エスコートさせていただきます!」
「して頂きますわ!王子様」
満面の笑を返したソヨンがジェルミの差し出した腕を取っている。
「ヌナさぁ最近こっちの社交界で結構有名人なんだってね」
近況イギリス滞在をしているソヨンは、元婚家の些事に通訳として同行していて、その様子を訊ねるジェルミもまたその些事の一環で呼び戻されたのだ。
断ることも出来た。
仕事を理由に。
現にここ数年、余程の事由がない限り実家へ帰ろう等とは、露程も考えなかった。
世界中を飛び回っている両親は、韓国を訪れることもある。
近隣国に滞在している事も。
会おうと思えばいつでも会える。
それでも社交のシーズンは、イギリスにいて、小さな頃からそんな両親を見て育っているからイギリスと韓国が、遠いと知っていてもホームシックという寂しさの経験はないのがジェルミだ。
「そんな事ないわ!連れが連れだから珍しがられてるだけよ」
ソヨンは、どうなんだろう。
ジアは。
そんな事を考えながら石畳を闊歩するジェルミは、振り向けた話題でソヨンと世間話を続けた。
「でもさアッパが連れて来いっていうくらいだからやっぱり凄いと思うよ」
「自分で自分を評価するって何でも難しいから嬉しいわ、傲慢と委縮の繰り返しだしね」
「アッパは、滅多に人褒めないから信用出来ると思うけどねぇ・・・」
「世界的に活躍してる写真家よ!私なんて足元にも及ばないわ!人物撮らせたらもの凄い人なんだからね」
「変人だけどねぇ」
「一流モデルを撮り続けてるだけでも大変よ」
「俺には良くわっかんないんだよなぁ・・・アッパの作品を凄いって思う事も少ないな」
「近すぎて見えないものもあるからねぇ」
ハッタと歩みを止めたジェルミが、ソヨンを見あげた。
見つめて見られて、深い溜息を吐いて肩を落としていくジェルミを見下ろすソヨンはゆっくり首を傾げた。
「・・・近っすぎてさぁ・・・俺って何も見えてないと思うぅ!?」
項垂れた肩をグッと上げながら顔も近づけるジェルミ。
微動だにしないソヨン。
しないが視線をゆっくり逸らした。
「あ、は・・・はは向こうで何か・・・あった・・・ね」
「イタリアの時もそうだったんだけどさぁ・・・ヒョン達やっぱり変・・・なんだよね」
促し歩みを再開したジェルミは、微かな苛立ちをキャリーケースを引く手に込める。
これをぶつける相手は違う。
そもそもぶつけて何かが変わるのを恐れてもいた。
蚊帳の外とまでは言わないが、自分の気持ちとシヌの気持ちと切り替え方なんて人それぞれで、スキャンダル騒動の頃の出来事を聞くにつけ、自分がシヌの立場だったらどうだったろうかと考えた。
考えて考えて。
自分ならミニョを説得して、テギョンの元に引っ張って行くと結論付けた。
一度始めた恋。
数日で終わった恋。
でも。
でもバスの中で泣きながら歌ってる自分の前でミニョも泣いてた。
泣いてる自分に胸を痛めてくれた。
ものの数分で諦めるなんて出来なかったけど、気持ちを切り替えた自分に笑ってくれたミニョと繋いだ手の温もりを記憶した。
それで良かった。
だから我慢した。
我慢して、我慢して、母の送ってきた写真付きメールに飛びつき、喰いついた。
「ヌナなら何とかしてくれるかもって思ったんだ!」
事情通な相談相手がいるじゃないかと。
ミナムとだって相談をしない訳じゃない。
ただ、いつの間にかはぐらかされる。
「ミナムも当事者みたいなものだし、俺よりかなーり頭良いでしょ!だから知っててもしらばっくれちゃってさ・・・」
「私・・・はねぇ十分手を尽くしたと思ってるんだけど・・・」
「えーそんな事ないよー、シヌヒョン変わっちゃったのヌナにも責任あるんでしょうっ」
今度はソヨンが足を止めた。
止めて髪を梳き上げようとした手も止めた。
「君っ、はさー、解ってるのか判ってないのか分からないこよね・・・」
「ヌナがシヌヒョンに何かアドバイスしたんでしょ!?」
丁度良く目的地である建屋のその前でジェルミは、古ぼけた壁を見上げ遠くの鐘の音を耳に溜息を吐いているソヨンの言葉を待った。
「あー、あ、もっ、ね、誰の味方にもなってやるつもりはないんだけどなぁ・・・・・・折角手に入れたものなら離すなってアドバイスくらいするわよ」
「じゃぁ、俺!俺には!?俺になら何言ってくれる!?」
「・・・何を言ってほしいの!?」
「とりあえず美味しいお酒ご馳走して!」
「何言ってんの!どっちかっていうとホストは君でしょう!ホームグラウンドの案内くらいしなさいっ」
止めていた手の中のクラッチバッグを開いたソヨンが鏡を取り出す間にジェルミは、携帯で短いメールを打ち込み呼び鈴を押した。
「観光ならいつでもっ!あ、でも一週間しかないんだよね」
「スケジュール詰まり過ぎの一週間よね・・・あー、アフリカに帰りたい」
「えー砂漠じゃないんだー」
「あそこの風は、冷たすぎるのよっ」
「え、でもなら、冷風に曝されちゃう!?」
パチンと閉じたバッグを持ち直し、ガチャリと開いたドアの向こうへ促したジェルミの手の先にジアの顔を見つけてソヨンが目を見開いた。
「え、なん・・・」
「スハに送って貰いました」
数か月振りの再会がお礼だと言いかけたジェルミの頬にとびきりのキスマークが、投げつけられたのだった。





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