小さな小さな手を一生懸命上に伸ばして笑う顔に上から覗き込むように瞳をあわせて、顔に触れてくれる小さな手を愛おしそうに指で触って、その手が握ってくれるのを待っている。
「ふふ、笑ってる・・・」
白く柔らかい布団の上で、まだ上しか見ることの出来ないリンをミニョは、ジーッと飽きる事無く眺めていた。
「かわいい!!目元とかオッパに似てるかな!」
まだ、ほんの数週間、ミニョの体から離れてしまったリンは、一人の人としてそこに存在していた。
「産まれてくれてありがとう!」
毎日、毎日、リンに言って聞かせている。
「オッパとわたしの宝物!たくさんたくさん愛してあげる!!」
にっこりと微笑むミニョの顔をジーッと見ているのは、リンも同じで暫く見ているとニパッと笑って、また手を伸ばす。
「ふふふ」
愛しい、嬉しい笑顔、そればかりが零れている。
「ミニョ!これで良いか!?」
テギョンが、小さな襟の付いた肌着を持って寝室へ入ってきた。
未だ長時間起き上がることの出来ないミニョは、軽い家事程度は熟していたが、大抵の事はテギョンがミニョの手足となって動いている。
「オッパ!すみません!ありがとうございます」
テギョンに頭を下げるミニョは、申し訳なさそうに顔を顰めるが、その顔は、テギョンにとっては不快な様だ。
「頭を下げるな!お前の体の方が大事だ!それに仕方がないことだろう!」
出産という大役は女性にとって負担が大きいの、だから貴方が助けて守ってあげなさいとテギョンはファランに言われていた。
「オモニも俺を産んだ時、辛かったそうだ・・・」
ミニョの出産が近づくに連れてテギョンは、頻繁にファランを訪ねていた。
過去にあったすっきりしない感情を全て捨てられた訳ではなかったが、それでも、別れるまでは母であった時期も僅かでもあった筈だと思って、それを教えて欲しいとほんの短い語らいの場を作っていた。
ファランが、少しでも嬉しそうに語ってくれることが、テギョンの蟠(わだかま)りもどこか小さくして、これもミニョのおかげかなと思いながらそれをミニョに聞かせていた。
「オッパは、どんな感じだったのですかね!?」
ミニョが、肌着を受け取りながらアフガンに包まるリンを抱き上げた。
「さぁな、産んだといってもあの人の周りには、他人が大勢いたからな・・・世話をしていたのも実際は別の人のようだし・・・」
テギョンは何処か淋しそうに話し、それがミニョにとっては少し辛かった様だ。
「オッパ・・・」
「ふ、そんな顔をするな!リンが心配するだろ!?」
ミニョの体にくっつく様にベッドに座ったテギョンは、その頬に自身の頬を擦りつけ、腕に収まる小さな顔に指を伸ばした。
「ふ、良く笑うな!」
「ええ、とっても可愛いです!!」
ミニョが、肌着を持ち替えながら、テギョンに顔を向けるようにリンの角度を変えてやる。
「まだ解禁には出来ないからな!ジェルミが、早く見せろと言っていたが、あと一週間はダメだな・・・」
「そうですね・・・やっと襟付きを着せてあげられますから・・・」
ミニョがリンの顔を覗き込んであやしながら言った。
「ああ、解禁日には、皆を呼ぼうと思っているけど、無理はするなよ!」
テギョンがミニョの肩を抱きながら心配そうに口にすると、大丈夫ですよとミニョがクスクス笑っている。
「病気ではないのですから、オッパは心配しすぎです!」
「そうは言ってもな・・・」
男の自分には解らない事だと続けたテギョンは、グッと引き寄せたミニョの顔を傾けさせるとその唇に軽くキスをした。
「お前にありがとうって言ったか!?」
「言いましたよ何度も!」
「何度言っても足りない気がするな!」
「何度聞いても嬉しいですけどね!でも・・・」
ミニョは、リンを抱いたままテギョンと向き合うと、にっこりと天使のような微笑を浮かべている。
「オッパにとても感謝しています!素敵なエンジェルをわたしに与えてくださって、わたしに家族を下さって本当にありがとうございます!!」
真っ直ぐにテギョンを見るミニョは、嬉しそうに微笑むのに何故かその瞳に涙を溜めている。
驚いたテギョンは、泣くなと言ってその目元を親指で拭っていく。
「それは、俺の言うことだな・・・お前が俺の家族になって、またもう一人増えて・・・愛せるものが増えたんだ!お前のおかげだ!」
テギョンは、ミニョの頭に腕を廻すと額をぶつけ合うように擦りつけ、ふたりの間にいるリンを見つめた。
「俺達の宝だろ!お前と俺の大事なものがまた一つ増えた!いつかお前に誓ったように俺はお前とこいつを守っていく!感謝しているのはお互い様ってことだ!」
「ありがとうございます!」
ミニョは、テギョンにまた頭を下げるとゆっくり立ち上がって隣に置いてあるベビーベッドへ歩いて行く。
それを見ながらテギョンもゆったり立ち上がり、ミニョの隣に立った。
「ふふ、やっと襟付きですね!」
リンからアフガンを剥ぎ取ったミニョは、小さく柔らかな体に薄い肌着を着せてやる。
「記念日は、大事ですからね!」
前のあわせを止めてやると肌触りが気持ちよかったのかリンが一際、笑った。
「あはっ!オッパと同じ顔ですね!」
テギョンの子供のような笑顔と同じような笑顔が見えたことにミニョが嬉しそうにテギョンを見たが、そうかと言ったテギョンはリンを覗き込んで、お前だろと言っている。
「では、どちらにも似てるということで・・・」
ミニョが嬉しそうに両手を併せるとその腰に後ろから手を廻したテギョンが、そうだなと言った。
「どっちにも似てる!俺とお前の子だ!」
「ええ、わたしとオッパの子です!」
一生懸命上に伸ばされる手にふたりで指を伸ばして、リンがその両方の指をしっかり握ってくれると二人顔を見合わせてどちらからともなく頬を寄せていく。
ふたりだけの時間に小さな天使が一人増えて、益々幸せが増えていくことを予感させるそんな一時だった。
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
アフガン=おくるみです!
子供が生まれると7日目に祝うのは日本も同じだったかなと思いつつ、
14日目は襟付きの肌着を着せて祝うそうで、
21日目までは、隣、近所、友人などには子供の健康を祈る面から
解禁しない習わしがあるそうですが、
現代には薄れているのかなと思いつつ書いてみました。
★★★★★☆☆☆★★★★★
どうなんだ!?なんかまだ混同してるのかと思いつつ・・・書いてるけど・・・
どっちかと言うと違う感じも・・・(^^;)
混乱しつつも頑張っていきます!また呼んでいただけたら嬉しいです!!
最後まで読んで頂いて、ありがとうございました(*⌒∇⌒*)
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