一人歩きは怖いなぁ・・・でも一人で歩いてるな~
どうなんだ・・・リンに振り回されてるかも~・・・まぁ良いか・・・って感じで進めます続きをどうぞ(笑)
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
ザワザワガヤガヤした会場の中は、器材を抱えたスタッフが、数名入ってくるとピタッと騒音が消えていった。
子供を連れた母親達の視線は、一斉にそちらに注がれ、口を開きかけた子供に手を当てたり、動き回りそうな子供にきつい眼差しを向けている保護者もいる。
スタッフの一人が、オーディションについてと説明を始めた。
「今回のオーデイションは、音楽性のある子供の養育を目的としております・・・」
音楽性と言っても偏に歌や楽器もある為、書類選考で勝ち残った者だけが、この会場に集められているようだ。
「今回、課題としている曲目がありましたが、そちらについては当事務所で既に養育をさせて頂く予定のお子様がおりますので、その子にアシスタントをお願いしております。それぞれに得意分野でのセッションという形で、拝見しますので・・・・・・」
★★★★★☆☆☆★★★★★
「男の子ばっかりだねー」
パーテーションで区切られた隙間から会場を見渡しているリンは、ほんの僅かな隙間からオーディションに来ている子供達を見ていた。
後ろに立っているマ・室長は、口元に手を当て少し引き攣った様な笑顔でリンを見ている。
「リンssi・・・・・・本当にそれでやるのか!?」
くるっと後ろを向いたリンは、にっこりと笑顔を作ってマ・室長を見上げた。
「これでやるー」
両手を上げて笑ったリンは、可愛らしく首も傾けている。
「テギョンに見つかったら、俺、射殺されそうだな・・・」
マ・室長はガクッと肩を落として深く溜息をついた。
「アッパは、怒らないから大丈夫ー」
「それは、リンssiに対してだけだろうなぁ・・・」
「良いの!!これでやるの!!」
リンは、膨れて見せる。
「大丈夫かなー・・・今のうちにテギョンに謝ってこようかなー」
うろうろし始めたマ・室長を余所にリンは、帽子を被り直している。
「マ・室長行くよー!!」
リンが説明が終るのを見越して、マ・室長の手を掴んだ。
「あ、ああ、わかってるよ・・・・・・本当に大丈夫かなー・・・」
マ・室長の心配は尽きないようで、リンを見下ろしながら戸惑っていた。
★★★★★☆☆☆★★★★★
ミニョを引き連れて廊下を歩き始めたテギョンは、ツカツカ自分のペースで歩く為、ミニョが何もない所で転びそうになった事にぎょっとして立ち止まった。
「おっまえ・・・」
「はっはは・・・すみません・・・」
精一杯テギョンに着いて行こうとしたミニョだが、また、事故を起こしかけた事に苦笑いしている。
「いや、俺も悪いな・・・リンのことが気になって・・・」
すまないと小さく呟いたテギョンは、ミニョの手を握り直すとゆっくりと歩き始めた。
「ミナムオッパが、何かをさせてると思っているのですか!?」
テギョンのペースが落ちた事と、ミニョに合わせてくれる事に笑顔が零れている。
「コ・ミナムだからな! あいつリンに相当甘いだろ」
自分達のことはさておき、テギョンが苦虫を噛み潰したように舌打ちをしている。
「だいたい、リンに聞いた時は、ピアノを弾くだけだって言ってたんだぞ!セッション形式で、相手の力量を見ようっていうことらしいから許可をしたんだ!あいつに良い経験かもと思ったからな・・・」
「リンって、人前だと結構緊張するでしょう!オッパと一緒にここに来てる時だって・・・」
ミニョの言葉をテギョンが攫っていく。
「ああ、ファンの前でも俺にきつく抱きつくからな!」
「なのに何故引き受けたのかが、イマイチ良く判らなかったのですが・・・」
ミニョは、頬に手を当てながら小さく溜息を零している。
「そこに、ミナムが絡んでいたらどうだ!?」
テギョンが、階段に差し掛かった所でまたミニョを見た。
「ミナムオッパが、何か言ったということですか!?」
足元を気にするミニョは、大丈夫ですとテギョンに微笑んでいる。
「あいつの事だから、何かアドバイスでもしたんじゃないのか!?」
「確かにミナムオッパは、リンのことを気に掛けてくれますけど・・・」
ミニョが判らないという顔をして考え込んでいる。
4階まで上がって来たふたりは、扉の前にあるボードを目にしたが、テギョンが、通り抜けていく。
「会場は、あそこじゃないのですか!?」
促されるままテギョンに手を引かれているミニョが、僅かに振り返りながら聞いた。
「ああ、会場は4Fだけど、あそこには入れないから、こっちだ!」
そう言ったテギョンは、更にぐるっと廻って階段を昇って行く。
5Fに辿りつくと、チラッと反対側を見たテギョンが、少し目を細めた。
「あそこが会場の音響室になってる・・・」
ミニョに向かってそう説明すると少し斜め前にある扉に手を掛けたのだった。