部屋を見回すヘイの両肩を押し込んだミナムは、テギョンの作業机の椅子に座らせ、窓に近寄っていった。
薄いカーテンが揺れる窓をガラリと大きく開け放って暫く、屋上を見上げていた顔をこちらに向けて窓と鍵をきっちり閉めカーテンも引き直していた。
「ったく、電話くらい出ろよな!」
頭を掻いて吐き捨てたミナムは、甲斐甲斐しくもテギョンの脱ぎかけのジャケットに手を掛けているミニョを見止めて大慌てで駆け寄って来た。
「何やってんの!?」
「ほぁっ!?着・・・替え」
「っんなことやらなくて良いんだよっ!お前は新妻かっ!」
ミニョの手からジャケットが掻っ攫われた。
きょとんとするミニョとテギョンの間に割って入ったミナムは、手首のボタンを外している涼しい顔を見上げた。
「ヒョンもヒョンだ!こんな事をミニョにさせてんのかよっ」
「・・・お前がさせてたんじゃないのか!?気にした事なかったぞ」
袖を捲りあげたテギョンは、微笑みながらバスルームへ向かい、はぐらかされた感の中の皮肉をたっぷり手元を眺めて確認したミナムは、ジャケットをベッドへ投げつけた。
「気にしろっ!」
「随分・・・図々しくなったものね・・・」
ヘイの一言を余計だとばかりに睨みつけミニョに向き直った。
「座れ」
床にドッカリ片膝で座り込んだミナムは、もたもた座るミニョの腕を引いて詰め寄った。
「良いかコ・ミニョ、良く聞けよ!交際は認める!でもな妻になるのはまだだっ!」
「なっなりませんよー」
「ヒョンはそう思ってないだろ」
ミナムと合わせた目を椅子に座るヘイに向けたミニョは、顔を挟まれグイっと引っ張られた。
「俺とヘイは良いのっ!」
「妻になる気なんかないしまだ付き合ってもいないからね」
指先を眺め、徐にバックを漁ったヘイは、手鏡を手元に置いてネイル道具を並べ始めた。
「おいっ嘘つき妖精!俺の部屋で何勝手な事してんだよっ」
首にタオル姿で戻って来たテギョンは、髪からも水滴を落しながら顔を拭いていた。
「うるさいわね、どこで何しようと私の勝手でしょ」
コットンにリムーバーを振りかけるヘイは、どこ吹く風で大きな舌打ちも聞き流した。
「っ・・・・・・・・・お前等、何しに来たんだ」
ミニョの背後に立ち双子の頭を見下ろしていたテギョンは、漸く思い出したとばかりにミナム達がここに居る違和感を唱え、対したミナムとヘイも顔を見合わせた。
「こ、れよ」
爪の手入れを始めてしまったヘイは、ミナムにバッグを開けるよう指示し、小さな舌打ちをしたミナムは、乱暴にバッグを開けて小さく折り畳まれた紙を拡げ急いた様子で床に叩きつけていたのだった。
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