叫喚でミニョを見上げていたリンは、開いた口に差し込まれた棒に漸く口を閉ざしゆっくり横を見た。
「なーに驚いてんだ!?」
「自分の曲だって知らなかったんだって」
「へー、でもテギョンssiクレジット入れてやるって俺達にも言ったよな」
「うん、直しまくったからオリジナリティは全くないって貶されたけど」
同じ棒付きキャンディを舐めカラカラ笑うジュンシンとユソンがリンの両腕を引っ張っている。
「ま、気にするな!大人の事情なんて俺達に関係ない!子供なんだから我儘一杯言ってまた叶えて貰えば良いんだー」
「へー、ジュノ随分大人みたいな事言う」
「あー俺ってば、生意気で我儘で生意気だとユンギに言われ続けたけどリンには負けてるって最近気付けた」
ニッンマリ笑ったジュンシンをユソンがきょとんと見つめた。
「え、そ・・・っ!?」
「そんなことないもんっ!」
ぎょっとしたリンが、ユソンの言葉を掻っ攫いジュンシンを睨んでいる。
「僕、我儘じゃないもんっ!アッパが人一っ倍っ意地悪なだけだもんっ」
「意地悪な人がこんだけの事してくれるのかよ・・・お前って幸せ」
コツンと頭を寄せられたリンは、首を傾げた。
「なっんでー、ユソンヒョンもジュノヒョンも幸せでしょう!?」
「幸せだったんだけどなー、終わっちゃうんだよなー」
「この数か月、楽しいことしかなかったですから終わるのがちょっとね・・・」
しんみりするふたりの腕をリンが振り払っている。
「今の気持ちを忘れなければ次もあるってアッパ言ってたよ」
しゃがみ込んでいたジュンシンが振り返ったリンを見上げた。
「そうだけどなー、俺ってば、お前等とお別れじゃん」
「アメリカに帰りたくないんだそうです」
「ソウルにいれば良いもん」
「そんな訳いくかよー・・・オンマにデコピンされる」
額を抑えたジュンシンは、溜息を吐いて立ち上がっている。
「じゃぁ、どうするの!?」
「どうもしねーよ!約束通り俺は帰るのっ!帰るけどなっ!俺の事忘れるなよなー」
手を繋いだユソンとリンが顔を見合わせた。
「忘れたくても忘れられないでしょう・・・ああ、でも毎晩のビデオチャットは辞めてくださいね・・・時差あるし・・・」
ユソンのジットリ目にリンも大きく頷いている。
「あっち帰ったらそれも出来なくなるんだよなー」
小さな舌打ちをしたジュンシンが掻き毟る頭にジョンアの腕が伸びた。
「また遊びに来れば良いのよ!それに、どうせすぐ会えるわ」
乱れた髪に櫛を通すジョンアは、ユソンとリンを呼び衣装を整えている。
「ええ、きっと、すぐに」
ミニョの指差す方向に目を向けた3人は、間奏の随(まにま)にユンギに視線を送り引き結んだ唇の角度を変えたユジンのバイオリンテクニックとその繊細で力強い音に感嘆を漏らしていたのだった。
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