「もうすぐ・・・終わり、です・・・」
「ああ、いつでもこの時間は、良いもので、悪いものでもあるな」
「清々しいでしょう!?」
「終わってしまえばな・・・やはり一瞬の夢で次に向けて頑張ろうとも燃え尽きたとも思うものだ」
「うーん・・・オッパは難しすぎます」
「あ!?お前が単純すぎるんだ!」
スローダンス終盤、半回転させられたミニョの腕を強く引いたテギョンの前にリンが駆け込んでいた。
「アッパ」
ふたりの前に立ったリンは、ステップを踏み始め、一際大きな歓声が手を振ったユンギの登場を後押ししている。
「ったく、あいつ、自分のステージと勘違いしてるよな」
「も、う一人・・・勘違いしているみたい・・・です」
背けた顔を戻しながら横目のミニョは、ホールドしているテギョンに小さく苦笑いした。
「!!!」
バッと後ろを向いて両手を広げたリンがテギョンを遠く見上げている。
「何っあそこにいるんだっ」
「私達で何とかしないとダメみたいです・・・」
ユンギの横でエアでギターを真似たリンが、客前最前で歓声を浴びた。
「わーい、気持ち良ー」
「シヌ聞いてるかっ!あれをなんとかするからユンギに間奏伸ばせと伝えろっ!」
「え、オッパインカムマイクなんていつ付けたのですか!?」
「あいつが何するか予測できないからだっ!お前と一緒だ!」
「あ、酷・・・」
「煩いっ同じステップ繰り返せっ!あいつを引き戻すっ!」
引き攣った笑顔のテギョンは、ミニョをリードしてステージ最前に向かっている。
★★★★★☆☆☆★★★★★
「と、テギョンから指令が来たけど、お前に任せるわ」
伝えることは以上だとマイクを外したシヌは、床を見下ろした。
「なんだ!?」
「いっやー・・・シヌヒョンって、やっぱ敵にしたくねぇなーって思った・・・だけ」
「あれハプニングなの!?それとも打ち合わせ済!?」
シヌを見上げたミナムとジェルミは、怯えた顔で肩を震わせている。
「打ち合わせ済に決まってるだろ!ユンギが引けばリンも下がる!ま、後は、テギョンとミニョのダンス時間が長くなるだけ・・・かな」
「あそこって、三人で踊る予定じゃなかった!?」
「ああ、けど、リンが・・・」
嬉しそうな顔で口を閉ざしたシヌにそれ以上何も聞けず顔を見合わせたミナムとジェルミだった。
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