ジェルミ&シヌ
素敵なXmas過ごされてますか(^^)『ルッキング!?』も完結してないのにこっちをUPするって・・・
無謀なすずらんからXmasVrを・・・気ままに気ままに・・・(^Ⅲ^)
予告分present for you(プレゼント・フォァ・ユー)!?の続編です。
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
「HappymerryXmas!!」
「素敵な夜をネー!」
「俺達と過ごしてくれてありがとー」
「また、会おうねー!!」
★★★★★☆☆☆★★★★★
「ヒョーン!この後、どうするの!?」
ジェルミが、片づけをしながらテギョンに聞いた。
「ミニョと礼拝に参加する予定だ」
「れ・い・は・いー」
口をあんぐり開けたミナムが、テギョンを見た。
「ヒョン、神様なんて信じてないでしょ!」
「うるさいな!たまには良いだろう!」
「ミニョとデートが目的でしょう」
「神様とデートじゃ、他の人は割り込めないよね」
「うるさいっ!!お前達こそどうするんだ!?」
不機嫌に唇を尖らせたテギョンは、皆を見回した。
「俺は、勿論ヘイとデート!!」
ミナムがあっさりそう言うと、ジェルミも小さく俺もと言った。
「今年は、この後会う約束をしてるんだ!こっちに来てるし!」
そうかと頷いたテギョンは、シヌを見た。
「お前も・・・来てただろ・・・」
シヌの視線がテギョンに向いた。
「コンサート中、ずっとそっちばかりを気にしていただろう!?」
テギョンがそう言うと、シヌが、小さく微笑み、ミナムとジェルミが、エーーッと口を開けている。
「そういうつもりじゃなかったんだけどな」
シヌは、天井を見上げて笑っている。
本来ならコンサートの打ち上げに参加する予定だったA.N.Jellは、全員の意向で今年は、それに出向かないと決めていた。
外部のスタッフも当然いる為アン社長は、かなり苦い顔をしたが、今年は、シヌとジェルミの反発が凄かった。
騒ぎたいだけのスタッフよりも家族を取ると言ったのは誰であったのか。
「ふっ!今年はそれぞれに良いXmasってことだな!」
「ああ、そうだな・・・聖なる夜に祈りを込めたい」
シヌがそう言うと皆黙って頷いた。
「じゃぁ、俺、帰る!」
先陣を切ったミナムに続いてジェルミも俺もと楽屋を出て行った。
「ああ、気をつけて」
テギョンが手を上げてそう言うと最後に残ったシヌが、テギョンの肩を叩いた。
「お前、ほっとしてるだろ!?」
心の中を見透かすようなシヌの言葉にテギョンが、ドキッとしている。
「何の事だ!?」
「別に・・・意味は無い・・・」
ニヤッと笑ったシヌの手には、大きな赤い袋が握られていた。
「これ!! 持って帰れよ!!俺達からリンへのプレゼント」
「ああ、毎年、悪いな・・・」
袋を受け取ったテギョンは、頷きながら笑った。
「気にするな! リンは俺達にとっても大事な子だ!スヨンとウォンも変わらない!」
「ああ、そういえばミナムに言わなかったな・・・」
テギョンが、何かを思い出したように言った。
「ミナムは大丈夫だろ!?一度家に帰るだろうから・・・」
シヌはテギョンの気概を汲むように言葉をかける。
「そうだな・・・」
テギョンも納得した様に頷いた。
「じゃぁ、俺も行くよ!! ミニョに宜しく! merryXmas!!」
「ああ」
シヌも出て行った楽屋で携帯を出したテギョンは、ボタン一つで繋がる先に電話を掛け始めた。
「ああ、俺だ!今、終った・・・ん・・・そうか・・・ああ!直に帰るから・・・」
電話を切ったテギョンは、小さく微笑んで、控え室を後にした。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚
その1 ~シヌ~
数日続いたコンサートのラスト一曲を弾きながらシヌは、客席にいるたった一人の女性をずっと追い続けていた。
自身の演奏を瞳を輝かせて聞いてくれる。
少し前に出て微笑むと遠慮がちに小さく口元を緩ませて、その横で小さく手を振ってくれた。
そんな、些細な事が凄く嬉しくて、こんな気持ちになったのは何年ぶりだろうと招待したのは間違いじゃ無かったと、いつもの年よりもこのコンサートを楽しんでいた。
