テギョンの運転する車で、一時間ほどのドライブを楽しんだミニョは、観光地とは程遠く、目ぼしいものは何も見当たらない平原に下ろされていた。
差し出した手を早くしろとばかりに振るテギョンは、モッタ夫人が持たせてくれたバスケットとレジャシートらしきものを小脇に抱えて、ミニョが握った手に満足そうにほくそ笑んでいた。
『行くぞ』
『どこまで行くのですか!?』
なだらかな丘になっている一本道は、その先まで車で行けそうだが、敢えて徒歩を選択したテギョンの意図を考えながらミニョは、ちょこちょこ後ろを着いていた。
『すぐそこだ!良いものを見せてやる』
先を行くテギョンの背中を見つめ、坂道を登って行くミニョは、やがて視界に映る深い青に目を見開き、口も開けていた。
『わっわー、綺麗ですぅー!大きい湖だー』
離された手を拡げ両の腕を開きながら進んでいくミニョをテギョンは、笑って見つめ、まるでその腕で湖を抱えてしまいそうだと思っていた。
『あまり、遠くに行くなよ!その先は、崖だぞ』
安全柵など見当たらないミニョの道行を注意しつつ、シートを拡げたテギョンは、その上に座り込みバスケットを開けた。
『ヒョン!凄いです!とっても綺麗!オンニの家の湖より大きいー』
『当り前だろう・・・あっちは、人工物で、こっちは天然だぞ・・・』
30メートル程の距離を駆け足で戻って来たミニョは、テギョンの前に座り込んだ。
『朝食を貰って来たからな・・・昼は、下のカフェで・・・夜は、お前の手料理だな・・・』
モッタ夫人お手製のサンドイッチを差し出したテギョンは、バスケットの中を覗き込んで首を傾げるミニョに不思議そうに声を掛けた。
『何か気になるものでも入っていたか!?』
『ぅん・・・オッパが持っていたファイルと同じ物をヒョンも持っているのですかぁ!?』
パニーノと呼ばれる焦げ目の付いた温かいサンドイッチを手にしたミニョは、それを美味しそうに頬張り、テギョンの差し出した水筒も受け取った。
テギョンは、ミニョが見ていたファイルを引っ張り出し、水筒を傾けながらこれは、と少し重そうに口を開いて、横を向いたミニョの顔を暫く無言で見つめていたのだった。
日本もアメリカの影響か「パニーニ」や「イタリアンサンドイッチ」と呼ぶけどイタリアは、「パニーノ(単数形)」「パニーニ(複数形)」という様に呼び方が違うo(^▽^)o
パンで具材を挟んだ軽食の総称だけど、ひとつのパンで作って切り分ける所から複数形が定着しているのかもね(^^)
本場ミラノのパニーノ!東京や横浜で食べられるので興味のある方はどうぞ!
パニーノジュスト西武池袋地下1階 パニーノジュストそごう横浜地下2階
東京駅や六本木、青山にもあったのだけど閉店してしまった様で淋しい限り(-_-;)
とはいえ、普通の喫茶店風なので何気に入ったことある人も結構いるのではと思う(笑)
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