滑り台を慎重に降りるリンの気配を感じながら、薄目を開けるテギョンは、視線だけを動かして、片目でリンの行動を追っていた。
忍び足で、気づかれない様に歩くリンの姿が可笑しくて笑い出しそうになりながらも僅かに肩を震わせ、必死で、堪えていた。
ガチャっと少し大きめの音が響き、慌てたらしいリンが、その場でちょっと立ち止まっていたが、ゆっくり閉まる扉を確認したテギョンは、両目を開けて、上半身を少しだけ持ち上げた。
「ふっ、あいつ、またやるのか」
左の口角だけでニヤリと笑うテギョンは、そのまま仰向けに寝転がった。
その反動に左の腕に乗せられていたミニョの頭が動く。
「・・・う・・・ん・・・オッパ!?」
目元を擦りながら薄目が開いた。
「ああ」
左を向いたテギョンが腕を返す様にすると寝ぼけ眼のミニョの目が上向いた。
「どう・・・されたのですか!?」
また目を閉じるミニョは、うつ伏せてテギョンの腕から頭を引き、布団に顔をくっ付けた。
「ふ、リンが出て行った」
含み笑いのテギョンは、楽しそうに答える。
「えっ!?」
ガバっと起き上ったミニョは、脇に置かれているリンのベッドを見た。
中は、もぬけの空だ。
「えっ!エッ!・・・どこに!!」
キョロキロ見回して慌ててベッドを降りようとしたミニョは、テギョンに二の腕を掴まれ、胸の中に倒れこんだ。
「落ち着け」
ミニョを羽交い絞めにしたテギョンが、グッと抱き寄せる。
「な、何でそんなに落ち着いているのです!」
テギョンの首に回る腕を外そうともがくミニョは、更に引き寄せられ止められた。
「大丈夫だから」
耳に優しく響きを落とす低音が、ミニョを落ち着かせ、上を見る様に頭を動かしたミニョは、テギョンの喉元を見ながら聞いた。
「何かご存知なのですか!?」
「ああ」
テギョンが楽しそうに笑った。
「ふ、あいつ、たまにこの時間に起きるだろう!?」
「ええ、夜が早いと朝も早いですよ」
「ふ、違うな!わざと早く寝てるんだ!」
「えっ!?何故!?」
テギョンの指は、ミニョの顎を撫で上げ、くすぐったさに笑っているミニョは、イヤイヤと首を振った。
「起きる為だろう」
耐えきれなくなったミニョが、テギョンの腕を持ち上げ横に転がった。
うつ伏せで、顔だけ横に向けテギョンを見ている。
「何をしているか知っているのですか!?」
ニヤリと笑ったテギョンも体をうつ伏せ、ミニョの上に乗り上げ、体重を掛けている。
「うっ、グッ、オッパ、くる・・・し」
「地下に行っているんだ」
ミニョの脇腹に手を入れるテギョンは、少しづつパジャマを捲りあげている。
「あそこは、鍵が・・・」
後ろに手を回し抵抗を試みるミニョは、叩こうとした手を掴まれた。
「鍵は、自分で開けているみたいだな」
テギョンの指がミニョの捲った背中を辿った。
「ヒヤッ!!」
体を跳ねさせたミニョは、首も竦む。
「オッパ!喋るか、触れるかどっちかにして下さい!!」
墓穴を掘るミニョは、それに全く気付かず、テギョンの口角が意地悪くあがった。
「そうか」
体重を掛けていた体を横向きに転がし、ミニョの頭の下に手を入れ、顔を覗くテギョンは、真面目な顔だ。
「リンはな、俺の新曲を書き写しているんだよ!俺がいない時に練習しているだろう!?」
「ああ、たまに知らない曲を弾いてる事は、ありますね」
「ふ、俺のだからな」
ミニョを引き寄せるテギョンは、体の上に乗せた。
「オッパは、何故知っているのですか!?」
テギョンの胸の上から見下ろすミニョは、突き出した唇に少し体を引いた。
「俺が、物が動いているのを我慢できないのをしっているだろう!?」
「ああ」
納得顔で頷くミニョは、コロコロ笑い始めた。
「そうですね、リンには、まだ無理ですね」
「ふん、だから、俺が遅い時を狙ってあいつは、早く寝ているんだ」
「そうなのですか!?」
驚くミニョは、また捲られたパジャマにも驚いて背中に腕を回した。
「遊び疲れて早く寝ているのかと・・・」
「お前もあいつも大して変わらないからな」
ぷーっと頬を膨らませたミニョがテギョンを睨むとその頬を突いた手が頬を包み込んだ。
「あいつの秘密の時間なんだろう!放っておけよ」
「オッパがそれで宜しいなら、別に・・・・・・ふぁあ」
欠伸交じりの返事をしたミニョは、目を閉じ、テギョンの胸に倒れようとしたが、添えられていた手が頬を抓っている。
「いたっ、何をするのですか!」
「喋ったんだから、次にすることは、決まっているだろう」
口角を綺麗にあげるテギョンは、満面の笑みで、その顔にギクリとしたミニョは、先程の言葉を思い出したのか慌てて離れようとした。
「やっ、あの、リンが戻ってきたら困ります!!」
相変わらず笑みを浮かべ続けるテギョンは、ミニョの両腕を掴んで体を入れ替えた。
「時間なら大丈夫だ!あの部屋には、ちょっとした細工をしてある!それにリンは、ここじゃなくて真っ直ぐリビングに行く!気にするな!」
確信をしている顔のテギョンは、ゆっくり顔と体をミニョに沈めていった。
