「ね、アッパー、これどうやるの!?」
玩具を持ってテギョンの前に立ったリンは、受け取ってくれたものの真剣には取り組んでいないテギョンの脛を叩いていた。
「いっ・・・」
「アッパ!オンマの事見過ぎ!穴が開いちゃいますよー」
両眼の周りに丸を作ってきゃはと笑う顔を一瞥したテギョンは、リンを抱き上げている。
「見てないと何しでかすか判らないのがお前のオンマなんだよ!」
「オンマも子供じゃないもん」
「お前も大人じゃないな」
「アッパも子供みたいでしょ」
テギョンの手の中でくるくる回る玩具を見つめたリンは、カシャンという音に口角をあげた。
「わっ、外れたっ」
「っと、いうか、お前、こんな場所で音がする物は駄目だろ」
「スタッフさんがくれたんだもん!本番って言ったら触っちゃダメって言われたよー」
外れた玩具を元に戻したリンは、テギョンの手を見ている。
「ね、アッパ、何見てるの!?」
「ああ、ミナムが何かしたらしい・・・さっき事務所から電話があってな・・・」
タブレットをリンの膝に乗せたテギョンが、画面をスライドさせた。
「ヘイおばちゃんの鬼退治!?」
「ぁあ!?」
「ジュノヒョンと内緒話してたもん・・・おばちゃんには内緒だって言ってた」
「・・・昨夜!?」
「う・・・ん、それでジュノヒョンが、ユンギヒョンと・・・」
テギョンの手を払ったリンがスライドさせている。
「何でそこにユンギが出て来るんだよ」
眉間を寄せながらリンの髪を撫でるテギョンは、視線を撮影現場に戻した。
「ミナムお迎えに来なかったもん!ジュノヒョンが、ユソンハルモニの代わりに来た」
「ほー、それでユンギと何かあったのか!?」
「知らなーい、けど、ユンギヒョンお仕事モードだった」
「はぁ!?あいつはいつでも仕事中だろ!?」
「違っうもーん!僕達とプロムナードのお話してたんだもん!社長さんしてる時のユンギヒョンもっと怖い顔してるもん」
ミニョを見ているテギョンは、ふっと頬を緩ませたが、すぐに仰け反った。
「ね、アッパこれ買って!」
リンが持ち上げたタブレットの近さに目を瞠り遠ざけている。
「ミニカーなんて家に沢山あるだろ」
「これ、ジュノヒョンの車!アッパのよりカッコよかった!」
「車なんてそいつの趣味で内も外も変えるんだからミニカーじゃ同じにはならないだろ・・・」
「だからこれっ!組み立てられるやつ!」
また近づいたタブレットをテギョンが持ち替えた。
「組み立てるのか!?」
組み立てキットを細かく眺めるテギョンは、振り返ったリンと目を合わせている。
「散らかさないと約束出来るのか!?」
「うーん・・・・・・っとオンマの衣装ケースの中で遊ぶ!」
両手を挙げ為(し)たり顔のリンをテギョンが鼻で笑った。
「譜面みたいに散らかしても部品ひとつ失くしたら探すのも大変なのに・・・」
「アッパそういうの作った事あるのー!?」
膝で立ち上がったリンは、テギョンと向き合って座り直している。
「まぁ・・・一応な・・・」
「へぇー、アッパってこういうの嫌いだと思ってた」
向かい合ってタブレットを覗き始めた。
「お前は好きだよな・・・コ・ミニョも壊れたピンくっつけたり・・・」
「アッパが拾って持ってたんでしょ!ジェルミとミナムが話してたけど幾らなんでもそう都合よくゴミにならないなんて考えれないって」
「必要なものは、必要な人の元に、いずれも手にする時は来るんだよ」
ニヤリと笑うリンにテギョンもニンマリ笑っている。
「失くしたものに執着するのも同じだ」
「諦められない時ってあるでしょ!?」
「諦めた頃に戻って来ることもあるだろ」
「そういう時って幸せだよねー」
タブレットをテーブルに置いたテギョンは、リンを抱え直した。
「ああ・・・」
スタッフの休憩の声に立ち上がっている。
「ああ、そうだな・・・諦めなくて良かった・・・今またこうしたあいつの姿が見られるのは・・・・・・良い気分だ」
駆け寄って来るミニョに抱き付かれ、リンにキスした顔にキスを落していたのだった。
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