お遊びお遊び続き(＝⌒▽⌒＝)時間軸はもう少し前o(^-^)o
ミナムがリンに贈った経緯をどうぞ
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
「なぁー・・・リン・・・コレって何だ！？」
テーブルについた肘で手の甲に顎を乗せたミナムが、横に座るリンの膝から何かを引っ張った。
「ダメー！！」
声を掛けたミナムが、腕を伸ばすのと同時にリンの声が不愉快そうに響いた。
「った・・・何だよ・・・大きな声だな・・・」
あまりに近くでリンの高い声が響いたものだからミナムは、顔を歪めて耳を塞いでいる。
「何だよ・・・聞いただけだろ！？」
ギュッとその塊を抱きしめてミナムに背中を向けたリンは、チラッと視線だけで後ろを確認して唇を尖らせている。
「触っちゃダメなの！！」
ふんとミナムに向けてむくれるとまるで隠す様にその腕の中に閉じ込めた。
「見せてくれてたって良いだろ！？ たかがぬいぐるみじゃん」
「ちがーうもん！！」
たかがぬいぐるみという言葉に反応したリンは、カッとなって後ろを向いている。
「ただのぬいぐるみじゃないもん！！テジトッキだもん！！」
「テジトッキ！？」
ミナムが呆れたようにそのぬいぐるみを見て聞いた。
「トッキ-テジゥコ！？」
「違う！テジトッキ！」
「同じだろ！？」
「ちがーうもん！！」
譲らないリンとミナムが、言いあいを続けているとジェルミが二階から降りてきて声を掛けた。
「ミ〰ナ〰ム〰！リンも何してるのさ！？」
「ジェルミーこんにちは」
リンがテジトッキを抱きしめたまま振り返った。
「ああ、リン！挨拶できて偉いな・・・で、ヒョン達は！？」
リンに笑顔を向けたジェルミは、持っていたリンゴを齧って聞いた。
「いないよー！僕、おるすばーん！」
リンが再びテーブルに向き直ると、鉛筆を持ち上げて紙に向かっている。
「えっ！？」
「ふたりでデートだとさ」
ジェルミが驚くと、ミナムがそれを見上げながら片目を閉じている。
「そうなの！？」
更にリンゴを齧ってジェルミはミナムを見た。
「ああ」
リンに視線を戻して答えたミナムは、その腕の中にいるテジトッキを見つめている。
「ふーん・・・で、ミナムは、ここで何してるの！？」
ジェルミが、キッチンに歩いて行くと、うーんと唸ったミナムが、腕を大きくあげて伸びをして立ち上がった。
「俺ー！？ ・・・俺は・・・家出中」
ジェルミの後を追いキッチンの椅子に座る。
「は！？」
冷蔵庫から、野菜ジュースを取り出したジェルミが、リンゴを咥えたまま不思議な顔をした。
「家出してきたんだよ」
いつの間にかグラスを三つ並べたミナムは、ジェルミが振り返るのを待っている。
「ヘー・・・またヘイssiと喧嘩したの」
振り返ったジェルミは、グラスを見止めて笑い、そこに注ぎながら聞き、不満そうな顔をしたミナムの代わりにリンが答えた。
「違うよー！ウォンと喧嘩したんだよー」
「煩いぞリン！」
ミナムが、グラスを持ち上げてリビングを見た。
「本当の事だもん！それで、お家に帰れないんだもん！家出じゃなくてヘイおばちゃんが、暫く帰ってくるなって言ったんだもん」
振り返った視線の先にミナムの手招きが見たリンは、トタトタと近寄ってきた。
ミナムの足元で、テジトッキを床に置くと両手でグラスを受け取っている。
「なんだ結局、ヘイssiに追い出されたんじゃん！」
ジェルミもジュースを飲みながらミナムを見ている。
「俺のことは良いんだよ！それより、ジェルミこそデートじゃなかったのか！？」
ミナムは、片足を椅子に上げてグラスを煽っている。
「うん、そうだよ！もうすぐここに来るの！」
嬉しそうに笑ったジェルミは何処かウキウキした顔で時計を見た。
「そうなのか！？」
ミナムも時計を確認して、ジェルミの顔を見ている。
「うん！僕の部屋のほうが色々揃ってるからね！勉強もしやすいんだって」
「学生誘惑するのは、イケないわよんジェルミちゃん」
