リンの呼び声に手を振るミナムに倣って後ろを見たジェルミは、額に手をあて凝らした目を極限まで細めた。
「あ、れ、今年のテーマ!?」
「解っりやすいなぁ・・・アリスだぜ・・・」
リンの後方を見るミナムは、ミニョの姿を捉えて呆れ顔で片目を閉じている。
「どうなってんのアレ!?シルクハットだよね!?」
「ヒョンとミニョは、見たままだよな・・・じゃぁ、あれ・・・」
「ウサギ・・・」
「帽子から覗くウサギか」
ドーンとミナムに体当たりしたリンは、抱き上げられククッと笑った。
「あったり―!!ウサギも作って貰った!」
肩回りのフードを引っ張ったリンは、すっぽり顔に被せている。
「テジトッキはどうしたんだよ!?」
「いるよーオンマのエプロンの紐!とここ!」
ウサギの耳を引っ張ったリンは、張り付く豚ウサギを見せた。
「へぇー、髪飾りみたいに付いてるのか」
「アッパにも付いてる―」
指を差し向けたリンは、テギョンの胸ポケットを引っ張っている。
「ハンカチーフの代わりか・・・」
「・・・何で逆さま!?」
ミニョを手招いて隣に座らせたジェルミが、首を傾げた。
「トンネルに入るのは、頭からなんだと」
辺りを見回したテギョンは、ミナムを呼んでいる。
「ソ・ジュノは!?」
「いるよ、あそこのキッチンカー」
「・・・挨拶してくる」
カツンと石畳を踏むテギョンは、ハットを脱いでサングラスを掛け、行ってしまったテギョンの背中を見ていたジェルミが、ミニョの袖を引いた。
「ねぇねぇミニョあれどうやって着せたの!?」
「普通に着てましたよ!?」
「ヒョンがあんなのOKしたのー!?」
「仕事だと言い聞かせてましたけど」
ストンとリンを下ろしたミナムも椅子を引いている。
「お前等出演しないんだろ!?」
「出ませんよ!リンだけです!」
フードをあげたリンが、演奏が行われているステージに向かって駆け出した。
「そういえばシヌヒョンは!?今日来ないの!?」
ジェルミの一声にミナムとミニョが顔を見合わせている。
「来・・・てるだろ」
きょとんとしながらミナムがステージを指差した。
「あそこでもう二時間スペードのサポートしっ放しだぞ・・・」
「え!?ぇええええあれシヌヒョンなのーっ!?」
ガタッガタンッと大きく椅子を揺らして転げたジェルミを心配そうにしながら笑って助け起こしたミニョとミナムの向こう側でテギョンも笑っていたのだった。