リンの秘密の時間は、果たしてテギョンとミニョの秘密の時間でもあった。
忍び足で、気づかれない様に歩くリンの姿が可笑しくて笑い出しそうになりながらも僅かに肩を震わせ、必死で、堪えていた。
ガチャっと少し大きめの音が響き、慌てたらしいリンが、その場でちょっと立ち止まっていたが、ゆっくり閉まる扉を確認したテギョンは、両目を開けて、上半身を少しだけ持ち上げた。
「ふっ、あいつ、またやるのか」
左の口角だけでニヤリと笑うテギョンは、そのまま仰向けに寝転がった。
その反動に左の腕に乗せられていたミニョの頭が動く。
「・・・う・・・ん・・・オッパ!?」
目元を擦りながら薄目が開いた。
「ああ」
左を向いたテギョンが腕を返す様にすると寝ぼけ眼のミニョの目が上向いた。
「どう・・・されたのですか!?」
また目を閉じるミニョは、うつ伏せてテギョンの腕から頭を引き、布団に顔をくっ付けた。
「ふ、リンが出て行った」
含み笑いのテギョンは、楽しそうに答える。
「えっ!?」
ガバっと起き上ったミニョは、脇に置かれているリンのベッドを見た。
中は、もぬけの空だ。
「えっ!エッ!・・・どこに!!」
キョロキロ見回して慌ててベッドを降りようとしたミニョは、テギョンに二の腕を掴まれ、胸の中に倒れこんだ。
「落ち着け」
ミニョを羽交い絞めにしたテギョンが、グッと抱き寄せる。
「な、何でそんなに落ち着いているのです!」
テギョンの首に回る腕を外そうともがくミニョは、更に引き寄せられ止められた。
「大丈夫だから」
耳に優しく響きを落とす低音が、ミニョを落ち着かせ、上を見る様に頭を動かしたミニョは、テギョンの喉元を見ながら聞いた。
「何かご存知なのですか!?」
「ああ」
テギョンが楽しそうに笑った。
「ふ、あいつ、たまにこの時間に起きるだろう!?」
「ええ、夜が早いと朝も早いですよ」
「ふ、違うな!わざと早く寝てるんだ!」
「えっ!?何故!?」
テギョンの指は、ミニョの顎を撫で上げ、くすぐったさに笑っているミニョは、イヤイヤと首を振った。
「起きる為だろう」
耐えきれなくなったミニョが、テギョンの腕を持ち上げ横に転がった。
うつ伏せで、顔だけ横に向けテギョンを見ている。
「何をしているか知っているのですか!?」
ニヤリと笑ったテギョンも体をうつ伏せ、ミニョの上に乗り上げ、体重を掛けている。
「うっ、グッ、オッパ、くる・・・し」
「地下に行っているんだ」
ミニョの脇腹に手を入れるテギョンは、少しづつパジャマを捲りあげている。
「あそこは、鍵が・・・」
後ろに手を回し抵抗を試みるミニョは、叩こうとした手を掴まれた。
「鍵は、自分で開けているみたいだな」
テギョンの指がミニョの捲った背中を辿った。
「ヒヤッ!!」
体を跳ねさせたミニョは、首も竦む。
「オッパ!喋るか、触れるかどっちかにして下さい!!」
墓穴を掘るミニョは、それに全く気付かず、テギョンの口角が意地悪くあがった。
「そうか」
体重を掛けていた体を横向きに転がし、ミニョの頭の下に手を入れ、顔を覗くテギョンは、真面目な顔だ。
「リンはな、俺の新曲を書き写しているんだよ!俺がいない時に練習しているだろう!?」
「ああ、たまに知らない曲を弾いてる事は、ありますね」
「ふ、俺のだからな」
ミニョを引き寄せるテギョンは、体の上に乗せた。
「オッパは、何故知っているのですか!?」
テギョンの胸の上から見下ろすミニョは、突き出した唇に少し体を引いた。
「俺が、物が動いているのを我慢できないのをしっているだろう!?」
「ああ」
納得顔で頷くミニョは、コロコロ笑い始めた。
「そうですね、リンには、まだ無理ですね」
「ふん、だから、俺が遅い時を狙ってあいつは、早く寝ているんだ」
「そうなのですか!?」
驚くミニョは、また捲られたパジャマにも驚いて背中に腕を回した。
「遊び疲れて早く寝ているのかと・・・」
「お前もあいつも大して変わらないからな」
ぷーっと頬を膨らませたミニョがテギョンを睨むとその頬を突いた手が頬を包み込んだ。
「あいつの秘密の時間なんだろう!放っておけよ」
「オッパがそれで宜しいなら、別に・・・・・・ふぁあ」
欠伸交じりの返事をしたミニョは、目を閉じ、テギョンの胸に倒れようとしたが、添えられていた手が頬を抓っている。
「いたっ、何をするのですか!」
「喋ったんだから、次にすることは、決まっているだろう」
口角を綺麗にあげるテギョンは、満面の笑みで、その顔にギクリとしたミニョは、先程の言葉を思い出したのか慌てて離れようとした。
「やっ、あの、リンが戻ってきたら困ります!!」
相変わらず笑みを浮かべ続けるテギョンは、ミニョの両腕を掴んで体を入れ替えた。
「時間なら大丈夫だ!あの部屋には、ちょっとした細工をしてある!それにリンは、ここじゃなくて真っ直ぐリビングに行く!気にするな!」
確信をしている顔のテギョンは、ゆっくり顔と体をミニョに沈めていった。
リンの秘密の時間は、果たしてテギョンとミニョの秘密の時間でもあった。