ミナムが両手を拳に握って口に当てると上目遣いでジェルミを見た。
「僕の育った所では普通です！」
ムッとしたジェルミが答えるとまぁいいやと興味を無くした様にミナムが言った。
「そっか、ジェルミに頼もうと思ったけど、それじゃ無理だな」
「何のこと！？」
「リンだよ！ヒョンさぁ、嬉しそうに出かけて行ったから暫く帰ってこないと思うんだよな」
「そんなに浮かれてたの！？」
ジェルミは、お茶の用意に降りてきたらしく、ティーセットとお菓子をお盆に乗せている。
「ああ、それは、もう・・・」
「へー・・・いつも一緒にいるのにね！？」
「おまけがいないと違うだろ！？」
おまけが自分の事だと判ったリンが膨れているが、ミナムは笑っている。
「ミナムもそうなの！？」
ジェルミが、笑って矛先をミナムに向けた。
「そりゃね・・・って俺の事は良いんだよ」
「今日仕事は！？」
「ああ、昨日全部撮り終わってるから今日は無し」
「それで家出してるってどうなの！？」
ヘイと休日を過ごす予定じゃなかったのかとジェルミは言いたいようだ。
「だから、機嫌を直す為にも買い物に行きたいわけ」
「一緒じゃダメなの！？」
テジトッキを抱きしめて口元に当てているリンに笑顔を向けたジェルミが、首を傾げている。
「こいつが嫌なんだって」
「だって、ミナム僕に色々着せるんだもん！」
ミナムと買い物に行くと決まって、スヨンとウォンへのプレゼントをリンにあてがっては似てるからコレで良いなと言ってるらしく、今回ウォンが欲しがっているものが、リンには気に入らないらしい。
「スヨンというかウォンが欲しい物って着ぐるみタイプの洋服でさ・・・」
それは構わないんだけどとミナムは溜息をついた。
「それが原因で怒らせたのー」
「何だよ・・・それ・・・」
「だって、ジェルミ、何がほしいって言ったか判る！？」
「何さ・・・」
「うさぎに豚の鼻がついたやつって言ったんだぞ」
そんなのどこのキャラだよと言うミナムは、捜す俺の身になれと言い、ジェルミが不思議な顔でミナムを見て、次に下に指を向けている。
「それって、それでしょ・・・」
指された指先にリンのぬいぐるみがあって、下を見たミナムは目を開くとリンに手を伸ばした。
「あっ！？」
「リーンちょっと見せろ」
ぬいぐるみを間近に見たミナムが首を傾げている。
「これ！？これかぁ・・・コレって何だ！？」
リンへともジェルミへともなく聞いた。
「それってミニョだよ！」
「はっ！？」
「あれ、ミナムは知らなかったけ！？ヒョンがミニョの変わりって一時期大事にしてたぬいぐるみだよ・・・リンが持ってるのは・・・うーん、あの時のじゃないよね・・・確か色が違った」
「違うよーアッパが、僕に作ってくれたのー」
リンがそう言ってミナムの腕からぬいぐるみを奪うと再び抱きしめた。
「この前、お前の家に３人で遊びに行ったよな・・・その時か・・・」
ヘイが子供を連れてミニョの家に遊びに行った事を思い出したミナムは、その時にそれを見て欲しがっているのだと判ったようだ。
顎に手を当てて暫く考え込むと、口角をあげた。
「いーい事考えた！」
「何するのさ」
ミナムを見ているジェルミを綺麗に無視したミナムは、椅子から降りるとしゃがみ込んでリンと顔を見合わせた。
「リン！お前、もっとでかいテジトッキ欲しくないか！？」
「大きいの！？」
「ああ、ミニョとお揃いでくれてやる！但し！家のチビ共にも同じ物を作らせろ！」
「ミナムが作るの！？」
「いや、俺が作ってもいいけど、時間が無い・・・」
それにもうすぐクリスマスだとミナムが言った。
「そっちは、サンタが来るから、年明けに贈ってやるよ」
リンは、良く判らないという顔をしたが、大きなテジトッキと呟いて、満面の笑顔になった。
「いいよー！どうするの！？」
「写真だけ撮らせろ！」
ミナムはそう言って、テジトッキの写真を数枚撮ると、ふふふとほくそ笑みながらヒョンも驚くぞと悪い笑顔を浮かべ、テギョンに悪戯を仕掛けることを思い描いて楽しんでいるとある日の出来事だった。