パタンバタンのドアの開閉音に楽しそうに口角をあげたリンは、スヤスヤ寝息をたてながらミニョの首を締めていた。
「ね、オッパ作曲するのですかぁ!?」
運転席から回り込んだテギョンにリンを渡したミニョは、投げ渡された鍵を手に後を追いかけている。
「いつもしてる事だ!?仕事だからな・・・」
「そういうことを聞いているのじゃありませんよー」
追いかけ追い越して玄関を開けた。
「知ってる・・・けど答えない」
「えー、意地わー・・・」
「お前の撮影が終わったら・・・だ」
「時間とか関係ない癖に・・・」
「そういう仕事だからな」
クスリと笑いリンを抱え直すテギョンは、鍵を刺して振り返るミニョを急かして顎をあげている。
「枠に嵌る仕事もあれば嵌らない仕事もある・・・ユジンは出産を向こうでするって決めてるみたいだが、子育てはこっちでするつもりなんだろうな・・・その為の地固めだ」
頬を膨らましたミニョが、上目で開けた扉を抑えテギョンを促した。
「なんだよ」
真っ直ぐ寝室を目指し、追い抜くミニョのやんわりあがる口角を横目に捉えたテギョンの目が鋭くなっている。
「オッパが進んでユジンssiの仕事引き受けてくれて嬉しいなぁって」
「・・・・・・・・・のなぁ今日だってなんとなくあいつのペースで振り回されてるだろ!引き受けなきゃアボジや爺使って何するか分からないんだよあの小娘!根っからのお嬢様育ちなんだぞ!ユンギも良くあんな奴と結婚したものだと思っていたが・・・・・・条件付きだったとはな・・・」
リンをベッドに寝かせたテギョンは、思案顔で暫く寝顔を見つめ、徐に飾ってあるぬいぐるみを腕に押し込んで踵を返した。
「でもねぇユジンssiもユンギssiも幸せそうですよぉ」
「あのふたりの間はどうでも良い事なンッ・・・」
電気を消し、壁に背中をくっつけていたミニョを見下ろしたテギョンは、ぎょっとして両目を見開いている。
「・・・久しぶりにふたりきり!?」
スットンと下ろした踵を所在無げに持ち上げ俯いたままのミニョが、首を竦めた。
「え、えぇと・・・ま、ぁ・・・そ、うですね・・・」
「疲れてる!?」
入れ替えられた体でまた壁に背中を引っ付けたミニョは、テギョンのシャツを掴んでそろりと目をあげている。
「聞くのですかぁ・・・」
「聞かなきゃ怒るだろ!?」
クスクス笑うテギョンがミニョの肩に額を落とした。
「どこでする!?」
肩越しに合う目を逸らしたミニョがテギョンを押し退けて失敗している。
「しっ、りませんっ!」
「リンの近くはまずいからなぁ・・・上に行くか」
するりと背中に回る腕に慄きながらミニョがテギョンを見上げた。
「・・・オッパのスケベ」
「お前が誘ったんだろ!そ・・・れにお前にしか感じないから安心してろ」
ニヤリと頬をあげ腰を落として膝を攫ったテギョンは、慌ててしがみ付くミニョに拳を振り下ろされ片目で睨みつけている。
「そういう事を言ってるんじゃありませんよー」
「じゃぁ、黙ってろ・・・」
又候ぎょっとしながらテギョンの首筋を撫で擦るミニョは、傾く顔に腕を巻きつけていたのだった。
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