『ったく・・・あいつら・・・覚えてろよ・・・』
タオルでガシガシ頭を拭きながら部屋に戻ったテギョンは、ドアを開けて立ち止まっていた。
ガサゴソ、ガッタ、ゴンと聞こえて来る音に首を傾げ、部屋の中を見回して、ベッドの脇の人影を見つけると足音を忍ばせて近づいて行った。
『ぅうーん・・・ヒョンも鍵かけてますねー・・・暗証番号も違う・・・』
床に座り込みスーツケースを眺めているミニョを見つけてぽかんとすると唇を撫でて声を掛けた。
『何をしているんだ!?』
『ひっぇ・・・』
ビクンとそれと解る程派手に飛び上がったミニョは、驚愕顔でテギョンを振り返り、暫く見つめて、ヘラッと笑った。
『な・に・を・しているんだ!?』
強調された言葉と不審なものを見る目にミニョの頬がひくついた。
『なっ、な、なんでっ』
『何でも無い事はないだろう・・・そ・れ、俺のだよな』
スーツケースを指差すテギョンの額に絵に描いたような青筋が浮かぶ幻想を見るミニョは、小さくなっていた。
『何を見たいんだ!?お前が見て喜ぶようなものは入っていないと思うが・・・』
実際のテギョンは、至って冷静で真顔だ。
『えっと、いえ、っあの、そのっ・・・しっ・・・』
下着と口に出すことを恥じたミニョは、口を抑えてぶるぶる首を振り、首を傾げたテギョンは、ベッドの脇で腕を組んで顔を近づけた。
『・・・お前、顔色悪いのか!?具合で・・・』
額に延びる手を避けようとミニョが反転した。
反動で浮いた足は、テギョンの脛を蹴り上げ、あまりに強烈な痛みに目を見開いて息を止めたテギ
ョンは、前のめりに倒れそうになりながらも辛うじて動きを止めた。
が、廊下から聞こえた声にそのまま倒れ込んでいた。
『ミーニョー、どこだー!?部屋かー!?もうすぐ昼飯だぞー、あー、でも、俺達シャワー浴びて来るからその後だけどなー、下で待ってろよー』
呼びかけながら廊下を通るミナムとジェルミの楽しそうな笑い声が大きくなり、徐々に遠ざかった。
『チッ・・・五月蠅い奴らめ』
圧し掛かったテギョンは、ミニョの口を塞いでいて、大きな目が離せと後ろに訴えていたがそれを無視した。
『それで!?コ・ミニョ・・・お前何をしてるんだ!?暗証番号って何だ!?俺のいない間にまた事故でも起こしたのか!?今度はどんなメールを送ったんだ!?』
テギョンの頭の中は、暗証番号=携帯=スーツケースにしまっているという図式が出来上がっていた。
いつもなら撮影中でも電源を切ってポケットに忍ばせておくのだが、今日は、撮影に水を使うという事もあり、何よりA.N.Jellの国外での撮影は、周知の事実なので、国内にいる時の様に煩わしい連絡は、頻繁に無いだろうと判断されていた。
『携帯じゃないのか!?それ以外でお前が見たいものって・・・』
考え込み始めたテギョンの腕の中のミニョは、何とかそこから逃れようと身じろぎをし、背中に感じる重みは、重いだけじゃなくテギョンの服が濡れているせいか、感じる違和感を引き剥がそうと腕を廻して服を引っ張っていた。
やがて、口を塞ぐ手を外されたミニョは、案外あっさり離れたテギョンの前でスーツケースに座り込んだ。
『話す気になったか!?』
ふくれっ面でテギョンを見上げたミニョは、俯いて目を泳がせていた。
ニヤニヤしているテギョンは、ミニョの軟化した態度に両側の口角を上げ、頬を両手で包んだ。
『何が欲しいんだ!?』
上向かされたミニョは、テギョンを凝視し、暫く見つめたテギョンは、ふっと笑って顔を傾けた。
しかし。
『しっ、下着を見せてくださいっ!!』
唇が触れ合った正にその瞬間、ぎゅっと目を閉じたミニョは、拳を握り締めながらそう叫んでいたのだった。
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