『その逢状は、貴女だけの意思ですか・・・』
確か、そう聞かれたとぼーっとする頭で考えていた。アメリカの高名な医師への推薦状。アジュンマの旦那様がお医者様であったことと神父様もまた医学に通じていた為、軽い気持ちでお願いをした。けれどそれが、今この状況を生んでいるのだと掠めていく生温い空気をそれに揺らされる身体と、心を震わせるふたつの音を聞きながら考えていた。
『ねぇ、ミニョ聞こえてる!?』
『聞いているのか!?』
ヒヤリと冷たい手が撫でた首筋にヒクリと震えたそこが熱くなるのと同時に痛みが走って、落ちた腰と真逆に張り詰めた背中に当たる塊に再び戻ってしまった腰に逃げ場の無い状況に、思わず掴んだ肩からゆっくり頭をあげたシヌと目が合って笑われていた。
『凄いね、ココ・・・こんなに・・・』
こんなになるんだと綺麗にあがった口角が赤いものを魅せて再び沈んでいった。
『ぁ・・・んっめ・・・』
力無い指先でその髪を掴むのは、もう数え切れなくて、そこから駆け巡る稲光が、次に何を運んでくるのかも知っている。
長い長い年月かけて覚えた事。
あの人は、決してしない事。
★★★★★☆☆☆★★★★★
俺とお前の違い。
何だと思う。
確、か、そう聞いた。
優しさか。
辛抱強さか。
物腰、ひとつ。
『何を言ってる!?そのどれもが違うからこの選択なっんだろう・・・』
睨まれてそう返された。
そう、融けて交じわり。
その行為は、とてもじゃないが想像以上に甘くて。
つけ込んだのに。
それでも良いと言われて溺れ。
一度味わった魅惑は、蠱毒の様にじわじわと。
悪い女だねとハラハラと落ちて来る涙に溶けたそれを味わい、悪い女だと拓いたそこを執拗に味わい尽くした。
『っ・・・そ・・・』
『ちゃんと見せて。いつもの様に』
頭の上で、身じろいだ気配がして、あいつの笑い声が聞こえていた。
『ふっん・・・そういうのも好きなのか・・・』
『やっ・・・違っ・・・ぁっ・・・っっはっぁ・・・め』
否定は、身体が裏切っている。
ヒクリと震えた花芽の下で湧きあがる泉は止め処なく、俺の髪を掴んだ指先に力が籠もった。
★★★★★☆☆☆★★★★★
噛みつくようなキスの下で何故と零れた涙に頬を濡らされた。
何故とは、俺が聞きたいことだ。
確か、そう聞いた。
『お前が望んでたことだろう・・・』
苦しかった。
苦しくて、悲しくて、やり場の無い怒りを淋しさをグッと堪えて行ってしまえっと吐き捨て、あの店で何故と再び聞いた時、俺の中を駆け巡った高揚感をお前は知らない。
綯い交ぜの、驚きの中に浮かんだあの一筋の高揚感をお前が俺に与え、俺の決意を固くした。
『あ・・・ッパ・・・』
その胸にこの胸に何を秘めている。
固く膨らむ蕾の下で、ここを流れる息吹は、テジュンを授かった時と同じか。
『妊娠してるんだろう。俺とシヌの子を』
ハッと飲まれた息を更に攫い、振り返ってシヌと目を合わせたミニョの力が抜けていく身体を受け止めていた。
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