「お疲れさまー」
「おつかれさまです!」
「ありがとうございまーす」
あちこちから終了の合図と共に声があがり、撮影が無事終えられた事を知らせていく。
休憩と衣装の為に用意された控室に向かうジェルミは、キョロキョロしながら誰かを捜していた。
「アッレー、おかしいな!ヒョン達もう戻ったのかなぁ!?」
最後までカメラ前に立っていたジェルミは、撮影スタッフの後ろで話をしていたミナムとシヌが、何処にも見当たらない事に慌てて走っている。
すれ違う人達にありがとうございますと頭を下げながら一目散に控室を目指し、扉を開けて、すっかり着替えを終え寛いでいるふたりを見つけて指を向け大きな声を出した。
「あー、ずるいよーふたりともー!」
椅子を並べて足を乗せていたミナムが振り返った。
「おっそいよー、ジェルミー」
ズンズン控室に入ったジェルミは、カバンをドンッとテーブルに乗せ、私服を引っ張り出した。
「しょうがないだろう!最後だったんだから!」
「早く着替えてね」
「わかってる!」
着替えを引っ張り出しながら、衣装に手を掛けたジェルミは、アレッと手を止めた。
「テギョンヒョンは!?」
シヌとミナムが顔を見合わせ、直にクスクス笑い出した。
「あいつなら大分前に帰ったよ」
「ヘイからメールが来てた!」
Tシャツに腕を通して頭を半分入れていたジェルミは、慌てて首を出した。
「えっ、えー、本当にやったのー!?」
驚く声と裏腹に顔は、物凄く笑顔だ。
「ああ、ミニョが来たらしい・・・今夜リンを預かるそうだ!」
ニヤニヤ笑いながらミナムが取り出した携帯を振って見せた。
「本当にリンをのけ者にするとはな・・・」
呆れ口調でシヌが笑った。
「エー、そんなに足りなかったの!?」
「さぁな、でも、これでプレゼントは無駄にならなかったな」
クスクス笑うシヌは、ジェルミの着替えが終わるのを待ち、ミナムを促して3人で控室を後にした。
「今頃ヒョン驚いているかなー」
シヌの車に最後に乗り込んだジェルミは、前に座るふたりに聞いた。
「そりゃ、驚いているでしょ!間抜けな顔をしているぜ!きっと・・・」
「お前達、人が悪いぞ」
運転しているシヌは、軽く笑っている。
「そんなこと言ってもシヌヒョンだって面白がっていただろう!」
ミナムが笑いながら指摘した。
「いや、まさか、テギョンがそんな事を言うとは・・・」
「俺だってビックリしたよ!まさか、そんな事考えて仕事してんの!って」
目を見開いたミナムは、思い出し笑いをしながらシートに沈んだ。
「ミニョが足りない・・・だっけ!」
ジェルミが、後部シートでテギョンの真似をした。
「俺、めっちゃ恥ずかしかったぜ!思わず後退ったよ!」
寒気を堪える仕種で、ミナムは両腕をクロスさせ震えて見せた。
「準備で忙しかったからな・・・」
この数日を思いやりながらシヌが口にした。
「電話はしてたでしょう!?」
後部シートの真ん中から顔を出したジェルミが聞いた。
「ああ、毎晩してたみたいだけど、大体、一昨日リンと一緒に来ていただろう」
「でもさ、その後の撮影の時、俺にヘイの休みを確認してきたんだぜ!あれは、リンをのけ者にしようというのが見え見えだよ!」
「はは、ヘイが休みで良かったよな」
「ホントホント」
「ところで、ヌナに頼んだのは、どんなヤツだったんだ!?」
バックミラー越しにシヌがジェルミを見た。
「うん!ミニョが一番綺麗で可愛く見えるモノってお願いした!」
「見れないのは、ちょっと残念だな」
「そうなんだよー!俺も見たかったなぁ」
シヌとジェルミの喜々とした会話を聞いているミナムは、助手席で剥(むく)れている。
「俺の前で、止めてくれる!」
横を見たシヌは、クスッと笑った。
