『あーミニョだー!おかえりー』
呼び止めたミナムの後ろからジェルミが先にミニョに駆け寄って来た。
『ヒョン、何してんの!?』
解りきった事を聞くミナムに不満そうなテギョンは、ミナムに抱き付いて頭を撫でられるミニョを忌々
しそうに見た。
『こいつが、帰国したなら俺と話す事がある・・・』
『んんー!?でも、それって、俺が一任されたよね』
テギョンの逡巡に笑ったミナムは、ミニョの手を取るとジェルミを呼んだ。
『どこ、どこ行くミナムっ!』
『どこでも良いぞー、お前は何を食いたいんだ!?』
『バーベキューにしようっ!いーいところ見つけたんだー』
ミニョを間に歩き始めたジェルミとミナムが、両手を握っていた。
振り返るミニョの顔にミナムの背中を睨んだテギョンが待てと言っても止まる気の無いミナムは、階段を降り始め、テギョンを振り仰いだ。
『あのさーヒョーン俺達ミニョと飯食ってくるからぁ。荷物は、テキトーに運んどいてねー』
にっこり笑って手を振って、戸惑っているミニョとジェルミを促したミナムは、走り出さんばかりの急ぎ足で行ってしまった。
『な・・・俺に誘いの一言も無しか・・・』
飯を食いに行くなら誘えと普段なら決して自分からは言わない台詞を口に出したテギョンも戸惑っていた。
そもそも誘われても迷惑だ。
年長者への礼儀と仲間としての親睦は、ある程度認めるが、仕事に関連しないなら断って来た。
それが、ここ最近は、友達感覚というのだろうか、ミナムとジェルミが良く一緒に楽しく話をしているのを見ていると何故俺に声を掛けないと思ってしまう。
『うっ・・・有り得ん・・・ミナムが来てからおかしな事ばかりで自分が無くなっていく・・・』
ゾワリと悪寒を感じたように自分を抱いたテギョンは、スーツケースに目を移して舌打ちをした。
『チッ!コ・ミニョ!お前のせいだっ!あいつらじゃ無くて俺の話を聞けよっ!ったく・・・』
言葉も返らない物に八つ当たりをし、それにもまた思考を停止させたテギョンは、暫く立ち尽くして、溜息と共に宿舎に戻っていったのだった。
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