「あ・・・のー」
遠慮がちに口を開いたユソンを見下ろしたジュノは、腰を折っていた。
「ん!?どうした!?」
至近距離の顔に後ずさったユソンは、リンにぶつかっている。
「あ、ごめ・・・」
「ユソンヒョンと初めましてじゃないの!?ジュノヒョン」
繋いだ手をユソンの顔に向けたリンの横で何度も頷く頭を見たジュノは、笑って背筋を伸ばした。
「ああ、そのこと・・・」
「だっーってー僕を迎えに来たんじゃないんでしょー!僕のお迎えミナムが来る筈だけどユソンハルモニがここに来るからヒジュハラボジの家で待ってろって言われたよー」
「そ、そう僕も一緒って・・・」
ポーンとエレベーターが開くと先に出たジュノが扉を抑えて振り返っている。
「そのハルモニに頼まれたからだよ」
警備員にIDカードを見せたジュノは礼を言ってふたりを促した。
「ここってセキュリティが厳しいから第三者は絶対、中に入れてくれないって有名なんだぜ!そんな場所のカフェを見れるチャンスを頂いたから喜んで来たんだ」
「ハルモニとお友達なのー!?」
キーケースを取り出したジュノが、路駐された車を指差し、リンとユソンは顔を見合わせている。
「最近知り合ったばかりだけどね」
「ねー、ジュノヒョンの車!?」
「すごーい!ハラボジより高級車だー!」
どちらともなく駆け出したふたりは、車の周りではしゃぎ、ジュノが開けたドアを見つめた。
「乗って良いの!?」
「乗らなきゃ帰れないだろう!?」
やや呆れ顔で苦笑したジュノも運転席に乗り込んでいる。
「さて、どちらまでお送りしましょうか!?」
「知らなーい!ジュノヒョンにおまかせー」
「ハルモニはどこにいるのですか!?」
ユソンの質問をエンジン音がかき消していた。
★★★★★☆☆☆★★★★★
「で、お前が、許可した訳ね・・・」
「ええ、キムssiのIDをお持ちでしたし、電話確認も勿論させて頂きました」
最上階のエレベーターホールでトレーを受け取ったヒジュンは、膨れながら口を動かし歩き出したユンギにハンカチを差し出した。
「あの方の素性でしたら問題ないと判断しました」
「あー確かに問題はないんだろう・・・けど、さ・・・お、前、レストラン経営してるの知ってた!?」
「ええ、存じあげていました・・・ミニョssiと一緒の雑誌に紹介もされていましたし・・・」
プライベートオフィスのドアを勢いよく両手で開けるユンギにヒジュンが苦笑している。
「どこが気に障るのですか!?」
「ぁあ!?」
足を止め振り返ったユンギは、ヒジュンの背中に舌打ちをしてデスクに腰を寄せた。
「どういう意味だよ・・・」
「いえ、気になる様なので質問しただけです」
トレーをワゴンに乗せ換えたヒジュンは、ユンギの前でポットを傾けている。
「気になるじゃなくて、気に障るって言ったろ!?」
「・・・障るんでしょ!?そういう顔をしてますよ」
カップを差し出すヒジュンの苦笑を忌々しそうに剥れたユンギが受け取った。
「どんな顔だよ・・・」
液体に映る顔を眺め湯気の立つ紅茶を飲みながらジュノが手土産とばかりに置いていったサンドイッチに舌鼓を打っていたユンギであった。
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