鉄の冷たく重い扉を押しやるとヒヤッと冷たい空気がシヌの頬を撫でた。
手に持っていたコートの襟首を摘んで肩に羽織る。
駐車場に止められた自身の車に向かい、キーを解除しながら携帯を取り出すと僅かなコールの後、相手が出た。
「やぁ、今、出たよ!何処にいる!?」
電話の相手と頷きあって話ながら、車のドアを開け、後部シートに置かれた大きなぬいぐるみと花束の位置を直したシヌは、自身も車に乗り込むとバックミラー越しに映るその二つを満足そうに見つめた。
「ああ、駐車場なんだけどそこからだと〇〇通りに出れるでしょ!そう、そこで待ってて5分で行く」
エンジンを掛けて車を発進させた。
通りの並木は何処もクリスマスの装飾で、煌びやかなライトが輝いているが、シヌは、ハンドルを切りながら一際殺風景な大きな木の前で止まった。
コートの袷を更に小さく窄めて寒そうに立つ女性を見つけて微笑んでいる。
窓を開けその女性を呼んだ。
「ユナssi!!」
声に微笑んだユナが、シヌに近づいてきた。
運転席から降りたシヌは、ゆったりした動作でドアを閉め、周りに気を配ってからユナに近づきその手をとると乗ってとドアを開けた。
「ご招待ありがとう」
ユナは、助手席に座るなりシヌにそう声を掛けた。
「とっても素敵でしたよ」
「ありがとう」
走り始めた車の中で、ふたりの時間が始まっていく。
「疲れていない!?」
シヌが、ユナに聞いた。
「ええ、大丈夫」
同じ芸能人でもあるユナは、シヌとドラマを通して知り合った。
一つ年上の彼女は、シヌよりも芸能暦が遥かに長い事もあり、年上という事を省いてもとても尊敬出来る先輩でもある。
「今年もあちこちから招待受けたでしょ!?」
シヌは、つきあいも幅広い彼女の事だから、当然古くからの付き合いのある人のコンサートにいくものだと思っていた。
事実、ドラマで共演している時には、毎年クリスマスは、ある大物歌手のコンサートに行くのだと、毎年様々なところから招待状が来るのだと話しをしていた。
シヌも社交辞令的にじゃぁ、俺のところも何て言いながら軽く受け流していたのだ。
それが、どうしても来て欲しいに変わったのは、きっと、ミニョのおかげだ。
「ええ、でも、こちらに来たかったの・・・迷惑だった!?」
遠慮がちにチラッとシヌを見たユナは、戸惑った様に笑っている。
「迷惑なら誘わないでしょ」
シヌも内心戸惑っていたが、それは表情に出ない。
笑顔で返していた。
「そっか、そうよね!ありがとう!とても嬉しかったの!」
「こちらこそ!食事まで付き合ってもらって嬉しいよ!」
素直な感想が漏れた。
「打ち上げは良かったの!?」
業界人らしい話題にシヌがクスっと笑った。
「なぁに」
「いや、千秋楽が終ったら流れで打ち上げって・・・俺達だけかもしれないなと思ってね」
シヌはクスクス笑っている。
「あっ、そっか・・・」
ユナは、照れたように俯いている。
こうした仕種は何処かミニョを思わせるところもあって、結局自分はこういった女性が好きなのかと思ったりもしていたが、親しい付き合いに変わっていくにつれ、そういったことばかりではないことも判ってきていた。
「テギョンがね・・・」
シヌは、ハンドルを切りながらユナの今日の姿を盗み見るように見ている。
「テギョンが、早く家に帰りたがったんだよ!今年のXmasはどうしても家で家族だけで過ごしたいって言ったんだ!」
「ファン・テギョンssi!?」
「ああ、一応リ-ダ-だからね」
あいつの言う事は絶対だとシヌはウインクしてみせる。
「それで、打ち上げがないの」
「ああ、でも、俺にとっては良いことだったけどね」
「どうして!?」
「君に会えた」
見守るだけではいつかその手をすり抜けてしまうんだとミニョが教えてくれた。
鈍いとか鋭いとかじゃなくて一歩引いた恋は、確かに掴んだ羽さえも一瞬の油断が何処かへ飛ばしてしまい、握りこんで潰してしまわないように大事にしても確かめなくちゃ駄目なんだとあの恋は無駄じゃなかったんだとシヌは今そう思っていた。
ストレートな物言いにユナの頬が赤く染まっていくが、化粧に隠されたそれはさして変化は見られなかった。
「前から思ってたけんだけど貴方って結構情熱的でしょ!?」
