『ヒョ・・・』
『何もしない・・・から暫くこのままでいさせ・・・ろ・・・』
遠慮がちな声と一緒にテギョンの頭が、ミニョの胸に落ち、二の腕を掴んだ掌に指先に一瞬の躊躇いを見せながらもベッドに沈み込んだミニョは、テギョンが背中に回した腕にも黙り込み、ただ、静寂の中で目を閉じふたりは暫く寝転んでいた。
契約は、ミニョを繋ぎ止めておくために他ならない。
普通の恋人同ならば、ファン・テギョンがただの人ならば、特別周りを気にする必要も無い。
けれど、けれどとそんな事を考えているテギョンの胸で小さな音が、静寂を破り、腕を伸ばしたテギョンは、携帯を確認するなり舌打ちをした。
『・・・ったく、ミナムの奴・・・追跡装置でも仕込んでやがるのか!いっつも邪魔しやがって』
メールを打ち返す手元を覗き込んだミニョを肩越しに振り返ったテギョンが、体ごと引いた。
『っとに、お前の事になるとどういう訳か鼻が利くよな・・・コ・ミニョはどっちかというとミナムに対して薄情なのに・・・・・・』
『ふぁぉ!?ヒョ!それちょっと酷いです!私だってオッパの為に苦労したんですからねー』
打込まれる文字を見つめるミニョの前でテギョンの手が止まった。
『・・・どんな苦労だ!?』
『え、えぇーっと・・・それ・・・は・・・』
『は、ん、思いつかないって事は何も無いんだ!俺は、お前の為に散々な苦労をしているから、幾つでも挙げられるぞ!例えばそうだな・・・』
『はぇわ!?そ、それはぁ、ちょっいっ言わなくてもぉ・・・』
『聞いとけっ!俺に断りも無くどこかに行こうとするのはお前の得意技だろう!』
『・・・ちゃちゃんと言いました・・・け・・・』
『言ってないだろう!勝手にアフリカに戻ろうとするし!ローマだってそうだぞっ!勝手に来ただろっあの女に誑かされてミナムに嗾けられて!お前、俺に何て言ったか覚えてるかっ』
『・・・おっ怒らなくても・・・』
『思い出すとイラつくんだっ!生意気言いやがって!コ・ミニョの癖にっ・・・』
『そっそんな事言うならっヒョンだって私に内緒の契約書なんてもってるじゃないですかぁ!』
しかも私のだと剥れるミニョの背中で言葉を詰まらせていたテギョンだった。