★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
『TRICK or TREAT!?』
『TRICK and TREATだろう!?』
夕方から始まったチャリティーステージで演奏をしていたシヌとユンギは、拳を握りしめるテギョンの両肩を叩いて手を乗せていた。
『ハロウィンまでプレゼントを貰えるお前ってやっぱり一番の幸せ者だよなぁ』
『ソンベの演奏ってやっぱり良いな』
ちぐはぐな会話をするシヌとユンギは、揃って腕を突っ張っている。
『ハロウィンだからさぁ仮装は、まぁ、してた方が良いだろう』
『そうそう、あれじゃぁ誰だか解らない』
テギョンの肩を掴み、背中で揃って顔を見合わせた。
『別に企画してた訳じゃないぞっ!オモニが手伝いに呼んだだけだし』
『俺もリンに頼まれた物を買ってきただけだしな』
開かれた掌がまた拳を握り直している。
『そ、れで!?・・・つまり・・・ガキの知恵だから許せ・・・と言いたいのか・・・!?』
低い唸り声にそっと手を外したユンギは、一歩後退った。
『あー、まぁ、リンの考えなんて俺には到底及びもつかないっからっなっ!!!!』
振り向き様の拳にピョンと跳ねたユンギが笑い、肩を掴んでいたシヌがテギョンを引き戻した。
『ったく、あいつに有意義な考えなんかあるかよっ!ミニョと同類だっ!』
『接触事故を避ける辺りは、テギョンと同類だろう』
『ぁあ!?どこがっ!あれはっ、既に事故だろうっ!奇妙な格好をさせやがって!』
ステージを見つめたテギョンは顔を覆っている。
『でもさぁ・・・綺麗なかぼちゃが踊ってるだけじゃん』
『気味が悪いだろっ!かぼちゃの頭にセクシーすぎる体だぞっ』
テギョンの指先を見たユンギは、シヌを見て笑いながら首を傾げた。
『へー、あの格好は気に入ってくれたんだぁ』
『なっ・・・』
『どうやらそうらしい、気に入らないのはかぼちゃ頭だな・・・』
予備のギターケースを開けたシヌがテギョンに渡している。
★★★★★☆☆☆★★★★★
『ねー、オンマー、アッパが睨んでっるー』
軽快に踊るミニョの前でリンが向き合ってお辞儀をしていた。
『えー、やっぱりですかぁ・・・この格好、オンマは嫌いじゃないのですが・・・オッパはねぇ』
リンに両手を広げたミニョは、手を取ってくるくるステージ上を回っている。
『お腹が出過ぎー!?』
『露出が多過ぎるってよく言われますからねぇ』
『だーかーらー、かぼちゃを被ったのにねー』
『うっ、さーて・・・どうっしまっ、しょうかー』
リンを抱えたミニョは、くるっと回って下ろし、子供達と手を取りあって、お辞儀をした。
★★★★★☆☆☆★★★★★
『ね、ね、ヒョンがステージに出るみしゃい』
ミナムの袖を引っ張ったジェルミは、膝に乗せたスヨンに唇を押されていた。
『あぁん!?ボランティアをするのか!?珍しいな』
『あのかぼちゃミニョでしょう!?あんな衣装着て・・・随分セクシーよね』
ミナムの膝に座るウォンと手遊びをしていたヘイもステージを見ている。
『まさかっ!あれに怒ったとか!?』
『あー、ヒョンなら有り得るんじゃね!?』
『えーセクシーだけど似合ってるし可愛いよー、あんなので怒ってたら復帰させた意味ないじゃん』
『復帰は関係ないだろう・・・ミニョだっていい年だぞー、いつまでもセクシーは・・・』
顔をあげたミナムの前でヘイが片目を閉じた。
『ちょっと!どういう意味よっ!おばさんはセクシーじゃぁいけないのっ!』
『おっ、ちっ違うぞっ!ヘイはいつまでもそのままでいろよっ!』
『チッ!わたしの方が年上だって解ってる!?』
『わっ、解ってる!解ってるよっ!似合ってるんだからそれで良いと思うっ!!!!』
立ち上がったヘイをウォンをジェルミに押し付けたミナムが追いかけている。
『ちょ、待てよーユ・ヘイっ!冗談!冗談だろうっ!』
そっぽを向いて歩くヘイに縋るミナムを見つめるジェルミは双子に顔を押された。
『ふー、俺、何も言わなくて良かったぁ・・・ヘイssiのあの格好もミニョと大差ないよなぁ・・・』
きゃっきゃと笑う双子に頬をすり寄せ、ステージを見ている。
★★★★★☆☆☆★★★★★
マイクを握ったテギョンは、ステージの中央へ歩きながら観客に挨拶をした。
『ヨロブン(皆様)HappyHalloween!ファン・テギョンです!友人の誘いに乗って一曲披露させて頂きます!お菓子を貰っていない人は、かぼちゃの親子がお渡ししますのでそちらに並んでください』
ステージを降りたミニョは、脱ぎかけたかぼちゃを被り直し、慌てて手を振っている。
『なっ、オッパっどういうつもりっ・・・』
『アッパって意地悪だもんねー』
『うっ、オンマは、TRICK もTREATも言ってません・・・けど・・・』
小さな子供からお年寄りまで、散策の途中らしき人々も列を作り始め、枕をミニョのお腹に当てたリンが前に立った。
『リ、ン!?何ですか!?』
お腹に当たる枕に首を傾げたミニョは、リンと並んだジュンシンとユソンに籠を渡している。
『あのねー、アラビアンナイトの仮装が良いってユンギヒョンにお願いしたらねー、千夜一夜眠れない話だぞって教えてくれたのー、でもねー寝ないとオンマが疲れちゃうし、お腹が出てるとアッパが怒っちゃうからー隠そうと思ってシヌヒョンにお願いしたのー』
『は・・・ぁ・・・』
お菓子を持ったリンは、ミニョのお腹に当てた枕に頭をくっ付けている。
『ふふ、僕がオンマのお腹で寝るんだもんねーここは、僕の特等席だもーん』
『えっ!?』
『アッパにはあげなーい!オンマのお腹は僕の物ー』
『ちょ、リンッ』
くるんと振り返ってミニョに抱き付いたリンはステージに立つテギョンにお面を持ち上げ舌を出した。
『っ・・・そこっ!かぼちゃ!幾ら親子でもくっつきすぎだっ!もっと離れろっ!』
曲の途中で、マイクを握り締めたテギョンが怒鳴っている。
『やーだー、お菓子をくれなきゃいたずらするって言ったもーん』
『菓子なら幾らでもやるっ!trickは、俺の特権だっ!』
怒鳴りながら歌に戻ったテギョンは、横目で下を睨み、お菓子を配っているジュンシンも隣を見上げ、涼しい顔で黙々と配り続けるユソンとステージで笑っているヒジュンとシヌとユンギ、思いがけないファン・テギョンの一面を目にして驚き、戸惑い、でも微笑ましそうに小さなかぼちゃを応援して去っていく人々にかぼちゃマスクの下で頬を染めるミニョと遠くでヘイに寄りかかりながらお腹を抱えたミナム、取り残されたテーブルであんぐり口を開けたジェルミの口に拳を突っ込んだ双子とミニョに擦り寄ってニンマリ笑ったリンのそんなとあるHalloweenの一日だった。
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
すっごく久しぶりなリンらしい話だった!?えへっ(;´∀`)楽しんで貰えれば上々!
拙ーいお話にいつも付き合ってくれてありがとうございますo(^▽^)o
もひとつ!こちら勿論続きな限定おまけをどうぞ(^^)/ベリーベラドンナハロウィン!?