冷めた男だと指摘される事はよくあるが、逆の評価はあまり無い事だ。
「どうしてそう思うの!?」
「うーん周りが良く見えてるから老獪なタイプで、貴方って結構大人な印象だけど・・・こうして話をしてみると割と年相応なんだなって思ったのよ」
「きみもひとつしか変わらないだろ!」
「あっ、そうね・・・わたしもそういう感じなのか!」
「そうだね・・・俺達の中じゃ割りとミナムやジェルミの方が大人かもね」
「ミナムssiは、判るけどジェルミssiは、無いわね」
はっきり評価を口にするユナにシヌはクスッと笑ってホテルの駐車場に車を入れた。
「なぁに笑う事ないでしょ」
「いや、はっきり言うなぁと思ってね」
シヌは、待っててというと車を降りて反対側に廻った。
ユナをエスコートする為にドアを開ける。
「ありがとう」
シヌの手を取ったユナはふと後部座席に置かれていたぬいぐるみと花束の事を聞いた。
「ねぇ、これって・・・」
「ああ、きみへのプレゼントなんだけど、終るまで待っててもらおうと思って」
「それは、わたし、先にお礼を言ってもいいのかしら!?」
シヌの手を取ったユナは、悪戯っぽい表情を浮かべて車を見ながら並んで立った。
「どちらでも」
「そういうところが冷めてるって言われるんじゃないの!素直に言って!と言ってみてよ!」
強い口調ではなかったが、ユナは少しだけ不満そうに言った。
「じゃぁお願いしますヌナ!」
「判ったわ」
笑顔でシヌに一歩近づいたユナは、その肩に手を置くとそっとシヌの頬に口付けた。
「ありがとう!カン・シヌssi」
シヌは、表情こそ崩れなかったが、僅かに瞼が上がって驚いたことが見て取れる。
「ふーん、そういう顔も出来るのね!」
ユナが、シヌの顔を見ながら嬉しそうに笑った。
「どういうこと!?」
車のキーをロックしてシヌが腕を差し出した。
「コ・ミニョssiだったかしら・・・テギョンssiの奥様」
その腕を取ったユナは、微笑んでシヌと共に歩き出した。
「ああ、それが・・・」
「ふふ、貴方の事を心配してたわよ!」
ユナの言葉に今度は瞳が大きく見開かれた。
「会ったの!?」
「ええ、もう半年以上前だけど・・・」
入り口でコートを預かると言われたふたりは、それぞれに脱衣して迎えてくれたマネージャーに渡した。
再び差し出される腕をユナが取る。
「なんて」
「ドラマを見てくれたらしくてね!その評価を頂いたの!素晴らしかったって、もう一度ご主人と恋をしたくなったって仰って頂いたわ」
「ミニョらしいね」
「ファン・テギョンssiが、よほどお好きなのね、あの方って」
「おっちょこちょいで、トラブルメーカーで、でも、一生懸命で・・・」
シヌがミニョの事を評するとユナがクスッと笑った。
「そこが好きだったんでしょ」
「・・・・・・どうして」
知っているのかという言葉は声にならなかった。
レストランの個室に通されたふたりは、椅子を引いてくれるウェイターに促されるように向かい合わせて座った。
直にワインが運ばれてくる。
「わたし・・・実は、もっとずーっと前から貴方の事を知ってたわ」
赤い液体が注がれていくグラスを見つめながらユナが言った。
「いつも、彼女の事を暖かく見ていた」
軽く会釈をしながらグラスを持ち上げたユナは、シヌがグラスを持ち上げるのを待ってお疲れ様とグラスを傾けていく。
「だから、この恋は本当は上手く行かないんじゃないかって、ずっとそう思ってたの・・・わたしとコ・ミニョssiは、タイプが違うでしょ!?」
軽く口を付けて美味しいわと言いながら微笑むユナは、悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「そんな事ないと思うけどな」
ユナの気持ちを確認しながらシヌも優しく微笑んでいる。
レストランは、シヌが事前に誰も入れないように予約していたおかげで、運ばれてきたXmas料理の数々を一通り並べてしまうとごゆっくりと言ってウェイター達は出て行った。
ドラマの撮影の間、主演に抜擢されたふたりは年も近いせいもあり、割と直に打ち解けて、よく食事に出かけていた。
何故、そうなったのかは、良く覚えていないというのが正直な感想だったが、お互いに何かを埋める様に身体を重ねた。
