お前は、と掴み直した腕に歪んだ顔からそれは消えていた。
痛いと顰められたミニョの顔にその面影はもうなかった。
不思議な顔で腰に乗るミニョを見上げ繋がった視線にテギョンは、その瞳の奥を見つめ直した。
『どうされました!?』
ミニョの目の奥で嘲る様にひとつ、笑った顔が、背中を向けて遠ざかって行く。
『なっ!』
ガッとミニョの頬を顎を両手が掴み、乱暴に引き寄せた。
額をくっつける程引き寄せ目を見開くミニョの瞳を覗き込むテギョン。
だが、そこに映っているのは、テギョンだけだ。
『俺っの・・・ミ、ニョ・・・』
振り返った時には消えていた。
衝撃に呼び起こされた感応は、墓場のテギョンの目には映らなかった。
やがて、目を覆ったテギョンの肩を押したミニョは、そのまま倒れてしまった体を見つめ首を傾げていたが覆い被さる様に倒れ込んだ。
さわさわと胸を撫で擦る手の横で欹てられた耳が笑みを浮かばせる。
『何かぁ見えたのですかぁ!?』
甘い声が、唇と一緒に胸に落ちていた。
『・・・見えたというか見えないというか・・・お前・・・それは、反則だ、ろう・・・』
『反則!?』
『・・・もうひとり・・・・・・の中にいるんだ・・・な!?』
『なんの事でっ!っすっ』
独り言の様な呟きに返され様とした返事が吸い込まれていた。
噛みつく様にぶつかった唇が、ミニョのそれを呑み込み、息継ぐ間も待たずにまた重ねられ、遠ざかる筈だった背中は天地をひっくり返されていた。
『チッ!邪魔をされるのは一度で十分だ』
『なっ・・・ぁん』
顎から首筋へ胸の鼓動が唇を押し返す。
背凭れに零れ残されたミニョの手をテギョンが、首に巻き取った。
揺れた体は抱き上げられ、両手を巻き付けた顔が、口付けを強請ったまま、寝台に下ろされた。
『もっと、強請れよ』
『嫌です。強請ったら酷い事をなさるでしょう!?』
『ふっ、それは、酷いことをしてくれと聞こえる』
『えっ、違っ・・・んんっ』
あっという間に身ぐるみ剥がされたミニョが転がっている間にテギョンも服を剥ぎ取っていた。
放り投げられた上着が床に落ちたその瞬間、引き寄せられたテギョンは、ミニョに唇を塞がれ再び天地をひっくり返されたのだった。
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