およそ民族衣装というものは、共通の言語や文化、宗教や歴史、伝統を共有する者達のステータスとシンボルであって、もし自分が特定の地域へ出かけて行って見るものならば、存外穏やかな心持で特別な抵抗感も無く受け入れられるものであろうが、異国の中にあっては、異質を感じざる負えず、畏敬を持ってしまうものだ。
そんな集団の移動を見ていたテギョンは、顔をあげたミニョが差し出したネックレスに首を振った。
『良いだろう。ふたつだけで良いか!?』
『えっ、だったら、ヒョンが選んだやつだけで良いです。こっちはいらな・・・』
飾ってあった位置に戻そうとしたミニョの手首を掴んだテギョンは、既に店主と話をして、ミニョの手から抜き取られたネックレスが、箱に収まっていた。
『パーボ、一つは、テジトッキのだ!お前のは、こっち』
テギョンの選んだものがミニョの手に乗せられ、ぬいぐるみへの土産と聞いて不思議顔で曲がる頭が引き寄せられていた。
『あいつは、俺の愚痴を半年以上も聞き続けたんだぞ。いつまでも同じネックレス付けたままじゃ可哀想だろう・・・たまには労ってやらないと』
納得顔で嬉しそうに頷いたミニョの手にもうひとつ袋が渡され、金を払ったテギョンは、店主に挨拶をしたミニョを伴って歩き出した。
本音は、ミニョの好みを知るチャンスだった。
それがサプライズでもプレゼントを喜ばない事は、今まで無かったミニョだが、テギョンはその好みをまだよく知らず、自分で選ぶ時間も楽しいが、出来れば、もっと嬉しそうな顔を見たい。
そんな事を思いながら、車を停めさせて貰った民家へ戻ったテギョンは、隣家の玄関に立つ先程の集団を見つけて驚いていた。
『あっれー、スハssiと同じような服ですね』
きょとんとしたミニョもそちらを見ていた。
呼び鈴に応えて中から出てきた住人も服装こそ洋装だが、頭から布を被り、顔を半分覆っていて、何気なく向けられたであろう視線がテギョンを見て一瞬眉根を寄せ扉を閉めていた。
『ヒョンニム!?どうかされましたか!?』
気のせいかとそう思いながら、ミニョに応えたテギョンは、鍵を開けてそれを投げ渡した。
『ちょっと待ってろ!礼を言ってくる』
露店で買った小さな菓子を手に民家へ駆け出したテギョンだった。
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