『それで・・・出来るか!?』
『出、来ない事では、な、い、ですが・・・』
『君が戻ってくれて良かった。向こうの知人に紹介しようと思っていたんだ・・・』
『えぇ、で、も、この方・・・』
『君も良く見知っているだろう。この国ではトップスターだ』
『・・・・・・・・・最、上級の守秘義、務で・・・すね・・・』
『私の命の恩人でもある・・・だから、君に頼みたい・・・渡航費と設備はこちらで用意しよう』
★★★★★☆☆☆★★★★★
『テギョン、どうする!?』
気を失ったままのミニョを抱えて電話を終えたテギョンの背中に問いかけた。
こちらを向いたテギョンのその顔が力強く頷いたので俺は俺の出来ることをすることにしてバスルームの扉を開けた。
★★★★★☆☆☆★★★★★
遠くから近づいてくるさんざめきの中にはっきりとシヌが私を呼ぶ声が聞こえていた。
ああ、授賞式のステージでの出来事だと思いながら抱き寄せられた腕におめでとうと返し、そこがどんな場所で、ふたりきりではないという事も忘れ落ちて来たキスに恥ずかしい思いをしたのは、ほんの半年ほど前。
『ぁ・・・っめ・・・こん・・・』
『ぅん!? 気が付いた!?』
囁きは背中から聞こえてきた。
前では無い事を不思議に思いながら覚醒した頭に触れるシヌの腕を感じた。
『あ・・・』
『気を失ったのを覚えてる!?』
そう聞かれて先程までの出来事を思い出し熱くなる顔に自分が置かれている状況に竦んだ身を開かれた。
『テギョンに頷いたのを覚えてる!?』
首筋に落ちた唇が何ともいえない戦慄を呼び背中から少しずつずれていく。
『ふぁ・・・』
『・・・俺の為・・・と言ったね・・・』
問いかけるのに答えさせてくれないシヌの指先が口腔を責め立てる。
『それは俺よりもテギョンを愛してる・・・から・・・!?』
抑揚の無いその声が余計な爪を立てる。
『な・・・っぁ・・・』
『テギョンの・・・テジュンをより愛してる!?』
『ふっぇ・・・っめ・・・っっほ・・・っ』
奥まる指先が締め付けた喉に当たっていた。
咽返る涙目で漸くそれを抜いてくれたシヌを振り返った。
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