『さて、お前の仕事だが・・・』
ミナムを連れて、とあるブティックに入ったテギョンは、店員と話をしながら、鬘とドレスを用意してくれるよう頼み、奥へ行った店員を見送って、服を見ていたミナムを呼んだ。
『気にいるものがあるか!?』
『そりゃぁ、これだけの高級服なんて滅多にお目にかかれないから良いなぁってのはあるよ』
『ふ、ん、そうか・・・なら、何でも好きなのを選べ!』
『ふぇっ!?』
テギョンの申し出にぎょっとするミナムは、怪訝な顔だ。
『何させようとしてる!?』
『別にちょっと良い服を着せてやろうってだけだ』
『なーんか考えてんだろう!ミニョにさせようとしてた事か』
『ああ、仕事だから割り切れ』
『本当に仕事かー!?』
信用出来ないと言いながらも服を物色しているミナムは、ミニョ好みの服を選んだ。
『これとかどう!?オッパ』
睨みつけるテギョンの視線等なんのその、全く気にもしないミナムは、別な服を取り出して、胸に当てた。
『だって、そういう事なんだろう』
自分の考えは間違っていないとテギョンを睨み返したミナムは、奥から戻ってきた店員の手にある鬘を受け取って鏡の前に立った。
『こちらは・・・』
『ああ、多分サイズが合わないので、箱に入れてください』
『畏まりました』
『どういう意味だよ』
『お前に着れるサイズに作ってないんだよ』
『ふーん・・・俺に別なものを着せようって魂胆か』
『うるさい。で、気にいったものは、あるか』
『ああ、これと、あれと、それと・・・』
テギョンの顔色を窺いながらも遠慮の無いミナムは、次々服を選び、最後にブルーグレーのワンピースを選んだ。
『ワンピース!?』
『ああ、必要だろう!?』
『チッ、まぁ、どっちでも良いさ。やる気はあるって事だな』
『話を聞くだけ聞いてやるって事だ』
『俺にこれだけ買わせて、ふざけるな』
『俺が着なくてもどうせミニョの処に行くんだから、同じだ』
妙な押し問答を続け両手一杯の袋を持ったテギョンとミナムは、服を買って店を出たのだった。
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