『ほら、オンマは生きているってずっーとそう思っていただろう・・・オンマも俺達を捜しているんだって・・・でも迎えに来ないのは、きっとオンマも重い病気かなんかで動けないからで・・・そんな話をしたことがあったよな・・・・・・院長様に初めて飯抜きにされてさ・・・あの時も俺、もの凄っく頭が痛くて聖堂に早く帰ろうと思っていたらお前を虐めてる奴等を見つけたんだ・・・カッとなってやり過ぎて飯抜きにされたけど・・・あの時からだなぁ・・・お前が泣いたり、様子がおかしかったり・・・俺だっていつも判るって訳じゃないけどさぁ・・・・・・ああ、何か変だなぁいつもと違うなぁって思うと大抵お前に何かあるんだよなぁ・・・』
『何かって何ですかぁ!?』
『何かは、何かだよっ!難しいことを聞くなっ』
『オンマが、オッパを呼んでいるのですかぁ!?』
『ああ、だって、俺とお前とふたりっきりじゃん!アッパも迎えに来なかったしさ・・・アッパが死んだって聞いたけど・・・オンマは生きてるってずっと思ってて・・・だから、俺がお前をちゃんと守ってオンマの元まで連れて行ける様に俺がお前の良いお兄ちゃんでいる様に言っているんだってずっとそう思ってた・・・・・・いっや、これからもそうだけどなっ』
『だから、オッパには、私のピンチが判るのですかぁ!?それって何かずるい気がします・・・』
『何でだよぉ』
身を起こしたミニョの肩をまた抱いたミナムは、頭を擦り付けた。
『オンマは、オッパしか要らないみたいじゃないですかぁ』
ミニョも頭を擦り付け、どちらも負けじと押し合いが始まった。
『パッボっ、お前も大事だからに決まってるだろうっ!俺は、お前より丈夫なんだっ、きっと生まれた時からそうなんだぞ!』
『そんなの判る訳ないじゃないですかー私だって健康ですよぉ』
『嘘つけ!熱ばっか出してた!院長様に飯抜きと言われてもめげなかった俺の方が丈夫だぞ』
『隠れてご飯貰っていたじゃないですかー』
『食える時に食っとかないと明日何があるか解らないだろう』
くっつけた頭でじゃれあいながら双子は、いつの間にか笑っていた。
小さな頃からどちらともなく互いを慰めるのは、もう慣れたものだ。
ふたりしかいない。
ふたりで良かった。
ふたりでくっついていれば温かく、ミナムはいつでもミニョを助け、ミニョもミナムを心配して、そうやってきたけれど今ミニョが考えているのは、それを人に聞くべき事なのかという事だった。
『オッパじゃなくてオンマなら相談出来るのかも・・・』
『ああ!?俺じゃ役不足かよ!?』
『そうではなくて・・・オンマなら・・・私も・・・・・・女・・・です・・・から・・・』
『へ!?どういうこと!?・・・え!?ま、さか・・・』
ミニョの両肩を掴んだミナムは、顔を見合わせやがてその視線を下に向けていた。
俯く頭を不思議そうに眺め下を見ようとしたミニョは、しかしノックの音に横を向いた。
『げっ、ヒョン・・・』
『戻って来ないから何をしているのかと思えば・・・・・・やっぱり説教が要るだろう』
『いらないってば!いっや、俺、ミニョに契約の話をしようと思っててさ』
スウェット姿でパーカーを被ったテギョンは、キッチンを見回して、グラスを取り出した。
『俺から話す』
『私が、話すわ』
水を汲んだテギョンが、飲み干すと同時にラフなスタイルに着替えたソヨンが、同じようにグラスを取り出し、隣の棚からボトルを取り出していた。
『ったく、貴方達、明日から撮影なんだからね!遅くまで起きているのは勝手だけどむくんだ顔で起きてきたらただじゃ置かないからね!』
ミニョを呼んだソヨンは、連れだって部屋に戻って行った。
残されたテギョンとミナムは、暫く無言でその場にいたが、立ち上がったミナムが、済まなそうに肩を竦めて先に出て行き、テギョンも何事も無かった様に部屋に戻って行ったのだった。