「『♪~さよならひとつ~俺を~』・・・・・・」
「オンマーっは、はぁ、はぁっ、はっぁ」
「リーン」
両腕を広げステージを降りて来たリンをぎゅうぎゅう抱きしめたミニョは、ジョンアに呼ばれて楽屋に向かっていた。
「リン君達は、そっちよ!体拭いて!着替えてね!」
「アラッソー」
ジョンアから絞ったばかりのタオルを受け取ったユソンとジュンシンが、カーテンの陰に消え、モニターを見つめたミニョは、リンの頬を撫でている。
「ふふ、アッパから伝言がありますよー」
「なぁにぃー!?」
「音が外れたから、減点」
「えー」
「でも、歌は100点満点だそうです」
リンの衣装を脱がせながら絶えず言葉を掛けるミニョにリンの表情がくるくる変わった。
「チンチャー!」
「ええ、ユソンもジュノもハーモニーが綺麗に出来てるって仰ってましたよ」
両手をあげたリンは、鬘を外したミニョからタオルを受け取っている。
「本当ですかぁ」
「まーじー」
上半身裸でカーテンから顔を出したユソンとジュンシンが、互いに縺れ、慌てて手を出したジョンアが、ユソンを抱きかかえた。
「ええ、この調子ならきっと、お願いも聞いていただけますよ」
「やったー!ユンギに自慢出来るー!」
半ズボンを引っ張りあげながら出て来たジュンシンは、抱えられて驚いているユソンの顔に笑っている。
「ふふ、ユンギssiももうスタンバイしてたから、もう少し待っててね」
床に下ろされたユソンは、リンとカーテンの向こう側に押しやられ、ジョンアが、ミニョを椅子に座らせた。
「ハラボジはー!?」
「ヒジュンハラボジは・・・」
ゴソゴソカーテンを揺らしながら着替えをしているリンとユソンは、Tシャツに半ズボンとラフな格好で表に出ている。
「あの、ねーちゃんと何かしゃべってるぞー」
シャツを着ながら廊下を見ていたジュンシンは、前を走り抜けたスタッフに驚いて振り返った。
「あのねーちゃんって!?」
「ユジンssiと打ち合わせ中よ」
周りの慌ただしさに驚いているジュンシンをミニョとジョンアが笑っている。
「うん・・・あのねーちゃん、俺のおばさんになるんだってさー」
「あらユンギssiに聞いたの!?」
「ううん、ハルモニが、おっかない顔したハラボジと喋ってた!ユンギと一緒には暮らさないけど・・・ケッコンするんだってー」
「ふふ、じゃぁ、もう、決まりですね」
嬉しそうに微笑んだミニョと顔を見合わせたジョンアが、化粧道具を拡げた。
「あのねーちゃんすっごい人だってハルモニが言ってたけど・・・そうは見えないよなぁ」
「ねー、オンマー、コモとユンギヒョンが結婚するのー」
「そうですよー」
ドライヤーを髪に当てられながら化粧を直しているミニョは、リンの着替えに目を細めている。
「コモとソンセンニムがケッコンしたらアッパとキョウダイになるんだよねー」
「ええ、そうですね」
ミニョの着眼に気が付いたユソンが、リンの腕をあげさせ、前後を入れ替えた。
「あは!ユソンヒョンありがとう」
「リンってさぁ、変なとこ抜けるよな・・・ミニョssiとそっくり」
「えー、そんなことないもーん」
「えーそんな事無いですよーテギョンssiに似てるでしょうっ」
呆れ顔のユソンに親子でハモルとユソンとジョンアがきょとんとしている。
「あは、ハモったー」
喜ぶリンは、ミニョの後ろのソファで飛び跳ね、戻って来たジュンシンも一緒に飛び跳ねた。
「こらこら、遊んでいるならダンスの練習でもしなさいっ!」
両手に衣装を抱えたワンコーディが、ひょこり顔を出し、楽屋にいた面々が振り返っている。
「あ!オンニ」
「お疲れミニョ!あのね、衣装なんだけど、急で悪いけどこっちに変えてくれる!ジェルミが着替えている暇がなくなりそうなのっ!照明はそのままだけど、十分映えるからさっ!」
ラックに持っていた衣装を掛けたワンは、そそくさと部屋を出て行き、モニターを見たミニョは、ジョンアと顔を見合わせた。
「髪・・・下ろしたままの方が良いですね・・・」
「ええ、アップにするつもりでしたけど、その衣装なら下ろした方が・・・良いですね」
当てていたドライヤーのスイッチを切ったジョンアは、櫛を取り出し、髪のセットを続けている。
「ユンギssiの歌は、アップですよね」
「ええ、オッパとダンスを踊るのでそちらの方が綺麗に見えます」
「その衣装も変更があったんですよね」
「ええ、オッパが、作られた衣装です・・・着せて頂けないと思っていたのですけど許可が出たので」
お腹を抑えたミニョは、口紅を引いた。
「ふふ、オッパと同じステージに立つのですねー・・・何だか今更に緊張します・・・」
武者震いをしたミニョは、ジョンアに笑われた。
「始まったばかりですからね!でも、緊張はしないよりしてた方が良いって言うじゃないですか!頑張りましょう!」
「ええ」
「僕が頑張る―!」
化粧を終えて立ち上がったミニョに抱き付いたリンが、カーテンの向こうへ一緒に入っている。
「リンのお蔭でここに居るのですからねっ!オンマも一生懸命頑張りますよー」
「うん!アッパのコンサートだもん!失敗は出来ないのー!」
ハイタッチを交わし衣装に着替えるミニョをリンが見守っていた3曲目の終了間際だった。
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