「ソンセニーム(先生)ソンムル(プレゼント)パダジュセヨ(受け取って)ー」
大きな声と両手で大きく振り回した花籠と坂道を駆け昇って来たリンを苦笑いを浮かべたユンギが抱き止めていた。
「オッボイナルーチュッカハンダー」
「ああ、おめでとう・・・けど、俺にくれるなら15日じゃぁないの!?」
「そうだけどー、ススンエナル(先生の日)は、アッパのライブ見に行くから来れないの―」
「そ、うなんだ・・・ということは、ミニョssiも一緒!?」
「一緒だもーん!一緒じゃなきゃ嫌だもーん」
「ふふ、相変わらずお母さん子だね」
照れ笑いを浮かべたリンを道路に下ろしたユンギが門を開けている。
「今日は、日曜だけどレッスンの約束は、してなかったよね」
「うん!今日は、ハルモニに呼ばれたのーヒジュハラボジとユソンヒョンも後で来るよー」
「ふぅん・・・何も聞いてないな・・・」
門を潜り、リンを促したユンギの前で小さな頭が礼を述べて駆け出した。
「おっ邪魔しまーす!ハルモニーあんにょーん」
苦笑を浮かべて閉めようとした門の前に停まった車に目を止めたユンギは、半分閉めた門をまた開けている。
「ユンギヒョン!あんにょはせよ」
降りて来たユソンが丁寧に頭を下げた。
「やぁ、ユソン久しぶりだね、リンも今来たところだよ」
「あ、じゃぁ・・・」
「先に行け」
車のトランクを開けたヒジュンを振り返ったユソンは、手を振られて駆け出している。
「ソンベ久しぶりですね・・・それ、まさかオモニへのソンムルですか!?」
両手でやっと抱えられる程大きな鉢植えを下ろしたヒジュンがユンギを手招いた。
「馬鹿かあいつが俺からの花なんか喜ぶか、頼まれものだ!それに俺に強請るなら宝石だとこの前言われたぞ」
「ふ、は、そ、れは、アボジも生きておられたらそうなんでしょうかね・・・」
「さぁな、ところでお前墓参りの帰りか!?」
ユンギのネクタイに目を止めたヒジュンが首を傾げている。
「ええ、アボジにオボイナルの贈り物とお供えをしてきました」
「そうか、もうすぐ命日だろう・・・」
「ええ、でも、チェサ(法事)は、もうしないとオモニが仰ってましたので・・・ヌナも子供達に手が掛かって却って帰国するのも大変ですから」
「そ、うか・・・真心のものだからな・・・墓参りでも十分かもな・・・」
「ええ、ハラボジ達のと合わせて、会社で行いますので」
ヒジュンに命令され大きな鉢植えを抱えたユンギも門を潜っていた。
★★★★★☆☆☆★★★★★
縁側では所狭しと並べられた料理とお菓子、花籠の数々に囲まれたミンジの前でリンとユソンが再会を喜んでいた。
「オモニ・・・随分な数ですね・・・全部ソンムルですか!?」
「ええ、ファン家とカン君とミナム君、ジェルミ君も送ってくれたのよ!あちこちから珍しいソンムルを頂けるので、お前が息子で良かったわ」
苦笑を漏らしつつ嫌味も籠った一言にユンギが顔を顰めている。
「A.N.Jell総出で送ってくれたのですか!?趣味の畑作りも結構役に立つものですね」
「ま、嫌味な子ね」
「これは、どこに置くのですか!?ソンベの鉢植え」
「ああ、それは、温室に置いて来て頂戴!こんな場所じゃぁ邪魔で仕方がないわ」
来た道を戻れと言われげんなりした表情を浮かべたユンギは、短い距離を戻って行った。
「息子使いが荒いな」
「あら、今日は、オボイナルですもの日頃の感謝を頂かなくてはね」
「ふ、そうか、いる内が華だ」
「ユソンにちゃんと貰ったのでしょう!贅沢を言うものではないわ」
「そうですハラボジ!僕が稼げるようになったら沢山孝行してあげます!」
ユソンの軽妙な返しにヒジュンが舌を出し戻って来たユンギも苦笑を漏らしている。
「大きな口を叩ける様になったなユソン!」
「勿論です!バンドのお蔭で、お小遣いもアップして頂けましたし!」
「へぇー、そうなのか」
「俺は、聞いてないぞ」
「ハルモニがハラボジのお手伝いが出来るならもう一人前だってくれました!」
ユソンが肩から掛けたバッグを叩いて見せた。
「僕もアッパにお小遣い貰ったよー、ハラボジ達にお花送ったんだー」
「まぁ、まぁ、そうなの偉いわね!そうそう今日来て貰ったのわね・・・」
ミンジがリンとヒジュンを呼んだ理由を話し始め、それを聞きながら感嘆を漏らしたリンは、家に帰るなりテギョンに抱き付いた。
★★★★★☆☆☆★★★★★
「ファランssiの新曲ですか!?」
「ああ、ソンベが書き下ろしたらしい・・・それで・・・」
「リンも参加を!?」
「短いフレーズだけどな・・・レコーディングで帰国するから二三日、リンを預からせてくれとさ・・・」
「・・・大丈夫でしょうか・・・」
心配顔のミニョをテギョンが笑い乍ら引き寄せていた。
「オモニのマネージャーもいるから問題ないだろう・・・それにリンと過ごしたいなんてあの人にしては、大した進歩だぞ」
「まぁ、リンは喜んでいるので、私としてはオッパの処に預ける様なものですけど・・・」
「心配なのは、オモニの方だからな・・・」
「リンに振り回されなければ良いですけど・・・」
寝息をたてるリンのベッドを見つめながら思わぬオボイナルのプレゼントが出来たものだと笑っていたテギョンだった。
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