「今更だろう!ミニョは、いつまでたってもかわいい」
ジェルミが口を尖らせミナムを覗き、見上げるミナムは、その額をポカンと叩いた。
「いてっ!何するんだよーミナム!」
「うるさいっ!ふたりともミニョミニョって、一応今は、子持ちの人妻だぞ!うっとりするのは、テギョンヒョンだけで十分だよ!」
うんざり顔のミナムは、ジェルミをポカポカ殴り続けた。
「ミニョは、俺の永遠の天使だもん!」
後部シートを逃げ惑うジェルミは、端によって両手を併せた。
「はぁあ、いつまでも天使じゃないだろう・・・」
「はは、そう言うなミナム!昔みたいに着飾ったミニョは、中々見れないから貴重だぞ」
「シヌヒョンまで・・・」
やれやれと溜息を吐いたミナムは、欠伸をしている。
「でも明日は久々のOFFだから準備も終わったし、これでテギョンが、復活出来るなら良いじゃないか」
「うん・・・まぁね、ホント何を考えているのか解んないだけど、あの曲、良い感じだったけどなぁ・・・」
「そうだよね!何で途中でやめちゃったのかな!」
ジェルミが、また真ん中から顔を出した。
「だけど、テギョンが作ったにしては、ちょっとこう、違和感がなかったか!?」
ハンドルを切るシヌの横顔をジェルミとミナムが、疑問符を浮かべて見つめた。
暫くふたりとも考え込む。
「えっ!?あれ、まさか!?」
「うっそっ!?」
重なる声に顔を見合わせたふたりをシヌが笑った。
「いや、どうだろうな・・・」
「え、えー、だとしたら、どっちな訳!?」
「本当かよ」
「本当なら相当な大物だな」
「怖いなー」
「テギョンが元気無かったのは、ミニョが足りないせいだけじゃないかもな」
勘違いと期待が渦巻く車中で、ソウルまでの数時間、3人の会話は、テギョンとミニョとリン、そしA.N.Jellの中にも新たな風を巻き起こしているのだった。
「おつかれさまです!」
「ありがとうございまーす」
あちこちから終了の合図と共に声があがり、撮影が無事終えられた事を知らせていく。
休憩と衣装の為に用意された控室に向かうジェルミは、キョロキョロしながら誰かを捜していた。
「アッレー、おかしいな!ヒョン達もう戻ったのかなぁ!?」
最後までカメラ前に立っていたジェルミは、撮影スタッフの後ろで話をしていたミナムとシヌが、何処にも見当たらない事に慌てて走っている。
すれ違う人達にありがとうございますと頭を下げながら一目散に控室を目指し、扉を開けて、すっかり着替えを終え寛いでいるふたりを見つけて指を向け大きな声を出した。
「あー、ずるいよーふたりともー!」
椅子を並べて足を乗せていたミナムが振り返った。
「おっそいよー、ジェルミー」
ズンズン控室に入ったジェルミは、カバンをドンッとテーブルに乗せ、私服を引っ張り出した。
「しょうがないだろう!最後だったんだから!」
「早く着替えてね」
「わかってる!」
着替えを引っ張り出しながら、衣装に手を掛けたジェルミは、アレッと手を止めた。
「テギョンヒョンは!?」
シヌとミナムが顔を見合わせ、直にクスクス笑い出した。
「あいつなら大分前に帰ったよ」
「ヘイからメールが来てた!」
Tシャツに腕を通して頭を半分入れていたジェルミは、慌てて首を出した。
「えっ、えー、本当にやったのー!?」
驚く声と裏腹に顔は、物凄く笑顔だ。
「ああ、ミニョが来たらしい・・・今夜リンを預かるそうだ!」
ニヤニヤ笑いながらミナムが取り出した携帯を振って見せた。
「本当にリンをのけ者にするとはな・・・」
呆れ口調でシヌが笑った。
「エー、そんなに足りなかったの!?」
「さぁな、でも、これでプレゼントは無駄にならなかったな」
