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「あれ・・・は・・・あいつ・・・か!?なんでこんな処に・・・」
昼下がりのデパートで、薄いグラスを掛けて歩いていたテギョンは、細めた目の端で捉えた動きに首を傾げていた。
「見間違い!?じゃぁ・・・ないな」
女性用のブランドショップが立ち並ぶ通路の端っこで、居並ぶマネキンを見上げているリンに首を傾げたまま近づいている。
「違うー!こういうのは、似合わなーい」
声を掛ける素振りで口を開け、腕を伸ばしたテギョンに両腕を突き上げたリンは、くるりと背中を向けて走り出し、唖然としているテギョンは、横を向いた。
「似合わない!?誰が!?ミニョの事か!?」
フェミニンな洋装で並んでいるマネキンをまじまじ見つめたテギョンは、その場で正面に向き直って上から下まで、眺めている。
「似合わないか!?似合うと思うぞ・・・まぁ、ちょっと開きすぎだな・・・」
右肘を左手で支え、尖らせた唇を摘んでいるテギョンは、左手の指先にぶら下げた紙袋がカサリと動かされたのに気付いて下を見た。
「似合わないもん!うーん・・・何でいるのー!?」
「お前こそ、何をしているんだ!?」
ピッタリ合わさった視線の先で互いに睨む様に見つめ合い、紙袋を捕ろうとするリンにテギョンの指先がクイっと上に向けられている。
「何が入ってるのー!?」
「さぁな・・・」
きょろきょろ周りを見回しているテギョンの指の付根に引っかけられた紐を捕ろうと背伸びをしたリンにククと笑ったテギョンが指先を開いた。
「あいつは!?」
受け取った袋を覗き込んだリンを放って、回りを見回しながら訊ねたテギョンは、こそこそと耳打ちをしている店員に軽く頭を下げている。
「あっちにいるよー」
綻んだ顔で近づいてくる女性店員に小さな舌打をしたテギョンは、リンを抱えて歩き始めた。
「あっちって、どっちだよ」
「う・・・ん、そっち」
袋に夢中でテギョンそっちのけのリンは、適当な方向に指を指している。
「あー、これーオンマが捜してたやつー!やっぱりアッパが持ってたぁ」
「おいっ!あっちってどこだよ!」
袋から顔を出し、テギョンを見たリンに訊ねながらまだきょろきょろ歩いているテギョンは、グラスの下の片目を閉じて睨みつけた。
「こっちじゃないもーん」
テギョンの向いている方向とまるきり正反対を指差したリンは、首を傾げて、テギョンの首に腕を巻きつけ、にっこり笑って見せていて、ギロリと動いたテギョンの瞳が細められると同時に耳元で囁いている。
「アッパ!また、迷子!?」
「なっ・・・チッ!あるか!」
「迷子だもーん!オンマに教えてあげよう」
「うっ、煩いぞ!迷子になんかなる訳ないだろう!たかがデパートだぞ!」
「でもね、ここさっきの処だよー」
マネキンを指差して小声で話すリンにテギョンの唇が徐々に前に突き出され、不満たっぷりに動かされたが、背中から聞こえたお気楽な声にスッと真顔に戻った。
「ふふ、買っちゃった!オッパには、内緒です」
小さな正方形の包み紙を口元に当て、満面の笑顔でマネキンの横から通路に出てきたミニョは、きょろっと周りを見回して高い位置にいるリンと目を合わせている。
「オンマーお買い物終わりー!?」
こちらも気楽な声を出して手を振ったリンに対してミニョは、もう一度反対に首を向け、遠巻きにしているが、ひそひそ顔を付き合わせている店員や女性客を見とめ、リンを抱えている背中に向かって、乾いた笑顔を浮かべながら駆け寄った。
「オオオオオオッパ!!!なななな、何でいるのですか!!」
「ぁん!?何で!?お前こそ何でこんな処にいるんだ」
「わわわわわ私は、お買い物です」
「俺も買い物だ」
「そそそそそ」
「オンマー、やっぱりアッパが、持ってたよー」
小さな箱を袋から取り出しテギョンの肩越しに話すリンにきょとんとした顔を向けたミニョは、拳に握った手を口元に当てている。
「あっ、それ、あの星ですか!」
「ああ、直しに出してたんだ」
「あのね、お星様くっ付いちゃったの」
箱を開けて中を覗いているリンに首を傾げたミニョだが、僅かに振り返ったテギョンに腕を捕られて歩き出した。
「捜してたのか!?」
「えっ!?ああ、はい、来週のユンギssiのお誕生日に使おうと思ってました」
「ああ、もう、来週か・・・ぅんん、でも、あいつ、何も言ってなかったな」
「お会いしたのですか!?」
頷くテギョンに連れられユンギのパーティーの話をしながらまだ買い物がある事を話したミニョに唇を一撫でしていたテギョンは、近くに居た店員に声を掛けている。
「すまないが、支配人を呼んでくれ」
「えっ!?オッパ・・・」
テギョンの意図に戸惑うミニョは、シャツを引っ張った。
「えっと、あの・・・」
ミニョを一瞥したテギョンは、人差し指を自身に向けて数度曲げ、上目遣いのミニョが頬を膨らませて近寄っている。
「ああ、コ・ミニョssi・・・聞くが、何度も話をしたと思っていたんだが、俺の勘違いか!?」
ミニョに向かって背中を丸めたテギョンに腕の中のリンが首を傾げ、不満顔のミニョは、僅かに表情を崩して首を振った。
「勘違いじゃぁ、ない・・・で、す」
「そうだろう」
「でっ、でも!」
「でももだっても聞かない、この話は何度もした!お前も納得した筈だろう」
「うっ・・・すみません・・・」
「何の事ぉー!?」
顔付き合わせて睨みつけるテギョンにシュンと小さくなっているミニョを交互に見たリンが不思議な顔で、ふたりを見ているが、テギョンもミニョも答える事はせず、そこへ支配人らしき男性が、声を掛けている。
「ファン・テギョン様、本日のご用件はお済と伺いましたが!?」
「ええ、すみません、妻の用件でもう少し・・・上を使わせて頂けますか!?」
「構いません、ご案内をいたしましょう」
一緒にやって来た女性店員から薄いファイルを受け取った支配人に案内をされた三人は、デパートのエレベーターに乗り込んだのだった。
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いつもこっそり置いていってくれる小人様ありがとうございます(^_^)
&カフェの面白現象ww大きくなっちゃったww・・・・・・バグだわ^_^;
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byアメーバピグ |
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