それが、始まり。
それでも、どこか、重なる身体の心地よさと心を埋めてくれる時間がいつの間にか大きくなって、互いに連絡を取ることが多くなっていった。
大人の恋。
そう言ってしまえば、ピリオドを打つのは割と簡単なのかも知れないが、シヌはそれをしたくなくて、沈み込むように悩んでいたのを何故か鈍いはずのミニョに気付かれてしまった。
そっと背中を押してくれたミニョの気持ちも嬉しくて半年前にユナに告白していた。
正式にOKを貰ったのかと言えばそれも、良くわからなくて、シヌにとってこのXmasは、一つの賭けだった。
「そうかしら」
「ヘイにも何か言われたんだろ!?」
ユナとヘイは同じ女優として事務所も同じ為共演も多く、ヘイの数少ない友人の一人であることはユナから聞いていた。
同時にユナにとってもそうだった。
「ええ、言われたわ!ミニョssiの事もそうだけど、本気なのかって聞かれた」
「それで、何て答えたの!?」
「正式に始めたいと思ってる!」
ユナが、微笑んでシヌを見た。
「今の曖昧な状況を辞めにしたいわ!」
そっかとシヌも笑った。
「過去は、過去として確かに俺の中に存在するし、それも思い出の一部として処理できるだけの時間をあいつらと一緒に過ごしてきたんだ!大事な仲間だけど、もうミニョは恋する相手じゃない!」
シヌは一度言葉を切ると、広いテーブルに置かれたユナの手に触れた。
「君が好きだよ!」
「わたしも貴方が好きよ!」
少し遠目の距離感にふたりで見詰め合って微笑みあっていた。
「そっか、そうしたら、コレも無駄にならなかったな!」
シヌはそう言うと開いている手でポケットを探った。
「なあに!?」
不思議な顔をしたユナが、首を傾げている。
「手を出して」
そう言って触れていた手を上向かせたシヌは、そこに小さな箱を置いた。
「・・・これって・・・」
「開けてみて」
空色の小さな箱にはゴールドのリボンが掛かっていて、ユナはそれを慎重に解いていく。
胸に手を当て期待と確信とが入り混じった瞳でそれを見つめ、出てきたジュエリーボックスを開いて僅かに目を見開いた。
その瞳から透明な雫がテーブルに落ちる。
反対側からそれを見ていたシヌは、即座に立ち上がってユナの横で膝をついた。
「ダメだった!?」
「違うわ!嬉しいのよ!」
シヌの方を見たユナは泣き笑いな顔で、シヌの首を引き寄せるとその肩に額をつけた。
「ありがとう」
そう言って鼻をすすっている。
「正式な物は、後で渡そうと思ってる!取り合えずだけどステディリングとして受け取ってくれる!?」
シヌは、ユナの肩を優しく掴みながらそう言った。
コクコクと頷いたユナは、目元に当てた指で涙を拭ってシヌの顔を見ると、微笑んでいる。
「嵌めてくれる!?」
そう言って左手を差し出した。
差し出された手に僅かに目を見開いたシヌは、それでも優しく微笑みこっちで良いのと聞いた。
「良いのよ!言ったでしょ!貴方と始めたいの」
ユナの言葉に嬉しそうに笑ってその指にリングを嵌めていく。
細い指に煌めくシルバーが美しく光っていた。
「貴方のは無いの!?」
ユナが聞くとシヌは笑ってポケットを探っている。
「受け取って貰えたら、俺もつけようと思ってた!」
「貸して!」
シヌから少し大きめのケースを受け取ったユナは、中から取り出したリングをシヌの指に嵌めた。
お互いにその指先を見つめる。
「コレで、もう離れられなくなるよ!」
シヌが、涼やかな目元で、ユナを見ていた。
「それは、貴方も同じでしょ」
二つの手のひらが重なると絡まっていく指先にあわせてお互いの身体が傾いていく。
「「merryXmas!!」」
そういったふたりは恋人同士として、初めてのキスを堪能するのだった。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚
その2 ~ジェルミ~
「じゃぁな!ジェルミ!!遊びすぎるなよ!!」
ミナムが、手を挙げてジェルミのバイクで行ってしまうとベーッと舌を出したジェルミが、ふくれっ面をしていた。
「何だよ!ミナムの奴!嬉しそうにしちゃって!!」
しかし、手に持った紙袋を見つめて、直に笑顔になった。
