ここへ入ることを決めたのは自分の意志だった。
何より彼女に近しい場所に居られると今更国に帰れない身はそれでも一人娘を遠くからでも案じれることに安堵した。
謀略を知った一枚の写真。
彼女の両親はそうでもなかったが叔父という人物はかなりの野心家で、国の根幹に携わる事業の陰で悪事を働き企ててもいた。
ある人物との接触。
それを写してしまったのは本当にただの偶然でしかなく臨月も間近い彼女にそれを打ち明け任せろと言われたのがそもそもの間違いだった。
僅かひと月後に生まれたばかりの子を連れて国に帰れと言われ何をするつもりかと聞いたが答えはなく、解っていたのは暗殺の阻止。
後継者の暗殺の阻止だった。
中央などというものは闇と同じで見えないものが多くあり有象無象を排除したが故の真っ新。
その刷新を愉快に思えない者たちにとっては暴挙に出るのも一つの手立てで、それが実行されようとしていた。
少なからずそういう歴史の上に生きている者にとっては致し方ない考えでもあろう。
しかししかしそういった経験上に居ないものにとっては暴挙以外の何物でもないのだ。
止めたかった。
止められなかった。
何より彼女の生業を知ってもいたから。
家を守り、人を守り、守護を生業としていた彼女の家系。
後継者を守りぬくことが唯一の使命。
そうしてそれを成し遂げた。
雨が、降った。
私がお前を連れて国に帰り、お前を捨てたあの日も雨だった。
決意は変わらなかった。
ただお前の身だけをその場に残すことに後ろ髪を引かれても振り返れなかった。
どうやってその場に戻ったのかそれは些末なことだ。
ただ見遣った光景はこの世のものとは思えないものだった。
彼女の手を掴もうとして振り払われた。
その場に残ることを選んだ彼女の決意にそれ以上の水も差せなかった。
そもそも私は逃がされた身。
生きろと逃がされた身なのだ。
彼女の身分は保証をされた。
両親も。
叔父の暴挙であったが郎党は一部と可否されたためだ。
その者たちの処分に立ち会った。
私の撮った一枚の写真。
それが始まりだったから。
────君がこれを読んでいるということは私が生きていることも知ったのだろう。
会いに行かなかったことを謝るつもりはない。
許してもらおうとも思っていない。
君が君の人生を歩めれば良い。
会いに来られることも吝かではない。
いやむしろ今ならいつかは会いたいと思う。
美しく成長したであろう君に会いたいと思うのだ。────
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