写真。
何の変哲もない。
カップルの。
ミナムとヘイの。
それのどこかに意味を見い出せというならば、撮影者だろうか。
雑誌社の名前でも良い。
こんな仕事をしている以上、半公人という立場は、嫌でもついて回る。
プライベートも売り物にしていると言われればそうでもあるだろう。
ただ、譲れない譲りたくない聖域が存在するのもまた事実。
あえて見せる。
あえて見せない。
それもまた自分達を売り込む為と批難を避けるための戦略であって、この一年余りその戦略を他でもないテギョンとミニョの為に使ってきたのは、ミナムとヘイだ。
下火になったスキャンダル。
火は、限りなく消えた筈だ。
火種は、他所へ移して蓋をした。
再燃はあり得ない。
「オッパとヘイssiですよね!?」
黙って写真を見ていたテギョンをミナムもまた何を言うでもなく見ていた。
「デートですか!?あ、また撮られちゃったとか!?」
ミニョが持ち上げた写真をテギョンも覗き込んだ。
「撮られてるんじゃなくて撮らせてるのよ」
「いつもの宣材だろ」
「ああ、そのつもりだったんだよ!けど、そいつ!」
そいつとミナムの指摘にテギョンの視点が下がっていった。
「そいつかなり汚いゴシップ誌の記者やってんだけど・・・」
「・・・追いかけてる奴が問題なのよ」
ミナムの言葉をヘイが攫った。
記者が問題なのではなく、ターゲットが問題。
写っているのはミナムとヘイだ。
曲がる首に察しが悪いとミナムが床を叩いていた。
「だからー!ヒョンだよヒョン!!シヌヒョンの事を聞かれたっのっ!!」
「相手のこともね」
大小の興奮を纏うミナムに比べヘイは冷静だ。
むしろ余所事。
どうでも良いという態度で伸ばした指先を眺めた。
「その記者にカン・シヌの最近頻繁になった夜遊びは、ファン・テギョンの恋人が原因なんじゃないかって聞かれたのよ」
「なっ・・・にっ」
「その恋人ってミナムの良く知ってる人ですよねっ・・・て」
張り詰めるテギョンの手から落ちた紙を拾い上げたミニョが、ミナムとヘイを泳がせた目で見つめていたのだった。
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