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額を抑えて蹲ったテギョンにあたふたしたジェルミだったが、首を傾げて楽屋を出てきたミニョに視線を移して感嘆の声をあげた。
「わっ、ミニョ!それで行くの!?」
「はい!ジェルミ!オッパに買っていただきました!」
ドアの陰を覗き込んでジェルミに舌を出して見せたミニョは、テギョンそっちのけで会話を始め、ジェルミも向きを変えている。
「風船みたいだねー」
「バルーンドレスっていうんですよー」
「胸のレースも可愛いねー」
頬に握った拳を当てて、上半身を左右に動かして見せるミニョにジェルミは、瞳を閉じ、ミニョもまた同じポーズで応えた。
「ありがとうございます!ジェルミは、着替えないのですか!?」
「うん!フォーマル指定だって聞いてるから、一度、事務所に帰って着替えてくる!」
鏡心を図ったふたりに見上げたテギョンが、おもむろに立ち上がっている。
「お前っ達・・・俺を無視かっ!!!」
「オッパー、そんなに強くは、ぶつけてないですよー」
額に翳された手のひらを睨みつけ腕を取ったテギョンは、ミニョを背中から羽交い絞めにした。
「・・・・・・ぶつけた自覚があるんだな・・・」
「えっ!?えーえーえーえーとー」
首に回った腕を両手で掴んだミニョは、苦しそうにもがいている。
「チッ!ったく、コ・ミニョ!俺は、早くしろと合図はしたが、こんな格好で出て来いとは言ってないぞ!」
ミニョを抱きしめながら、ジェルミを睨んでいるテギョンは、肩に乗った細い紐を持ち上げ、ミニョのお腹に腕を回した。
「普通のお洋服ですぅ・・・可愛・・・い・・・」
「肩が出すぎだと言ってるだろうが!!」
「オッパが買ったんだから良いじゃないですかぁ」
むっと脹れてもがく頭の上で嘲笑を零したテギョンは、回した腕で、ミニョを持ち上げ、踵をあげたミニョが、大きな目を丸くしている。
「ストールも一緒に買ってやっただろう!ボレロじゃ暑いとか言いやがって!」
バタバタと爪先をあげたミニョをそのまま軽々抱き上げたテギョンは、ミュールの脱げた足に目を細めた。
「靴はどうした!?」
「あー、靴は、え、えっと・・・」
「忘れたとか言わないよな」
バランスを崩したミニョの慌てて首に回された腕に満足げな笑みを零したテギョンは、一転して眉間に皺を寄せ、つま先を見つめて、テギョンの顔を見たミニョは、ゆっくり首を傾げている。
「笑って誤魔化すな!!!チッ!まぁ、良い・・・どこかで買ってやる」
「えー、いらないです、これで十分です」
むむと突き出した唇でテギョンを見上げるミニョにジェルミに向って顎をあげたテギョンは、慌てて扉を引いたジェルミに背を向け、楽屋のソファにミニョを下ろした。
「俺が気に入らないんだよ!上から下まで揃えてやったのに俺が疑われるだろ」
「オッパが、選んだとは、誰も思わないですよー・・・」
ソファに座って両足を持ち上げたミニョの前でテギョンが廊下を振り向くとジェルミがミュールを持ち上げている。
「そう書かれてきただろう!今まで!どこまでも俺のせいにしやがって」
「ヒョンが、そういう風にしたんじゃん」
「あ!!!?」
ミュールを持って近づいてきたジェルミにテギョンの冷たい視線が飛ぶとぶるぶる首を振ったジェルミは、貼り付けた笑顔でミニョに素早く手を振った。
「なっ、何でも無いっ!じゃ、じゃぁね、ミニョ!後で会おうねー」
「はい!ジェルミ!気を付けて!ありがとうございます!」
手を振るミニョにその手を下げさせるテギョンは、横に座った。
「ラジオに出演するなら、そう言っておけ」
「ミナムオッパが、テギョンssiには、お話してあるから大丈夫だって、マ・室長がお迎えに来てくれましたよ」
変わらず両足を上げているミニョの脚も下ろさせたテギョンは、シフォンのスカートの裾を捲っている。
「リンがラジオを点けなかったら俺は、知らないままだったのか!?」
「お仕事してくるから聞いててねと言いましたよ」
慌ててスカートを抑えるミニョに肌に触れたテギョンは目を細めた。
「俺には言ってない」
「オッパも知っていると思ってましたもん」
テギョンと視線を合わせたミニョは、傍らに置いてあるバッグからストッキングを取り出している。
「オッパ!わたしは、いつまでも半人前ですか!?」
「どういう意味だ」
ムッとした顔で、立ち上がったミニョは、楽屋の隅に設置されたフィッティングルームに駆け寄った。
「オッパにとって、コ・ミニョはいつまでも半人前の頼りない奴ですか!?」
「俺の優位を脅かすのか!?」
「オッパは、ずっと、年上ですから脅かせません」
チョコンと顔だけ出して動く影にテギョンが笑みを零している。
「ふ・・・ん・・・良く解ってるじゃないか・・・・・・お前が一人前になったら、俺の立場がなくなるからな」
ジェルミの放り投げたミュールを拾ったテギョンは、フィッテイングルームの前に置き、小さく唇を突き出して指を当て、カーテンを引いた。
「お前が何でも出来る様になったら、俺は、お前を守る理由が一つ減るだろ」
背中を向けて椅子に座っているミニョの肩に手を乗せている。
「お前を守るのは俺だ!俺がお前の道標だ!迷ったらまず星を捜せ!旅人の鉄則だ!」
「オッパには、星は見えないんじゃ・・・」
「だからお前が居るんだろう!俺に見えるのは、天体だけだからな」
たくし上げていたスカートを慌てて下ろしながら振り返ったミニョであった。
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あんにょん
11月も後半になりましたね(^^)/先日も大きな地震があり心臓バックバクでした(~_~;)
皆様の地域は大丈夫でしたか('Д')備えあればで、頑張りましょう(*´▽`*)
更新も無いのに訪問して頂いている皆様いつもありがとうございます。
おひとりおひとりにはお返しできないですが感謝しております_(_^_)_