今頃は。
そう、今頃あいつの腕の中で、お前は、どんな姿をしているだろう。
俺の前で、恥ずかしがって、緊張して、あいつの前でもそうなのか。
それとも。
それともあいつの前のお前は、もっと明け透けだろうか。
それとも。
いつも。
いつもそんな事を考えて、打ち消して、そんなそんな器用な真似はきっとお前には出来ないと結論付ける。
もっともお前がそんなに器用だったなら、お前がもう少しミナムの様であったなら、それは、きっと俺達にはもっと残酷であっただろう。
あの裏通りで俺に出会った時のお前。
今頃、あの場所は、どうなっているのか。
お前と出会ったあそこへ、もう一度足を運びたいと考えていた。
★★★★★☆☆☆★★★★★
何故、ここであったのか。
まだ形を成さないそれに思いを馳せながら裏通りの看板を眺めた。
あの頃、あの頃この店には看板など無くて、ともすれば通り過ぎてしまう程小さな小さなお店であったのに。
いつの間にか。
そういつの間にか、年月は、人も場所も変えてしまうのだとそう思いながらドアを開けていた。
★★★★★☆☆☆★★★★★
その場所が何であるのか。
どんな場所なのか。
そこを訪れるのは、幾度目なのか。
少なくとも俺にその話をしてくれたことは無いとそんな事を考えながら佇む横顔を見ていた。
そこへ足を運ぶ時のお前は、決まって、全てを変えていく。
まるで聖域に足を踏み入れるが如く。
その場所は、果たしてお前の何なのか。
知りたいと思いながらもこれ以上踏み込めない。
踏み込んではいけない。
何が止めるのか。
何を躊躇うのか。
誰憚ることも無い筈なのに。
知るのが怖いとそう思いながら車を反転させた。
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