「ふふ、喜んでくれるかな!!」
そう言って、粉雪が舞い始めた通りを歩き始める。
数メートルもいかないうちに、コンサート会場の広い駐車場のスロープに佇んでいる女性と目が合った。
「ジェルミ!!」
「ジュリ!!」
クリスマスカラーの手袋を身につけた腕を振って嬉しそうに近寄って来る。
「良かったー!!会えないかと思っちゃった!!」
「そんな事無いよ!ちゃんと時間決めたもの!!」
「さっきまで凄い人だったのよ」
ジェルミの両腕に自身の腕を置いて顔を見上げ、後ろを振り返ったジュリは、駐車場の片隅にそれでもまだ残っているA.N.Jellのファンらしき女性達を見つけて、直にジェルミに向き直った。
「大丈夫!?」
「・・・じゃないかも」
半笑いで、ジュリの腕を掴み直したジェルミも、そちらを見ていて見つかったらしい事に、にっこり笑っていた。
「走って!!」
「えっ!?」
ジェルミに腕をひかれて、走り始めたジュリは、暫くファンとの追いかけっこに付き合わされることになった。
「・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はっ、あっはは」
何処をどう走ったのかイルミネーションの下を右に左に手を取って走り回ったふたりは、息を整えながら、膝に手をついたり、腰に手を当てたり、見合わせた顔にいつの間にか笑いあっていた。
「こっ、こんなの初めてよ!」
ジュリが、大きく息を吸い込みながら深呼吸をした。
「はっ、はは、俺は何回かあるかな・・・」
「凄いのね、やっぱり!」
「そんな事無いよ」
辺りを見回してファンを撒いたことを確認したジェルミは、改めてジュリの前に立つと持っていた袋を差し出した。
「はい!!merryXmas!!」
差し出される袋を受け取ったジュリは、少し困った顔をした。
「ごめんなさい!プレゼント持ってきていないわ・・・」
「あは、良いんだよ!そういう習慣ないでしょ!」
ジェルミが訳知り顔で、ジュリにウインクしてみせる。
「ええ」
「「プレゼントはツリーの下だから!!」」
ジュリの言葉を攫うように言ったジェルミの言葉が重なって、驚いた顔をしたジュリだったが、直に笑顔になってクスッと笑った。
「ジェルミのところも!」
「そりゃ、そうだよ!Xmasは、家族と過ごすって言うのが定番!翌朝、ツリーの下のプレゼントを開ける!君のプレゼントもちゃんと宿舎に届いてたよ!」
恋人のプレゼントが一番嬉しいだろ!そう続けたジェルミは、手を差し出してジュリの手を握った。
「こうやって、手を繋いで歩くのも無いでしょ!?」
ジェルミは、行こうと歩き始めた。
「ええ、そうね!車が横付けされてエスコートされちゃうし」
握られた手を嬉しそうに振って、ジュリはキョロキョロしながら街並みを楽しそうに見ている。
「帰れって言われなかったの!?」
「言われたわよ!勿論!!招待状が山積になってるって脅された」
バス亭に辿りついた二人は、丁度到着したバスに乗り込んでいく。
「ジェルミの所は!?」
人通りはあるけれど、バスに乗っている乗客は少なくて、空いている席を目指して一番後ろの席に腰を降ろした。
「うーん、俺は、パパもママもこの時期はパーティーばっかりだからね!丁度シーズンだし、だけど、俺の仕事も理解してくれてるから帰れとは言われないかな」
「良いわね」
不満そうに口が尖っているジュリを見たジェルミは、クスクス笑った。
「帰らなかったんだから一緒だよね!」
「だって、紹介されるのよ・・・どこそこのご子息でって」
「はは、結婚から逃げてるんだっけ!」
「そうよ!この年で結婚してないからって勝手に決めないで欲しいわ!」
「それで、留学!?」
「そう!でも、楽しい事ばかりだからこの国で良かったわ!あなたにも会えたし!」
そう言ったジュリは、ジェルミの腕に擦り寄った。
「俺も会えて良かった!!」
ジュリの頭を撫でながらジェルミは、満足げな笑みを刻んでいた。
ソウル市内のいつもの循環バスに乗ったのは、もう一年以上も前の事だ。
その日、A.N.JEllとしての仕事ではなく、一人きりで特番のバラエティ番組に出演していたジェルミは、いつも一緒のミナムがいないせいもあったのか、連日の疲れからだったのか失敗というほどではなかったが、歯切れの良いコメントも出来ず、落ち込んで、宿舎に帰ってもシヌも撮影でいない為、気分転換しようとバスに揺られていた。
