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「ヒョン!どう!?」
「・・・・・・イメージガワカナイ・・・・・・」
嬉々としてボーカルブースから出て来たジェルミにコントロールルームの音響装置の前で、ミキサーの摘みを絞り込んだテギョンは、大袈裟に頭を抱えた。
「えー、俺、良い歌だと思うよー」
「良い歌なのは、俺もそう思うさ・・・チッ!お前とミニョというイメージが・・・」
「ソンベが選んでくれたんだよー!俺も認められたんだ!」
ギロリと動かした瞳で下からジェルミを睨みつつ、唇を動かして振り向いたテギョンは、両の拳を握って天井を見上げているジェルミにぎょっとして、顔を半分を覆っている。
「歌は、まぁ、そこそこだな・・・どんな反応が起きるか・・・・・・想像できない」
悦に入ったジェルミに呆れた表情で首を振ったテギョンは、シヌとミナムに気付いて手を挙げ、テーブルの譜面を持ち上げた。
「俺となら出来るのか!?」
「俺ともー!?」
シヌに続いて陰からひょっこり顔を出したミナムは、手を突き上げたまま振り向いたジェルミにニヤリと笑って、背中に飛びついている。
「ああ、お前らなら、何となく・・・こうだろうというイメージは、湧くな」
「ふ、ジェルミを選んでくるとは、ソンベも冒険をしたな」
「いや、多分、ジェルミを選んだ事は、間違っていないだろう」
不意をつかれたジェルミは、背中にミナムを背負い込んで、前のめりに倒れ、マンネ達がじゃれあう横でシヌとテギョンは、ソファに座った。
「ふふ、何故、お前だったのかな・・・ソンベの歌は、お前の明るいイメージとは真逆なのに、な」
「そうだ、こいつのイメージは明るくていつでも楽しそうだ!なのに、何で・・・こんな歌を・・・しかも、ミニョと・・・」
ミナムに羽交い絞めにされて床に突っ伏し、肩に回された腕を苦しそうに叩いているジェルミの横で、足を組んだテギョンとシヌは、ソファにどっかり腰を落ち着けて目の前の余興に興味も無さそうに譜面を見つめ、前のめりに膝に腕を乗せて、ミナムに指示を出している。
「ラジオを聴いたって言ってたよな」
シヌの指示通りにジェルミを更に締め付けたミナムは、奇妙な声を出したジェルミを舌を出しながら覗いた。
「ラジオ!?そんなのやってたのか!?」
譜面から視線を外して隣を見たテギョンにシヌが口元を抑えている。
「ちょ、ヒョーン!!俺達、毎週やってるのー!!」
「ひどいよー!幾らミニョにしか興味がないからってさぁ・・・」
バンバンと数度テーブルを叩いたジェルミに腕を外したミナムは、肩を組んで顔を見合わせ、テギョンの前に並んで立った。
「俺がドラマをやっているのは、知ってるぞ」
「シヌヒョンには、興味があるんだ」
ふくれっ面のジェルミの頬にまだ、悪戯をしているミナムをシヌが上目遣いで見ている。
「違う、違う!リンとミニョが、ヒョンのドラマを真剣に見てるんだ!毎週、泣いてるって話だぜー」
楽しそうに笑うミナムにテギョンがギロリと瞳を上げた。
「なーんだ、やきもちかぁ」
ミナムの肩に腕を回したジェルミにも睨みが飛び、怯えたジェルミは、後ろに隠れている。
「っふざけるなっ!!」
「えー、でも、ある意味それがヒョンの原動力じゃん」
パシンと軽くテーブルに譜面を打ちつけたテギョンの手から紙を奪ったミナムは、くるんと背中を向けた。
「そういえば、リンの曲のアレンジをめちゃくちゃにしかけたんだろう!?」
「そう!そう!それで、リンが、拗ねてるって!見る!?さっきミニョが送ってきた」
「自分の子供に嫉妬するって、凄くね!?俺、ずぇーったい、考えられない」
ソファに足を半分乗せてテギョンの方を見たシヌに反対に顔を向けたテギョンは、唇を尖らせて左右に動かしている。
「俺には、まだ、いないから、解らないな」
「俺もー」
ミナムの携帯を覗いたジェルミが、ちらりと後ろを振り返り腕を恐る恐る伸ばしてシヌに差し出した。
「ふーん、これは、特等席だな」
「そうでしょう!このアングル凄く良いよね」
「ヒョンは、見ないほうが良いんじゃ・・・」
シヌの覗き込む携帯に興味津々のテギョンにニヤッと笑ったミナムは、テギョンに視線向けたままシヌの横にしゃがみ込み、横目でちらちら見たテギョンは、シヌから携帯を奪っている。
「寄越せっ!!!」
見つめた画面の中のサヂンに眼を剥いていくテギョンであった。
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