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loveYou're Beautiful❦Story it was based Korean drama "You're Beautiful" secondary creation.❧ Hope to see someday"You're Beautiful" of After that. Aliasすずらん──長い長い「物語」を続けております。貴方の癒しになれる一作品でもある事を願って。イジられキャラテギョンssi多(笑) 交差点second掲載中❦フォローしてね(^▽^) コメディ・ほのぼの路線を突っ走っています(*^▽^*)あまりシリアスは無いので、そちらがお好きな方は、『悪女』シリーズ等を気に入って頂けると嬉し。 『テギョンとミニョの子供・・・』という処からお話を始めオリキャラ満載でお届けしておりましたが、登場人物も交差し始め統一中。 長らくお付き合いいただいている方も初めましてな方もお好きな記事・作品等教えて頂けると嬉し(^v^) ご意見ご要望はこちら★すずらん★メッセージを送ってください。BM仕様限定のごくごく一部解除しました。 尚、当ブログ内の著作権は、管理者に帰属するものであり、転載・転用は固くお断り申しあげます。また画像等の著作権・肖像権は、発行元に帰属するものでありこちらも転載・転用は、ご遠慮願います。
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御伽噺────花は盛りの月は隈(くま)13────

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『何年ですか』
カン将軍の休む寝所を後にしたテギョンは、隣室で、侍女を全て下がらせたシヌが、手ずから淹れるお茶の手さばきを見つめて相変わらずだと感心していた。
『3年になる』
ジェヒョン王にも同じことを訊ねられた。
それは、テギョンが放浪を始めた時節から数えて3年目であって、旅を始めたのは、もっとずっと前の事だ。
『二十と五つほどをとうに越されましたな』
『ああ、お前もだ』
シヌとテギョンは、同い年だ。
同じ年に同じ場所で、一月違いの生を受け、身代わりにされた子供は、カン将軍の実子だった。
テギョンを育てたカン将軍。
実子に臣下として仕えていた。
それに気が付いたのは、いつだっただろうか。
気が付いた時、もう戻れないのだと諦めたのは、何故だったろうか。
貴方の息子は、私では無いのかと亡き者として生きるのかと父に迫る事もせず、臣下とはそういうものだと苦しい胸の内など知らず責める事も叶わなかった父は、今はもう話すこともままならない。
父として子として過ごせたのは、この3年では無かったか。
時が、止まってしまえばよかったのに。
そんな事を考えているシヌの淹れたお茶を飲むテギョンは、屈託の無い顔で笑っている。
『うん、美味いな!やっぱりお前の淹れるお茶は好きだな』
何をしにとは、問わなくても解っていた。
ファン・テギョンという男がカンという人物を捜していると聞いたのは、2年も前の事だ。
此処は、遠い東の果ての小さな国で、国家として成り立ってはいるが、それさえも忘れそうな程、小さな小さな城だけの国で、民も臣下も王も全てが、一纏まりに暮らしている。
それもその筈、この国に辿り着く為には、果てしなく険しい谷を越えなければならない。
且つて、此処を築いた先導者は、山を開き、畑を作り、街を創り、谷を越える者を受け入れた。
孤高聳える城は、隠れ里の様にここに国が在る事さえも世間からは忘れ去られているに等しい。
『俺が捜していた事は・・・』
低く、テギョンの声がシヌに届けられた。
しかし、答える事の無いシヌは、南の戦地について話し始めた。
『一国の王が逃げ出して混乱しているとか』
『あ、ああ、逃げ出したというか・・・婚姻を理由に城を出た・・・海向こうだ』
一瞬の戸惑いを見せたテギョンは、シヌの無表情に従っていた。
捜していた事を知っていたのか。
そう思っても口に出せないテギョンが、話を続けた。
『若い王だったからな・・・国のこと等何一つ考えちゃいなかったそうだ』
『それで、お節介を!?』
『はは、お節介なのかどうかは、判らない・・・ただ、助けてくれと言われて断れなかった・・・』
知らず、人が集まり、知らず、その頂点にいて、知らず、下の者の面倒を見て、知らず。
知らないだろうと思っていたことを玉座を下りる時、テギョンにぶつけた。
知っていたと答えたテギョンにシヌは、何も言い返せなかった。
母のせいだろうと笑うテギョンに親を取られたのはお互い様かと思い、むしろテギョンの方が、預かり子として育ち、手の届くところに居た両親を父母と呼べないテギョンの方が、辛かったのかもと思い直した。
取り替えられなければ、テギョンが王だった。
テギョンならば、王として立つ玉座を開け渡す事も無く逃げる様に去る必要などどこにも無かった。
『・・・い、おい!カン・シヌ!何を考えてる!?』
『え、あ、ああ、いえ・・・』
話を切り出したのはシヌなのにあまりに状況が似ている事が胸を苦しくさせていた。
『もしかして同じだと思っているのか!?』
『え!?』
『南のその国の王がしたことだよっ!』
『えっ・・・ああ・・・いや・・・』
歯切れの悪い否定は、肯定だ。
別なことを考えていたと言い訳をしても目の前の美丈夫には通用しない。
鋭いのだ。
運が良いとも云える。
知恵を絞って立ち回り立場を捨てる為に血の繋がらない弟を王座に据えた自分とは違う。
欲したのは、ただ、肉親の愛情。
死にゆくならば傍に居たいというその想い。
一国の王では叶わぬ夢。
『死期が近いと退いた将軍の為だろう・・・』
『いえ・・・俺の我儘です。せめて最後位・・・王と臣下では無く、親子として暮らしてみたかった』
『取り替えた母は、もういなかったのだから、父と呼んでも良かったのに・・・』
『それでは、他に示しがつきません・・・私は、ただのカン・シヌになりたかっただけですよ』
両親とテギョンの母以外、誰も知らない事だった。
母として存在した人は他人で、乳母として傍に居た人こそが母であった。
その乳母が病に倒れ、やがて亡くなり、遺品を整理していて知った事実。
引き取りに来たカン将軍を一度だけ問い質した。
テギョンを。
ファン・テギョンを守らねばならぬと。
それが、将軍家の宿命だと。
王座に立つのは誰でも良いと。
降りても良いと言ったカン将軍の答えに出した結論だ。
『それで・・・一緒に・・・来てくれるか!?』
沈黙に耐え兼ねたテギョンが、重く口を開いたのだった。

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