蜉蝣(かげろう)は、二度三度と変態を繰り返し、光を求めて夜に謳歌した。
罪を暴きし誘惑は、昼を闊歩するにふさわしき場を与え、朝焼けの空に闇を沈めた。
本望は、本望とは、これ如何に。
愛していると。
愛されていると。
愛を。
奪ったのか、奪われたのか。
与えたのか、与えられたのか。
選択は、ややもすれば、全てを壊滅へと導かん。
★★★★★☆☆☆★★★★★
夜中に目が覚めるのは、ここのところの体調の変化に他ならず、ふとしたきっかけで訪れた病院で、それを告げられた時、息を止めそうになった。
可能性は、ゼロではない。
尤もな事だ。
少なくとも私の立場で、そういうことは大いにあり得る。
けれど、けれど。
どちらのという問いは、決して口には出せず。
水を飲む為に開けた冷蔵庫の中で、小さな小さな顔が笑っていた。
願わくば、この子と別であって欲しい。
願わくば、その子と別なものが欲しい。
愛してる。
どちらも。
どちらの愛も手放したくはない。
★★★★★☆☆☆★★★★★
夜半の振動は、俺の目をも覚ましていたが、慎重に抜け出すあいつに負担をかけたくなくて、寝たふりを決め込むことにした。
ぼやけた明かりは、俺の目には、まだ暗く、その先は見えなくて、束の間の、ほんの束の間のそんな出来事が、あいつの胸を締め付けている事等知る由もなかった。
★★★★★☆☆☆★★★★★
お休みと遠くにいる彼女と繋がる空に挨拶をして静まり返った部屋の冷たいベッドに入っていた。
それを見つけたのは、ほんの偶然で、寝付けない頭を枕を直そうとたまたま手を入れた場所で触れてしまっていた。
隠している意図までは判らない。
けれど、けれども。
どうしてという疑問が、疑念へすり替わるのにそう時間は掛からなかった。
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