満足ですかと聞かれたと然も落胆した顔と声で話を始めたテギョンにどう答えようか迷っているとお前もと続いたので黙ることにした。
『お前も聞かれたんだろ!?満足なんてミニョに会う度に感じる事だけど、改めて考えると帰っていく姿には、不満しかなかったなとも思い直して、お前も俺に会いに来るあいつを見送る度に同じ気持ちだろうなと思ったよ』
あざけりと不敵な笑みと自身へ向けられたものと解っていても癇に障るのも否めず、刺々しいと思いながらそうだと返した。
『お前が最もらしい提案さえしなければ、今も俺一人を見てくれていた』
『違うな・・・俺がテジュンを見つけるタイミングは絶妙だった・・・運命だろ』
自身への嘲りを深くしてそれを吐いた顔に言葉が詰まった。
運命などとテギョンの口から出て来ることは、過去も未来もそんな事はないだろうと思っていたし、理路整然と己の道を決めていそうな性格のこいつには相応しくないと思わずその顔をじっと見つめていた。
★★★★★☆☆☆★★★★★
見つめられるその瞳の感色にシヌの考えている事がありありと伝わってきて、そういうことを考える様になった頃を思い出し、教会で対峙した神父の顔を思い浮かべていた。
「どうしてもお引き取りになりたいと・・・そう仰るのですか・・・」
「俺の子ですっ!間違い様がない!ここにっ鑑定書もある!」
「・・・拝、見しました・・・しかし」
「母親の許可がないという事ですか!そもそもここに預けているのは!」
「それを言ってはなりませんっ!貴方は彼女の事情をご存知ない!!」
「貴方が何を知っているというのですっ!少なくとも俺っ・・・」
少なくとも俺は、ミニョの考えを解っているとそう言えなかった。
まだ俺を愛している筈だとそう思いながらシヌは、シヌに向かった想いは何だろうと頭を過ぎるその考えに自分の欠点と沸点を見誤ったと自分を責め責めながらもミニョへの八つ当たりを繰り返した。
成行きを運命と呼ぶならば、それを握っているのは女という存在。
所詮男など女に寄ってこの世に生を受け、育てられるものだ。
『こんな片田舎で、テジュンを見つけた・・・それだけでも俺は何か引き寄せられ、離れるなと俺ではない何かに動かされているのさ』
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