クスクス笑うシヌは、ジェルミの着替えが終わるのを待ち、ミナムを促して3人で控室を後にした。
「今頃ヒョン驚いているかなー」
シヌの車に最後に乗り込んだジェルミは、前に座るふたりに聞いた。
「そりゃ、驚いているでしょ!間抜けな顔をしているぜ!きっと・・・」
「お前達、人が悪いぞ」
運転しているシヌは、軽く笑っている。
「そんなこと言ってもシヌヒョンだって面白がっていただろう!」
ミナムが笑いながら指摘した。
「いや、まさか、テギョンがそんな事を言うとは・・・」
「俺だってビックリしたよ!まさか、そんな事考えて仕事してんの!って」
目を見開いたミナムは、思い出し笑いをしながらシートに沈んだ。
「ミニョが足りない・・・だっけ!」
ジェルミが、後部シートでテギョンの真似をした。
「俺、めっちゃ恥ずかしかったぜ!思わず後退ったよ!」
寒気を堪える仕種で、ミナムは両腕をクロスさせ震えて見せた。
「準備で忙しかったからな・・・」
この数日を思いやりながらシヌが口にした。
「電話はしてたでしょう!?」
後部シートの真ん中から顔を出したジェルミが聞いた。
「ああ、毎晩してたみたいだけど、大体、一昨日リンと一緒に来ていただろう」
「でもさ、その後の撮影の時、俺にヘイの休みを確認してきたんだぜ!あれは、リンをのけ者にしようというのが見え見えだよ!」
「はは、ヘイが休みで良かったよな」
「ホントホント」
「ところで、ヌナに頼んだのは、どんなヤツだったんだ!?」
バックミラー越しにシヌがジェルミを見た。
「うん!ミニョが一番綺麗で可愛く見えるモノってお願いした!」
「見れないのは、ちょっと残念だな」
「そうなんだよー!俺も見たかったなぁ」
シヌとジェルミの喜々とした会話を聞いているミナムは、助手席で剥(むく)れている。
「俺の前で、止めてくれる!」
横を見たシヌは、クスッと笑った。
「今更だろう!ミニョは、いつまでたってもかわいい」
ジェルミが口を尖らせミナムを覗き、見上げるミナムは、その額をポカンと叩いた。
「いてっ!何するんだよーミナム!」
「うるさいっ!ふたりともミニョミニョって、一応今は、子持ちの人妻だぞ!うっとりするのは、テギョンヒョンだけで十分だよ!」
うんざり顔のミナムは、ジェルミをポカポカ殴り続けた。
「ミニョは、俺の永遠の天使だもん!」
後部シートを逃げ惑うジェルミは、端によって両手を併せた。
「はぁあ、いつまでも天使じゃないだろう・・・」
「はは、そう言うなミナム!昔みたいに着飾ったミニョは、中々見れないから貴重だぞ」
「シヌヒョンまで・・・」
やれやれと溜息を吐いたミナムは、欠伸をしている。
「でも明日は久々のOFFだから準備も終わったし、これでテギョンが、復活出来るなら良いじゃないか」
「うん・・・まぁね、ホント何を考えているのか解んないだけど、あの曲、良い感じだったけどなぁ・・・」
「そうだよね!何で途中でやめちゃったのかな!」
ジェルミが、また真ん中から顔を出した。
「だけど、テギョンが作ったにしては、ちょっとこう、違和感がなかったか!?」
ハンドルを切るシヌの横顔をジェルミとミナムが、疑問符を浮かべて見つめた。
暫くふたりとも考え込む。
「えっ!?あれ、まさか!?」
「うっそっ!?」
重なる声に顔を見合わせたふたりをシヌが笑った。
「いや、どうだろうな・・・」
「え、えー、だとしたら、どっちな訳!?」
「本当かよ」
「本当なら相当な大物だな」
「怖いなー」
「テギョンが元気無かったのは、ミニョが足りないせいだけじゃないかもな」
勘違いと期待が渦巻く車中で、ソウルまでの数時間、3人の会話は、テギョンとミニョとリン、そしA.N.Jellの中にも新たな風を巻き起こしているのだった。