『ヒョーン、ミナム、見つけたー』
植物の影から顔を出したジェルミが、後ろを歩いて来るシヌを手を振って呼んでいた。
『ソヨンssiもいるみたーい』
『丁度良いじゃないか。一度に片が付く・・・』
シヌの笑い声にきょとんとしたミナムは、ソヨンと顔を見合わせ、駆け寄ってきたジェルミの為に隣を開けた途端抱きつかれた。
『おっはよーん、ミナマー、昨夜はどーこ行ってたのー。どっか良いお店見つけたー!?』
『なっ、んの話だっっよっ・・・暑っ苦しっだろっつくなよなー』
三人の前に立ったシヌは、ソヨンに挨拶をしながらジェルミに気圧され気味のミナムを笑った。
『ジェルミは、昨夜お前の帰りをずっと待ってたんだよ。お前の事だから、面白い店を見つけて来るだろうし、休みだから観光も兼ねてどこかへ行きたいってさ』
『そっんなのシヌヒョンと行って来れば良いじゃん!俺まで巻き込まなくてっもっ』
じゃれつくジェルミに抵抗するミナムだが、相手も負けておらず、増々くっついて、ソヨンが笑い乍ら立ち上がった。
『ミナムも行くのー!前、観光出来なくてくさってたじゃーん!トレビでポセイドンごっこしようぜー』
『いっずみ、なら、コイン2枚投げてきたっつーの』
『え、えー、ずるーい、ひとりで観光して来たんだー!』
『観光ってほどのもんじゃないっ、たまたま通ったから記念にな!ヘイに写メ送ったのっ』
『俺と一緒に送れば良いじゃーん!良いよっ!もう一回行って、もう一回送ろう!』
『何っで俺の愛をお前に邪魔されなくちゃいけないんだっよ』
『邪魔なんてしてないよ。大体、ミナムとヘイssi付き合ってる訳じゃないじゃん・・・永遠の愛の誓いなら、恋人同士じゃなきゃ格好つかないぜー』
前後左右と体を捻りまくっても抱きつかれたままのミナムは、とうとうベンチに押し倒された。
『恋人だっつーの!』
『ヘイssiはそう思ってないじゃん』
『照れてるだけだっ』
ミナムに頭突きをされたジェルミが、痛そうに顔を歪めて腹に倒れ込んだ。
『ミナムばっかりずるいー!ジェラート食べたいし、エスプレッソも飲むんだから一緒に行こうよー』
『・・・・・・男三人でか!?』
それでも離れないジェルミに大きな溜息を吐いたミナムは、シヌを見上げ、シヌは、ソヨンに向き直った。
『ソヨンssiもご一緒しませんか!?貴女もお休みでしょう!?』
『あら、私も誘ってくれるの!?』
『お嫌でなければ』
『そうね、子連れでも良ければ』
『えっ、ヌナの子供!?』
『ええ、今日は、一日、私が預かる事になってるの。迎えに行かなきゃいけなかったのよ。あの子も観光目的だから・・・よければ、もっと良い所へ連れて行ってあげるわよ』
ウィンクしたソヨンにミナムを離したジェルミが大きく頷き、やつれ顔で起き上ったミナムは、シヌにクスクス笑われていたのだった。
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