通り過ぎるライトや景色を見つめながら一周するまで少し眠ろうかと目を閉じた時、乗り込んできた女の子が、前の席に座ろうとしてバスの揺れに抱えていた資料らしき本の山を床に撒いた。
その本の落ちる音にビクッと肩を震わせてマジマジと見たジェルミは、慌てて拾い上げるジュリと目が合って、照れくさそうに笑った顔にどこか惹かれて微笑んでいた。
立ち上がって一緒に拾い上げていると、ソウルの歴史関係の本が多くて、英語に翻訳された物である事から留学生かなと思っていた。
それが出会い。
それから、何度か、落ち込むたびに乗り込むバスで、彼女と会った。
初めのうちは、軽く会釈するだけの関係で、頻繁に乗り込むことも無いジェルミは、特に気にもしていなかった。
そんな中、今年の夏ごろに彼女の方から声を掛けてきた。
「あ・・・の、突然、ごめんなさい」
たどたどしい韓国語で、ジェルミを見たジュリは、隣に座っても良いかと聞いてきた。
声を掛けられた事に驚いたけれど、数えるほどの人しか乗っていないバスで、まして自分達の様な若い人もいないバスの中で、ファンかもと思ったジェルミは、ゴメンと口を開き掛けたが、口をついて出た言葉はどうぞだった。
「ありがとう!」
そう言って隣に座ったジュリに笑顔を返しながら、自身の心臓に手を当てていた。
ドキドキと音を立てる心臓が信じられなくて、そこを掴むように息を呑んでいた。
「あの、コ・・レを確・・認したくて・・・」
たどたどしい韓国語の中に時折混じりこむ英語は、綺麗なクィーンズイングリッシュで、見せられた雑誌よりもそちらが気になったジェルミは、英語でも良いよと言っていた。
くるっと横を向いたジュリは、笑顔を浮かべてありがとうと言った。
「ごめんなさい!まだ上手く話せなくて・・・結構長くいるんだけど」
やっぱり、留学生なんだとジェルミは納得していた。
「あのね、これ、あなたかどうか確かめたかったの!」
ジュリが見せてくれた雑誌は、ヨーロッパでセレブ向けに発行されているもので、そこにジェルミの両親の写真が載っていた。
貴族出身でもある父は、カメラマンなんかしているせいもあって、世界中を飛び回っているし母もモデルをしている為、殆ど顔を合わせる機会も無い。
それは、この夏の社交シーズンの時の一枚らしかった。
その横にジェルミの顔写真が小さく紹介されている。
「あれーほんとだ!俺だね」
その雑誌自体は、ジェルミも当然目にしたことがあり、たまにそこに取り上げられているのも知っていたが、上流階級のごく一部にしか発行されないそれを一般市民が持っている様なものでないことも承知していた。
隣に座るジュリを見たジェルミは、つい、品定めする様に上から下まで見てしまっていた。
「なに!?」
その視線に驚いたジュリが、ジェルミの顔を見ていた。
「いや、君ってお姫様!?」
きょとんという顔をしたジュリだったが、首を傾げてからにっこり笑った。
「そうなのかな!?」
逆に質問されてしまったジェルミ。
「否定しないんだ」
「うーんというか、わたし、英国から留学してるんだけど、大学の同期とお話すると違うなって思うことがたくさんあるのよね」
明らかに年下であろうジュリの言葉使いは、韓国という土地柄から考えたら遠慮は無くて、余所の国の人だなと思わせるのと同時にどこか懐かしい感じがしていて、ジェルミにとっては嫌な物では無かった。
「ヘーどんなとこ!?」
「シーズンの過ごし方とか!?お友達と遊びに行く時とか」
考え込みながら話を始めたジュリだったが、ピタリと止まって上を向くと手を振って違うと言った。
「あなたの事を聞きたいの!」
「俺で間違いないよ!」
「韓国のトップスターって書いてあるわ」
「そうだよ」
「アイドルなの!?」
「そうだね」
「だって、これ、あなたの両親でしょ」
「そうだよ」
次々繰り出される質問にいつの間にか楽しく話をしていたジェルミは、一周だけのつもりのバスが、既に二週目も半分くらいまで来ている事に気がついた。
「ねぇ、君って何処で降りるの!?」
えっと外を確認したジュリは、あっと口を開けて見覚えの無い景色にここ何処とジェルミに聞いた。
「循環バスだからね一周すれば、また、元に戻るだけだよ」
そう言ったジェルミは、戸惑ってどうしようと呟いているジュリを可愛いなと思って見ていた。
降りたバス亭は、偶然にも同じ所で、左右に別れる時にジェルミとジュリは連絡先を交換した。
それから、時間を見つけては、ジュリの大学に通ったり、ふたりでソウルの街を観光したり、デートを重ねていった。
毎日がとても充実していたジェルミは、ジュリの事情を鑑みてXmasは諦めていたけれど、帰らないというジュリの言葉にじゃぁ、デートをしようと一も二も無く決めていた。
「ヒョン達に感謝しなくちゃ!」
バスを降りて、坂道を歩きながら、ジュリの手を引いているジェルミはポツンと呟いた。
「A.N.Jellの皆!?」
「そうだよ!」
10分ほど歩いた高台から見下ろす景色にほらと指を差したジェルミは、ジュリに下を見るように促した。
「わっ!素敵ね、綺麗!!」
山の斜面から見下ろす夜景が、色とりどりの光を放って美しい光景を作っている。
その真ん中に、緑色の光がたくさん集まってまるでツリーの様に見えていた。
「素敵ね!Xmastreeみたい!」
「君に見せたかったんだ!折角のXmasだし!」
ジェルミは、いつもの子供っぽくはしゃぐ感じからは想像出来ないほど、凛と立っている。
「君へのプレゼント!気に入ってくれた!?」
そう言ったジェルミは、そっとジュリの背中から腕を回した。
「勿論よ!!ありがとうジェルミ!」
ジュリは、前で交差されるジェルミの腕に手を添えてその光景を見下ろしている。
「帰らなくて正解だわ!」
瞳を輝かせるジュリは、ジェルミの腕を掴んでくるっと身体を後ろに向けた。
見上げる顔に微笑を返すとギュッとその腰に腕を回す。
「merryXmas!」
「HappyXmas!」
二つの声が重なって、幸せなふたりは、ギュッと互いの体温を感じながら抱き合っていた。
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
いつも、ありがとうございます!
最近この様な一言を書く事も無く、黙々とUPだけ続けておりまして、
それでもご訪問いただいている事を大変嬉しく感謝申し上げ励まされておりますれば(*^▽^*)
さて、今年も残り少なく、皆様も何かとお忙しい時期かと思いますが、
お体ご自愛頂き、新たな年を迎えられますようお祈り申し上げます(≡^∇^≡)
テギョン編とミナム編は全く関係ない時にUPします・・・(笑)
最後まで読んでいただきありがとうございましたー♪
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Favorite music excerpt 再生リストからchoiceコントロールから音量変更可 不可はページ再読込❦一部字幕ON&設定で日本語約可
loveYou're Beautiful❦Story it was based Korean drama "You're Beautiful" secondary creation.❧
Hope to see someday"You're Beautiful" of After that.
Aliasすずらん──長い長い「物語」を続けております。貴方の癒しになれる一作品でもある事を願って。イジられキャラテギョンssi多(笑)
交差点second掲載中❦フォローしてね(^▽^)
コメディ・ほのぼの路線を突っ走っています(*^▽^*)あまりシリアスは無いので、そちらがお好きな方は、『悪女』シリーズ等を気に入って頂けると嬉し。
『テギョンとミニョの子供・・・』という処からお話を始めオリキャラ満載でお届けしておりましたが、登場人物も交差し始め統一中。
長らくお付き合いいただいている方も初めましてな方もお好きな記事・作品等教えて頂けると嬉し(^v^)
ご意見ご要望はこちら★すずらん★メッセージを送ってください。BM仕様限定のごくごく一部解除しました。
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