「ええ・・・そうです・・・どうされますか!?」
携帯を耳に当てながら、膝にくっつくリンの頭を撫でて、少し待ってと、にっこり笑顔を見せる。
携帯をよこせと手を伸ばしてせがんでいるリンは、電話の相手と話をしたいらしい。
「そうですか・・・じゃぁ、今夜ということで・・・あっ、少し待ってくださいね!」
リンの高さまで屈んだミニョは、微笑んで携帯を耳に当ててやるとにっこりしたリンが話を始める。
「アッパー!?・・・うん、うん・・・そうなの・・・うん!解ったー」
テギョンとリンの会話が気になるミニョは、首を傾げながら聞いているが、リンは、くるっと後ろを向いてしまい、ミニョに見えないように話をする。
「じゃぁねー」
電話を切ってしまった。
「リン!?」
はいと携帯を渡されたミニョは、甘ーい笑顔を浮かべてリンに呼びかけるが、上目遣いにミニョを見ているリンに先を越されてしまった。
「ダメっ!オンマには、教えなーい!」
えっと驚くミニョが、顎に手を当てて見下ろすと、ニッと笑うリンが答えた。
「アッパに秘密って言われたのー!」
そう言って、走ってリビングを出て行ってしまった。
「えっ!?ええーと・・・」
リビングへ残されたミニョは、携帯を口元に当てて、またですか、と呟いている。
「ふー!最近、秘密が多いような・・・」
頬を膨らませたミニョは、小さく唇を尖らせると何かを思いついたように悪戯な笑みを浮かべた。
「オッパが、甘いって事ですよね・・・」
両手を併せると、微笑を浮かべている。
「良いです!これで、オッパに仕返ししましょ!」
いつも、テギョンにやり込められている事を思い返し何かを決意したように呟いた。
微笑みを浮かべていたミニョだったが、リビングをぐるっと見回すとテギョンとの会話を思い出したように、リンの消えた廊下に声を掛ける。
「リン!お夕飯の準備お手伝いしてくれないのー!」
すると、少し遠くからリンの声が聞こえてきた。
「するのー!ちょっと、まっててー」
ダイニングへ向かったミニョは、シヌとユンギのことを考えていた。
「シヌオッパの好みは、解るのですが、ユンギssiは何がお好きですかね!?」
独り言を言いながら、冷蔵庫をあさっていくミニョは、食材を次々と取り出して並べ、一通り冷蔵庫から出したミニョは、食材を前に腕を組んだ。
「では、何を作りましょうか!?」
「アッパは、何でも良いって言ってたよ!」
いつの間に現れたのか、ダイニングのカウンターに手を掛けて椅子によじ登っているリンが、ミニョに言った。
「何でも良いって言ったのですか!?」
「うん!!」
リンが、嬉しそうにミニョに答えた。
「何でも良いのですかー!?」
またまたミニョの口角が上がって、口元に手を当てると笑いを堪えるようにテギョンのことを考えている様だ。
「リンは、好き嫌いないですもんねー!」
「うん!」
ミニョの考えてることなど解らないリンは、何にするのと首を傾げている。
「カムジャタン、チャプチェ・・・後は・・・」
ミニョは、次々と野菜を選別していく。
妙にテギョンの嫌いなものが多いような選別だ。
「ふふ。じゃぁリンもお手伝いしてね!」
「はーい!」
両手を上げて、椅子を降りてくるリンは、キッチンに備えられた自分専用の台を引いてくるとミニョの隣に立って一緒に夕飯のお手伝いをする。
「ふふ。楽しいですか!?」
「うん!」
次々と出来上がっていく料理をダイニングへ並べていくミニョは、作りすぎかなと呟いて、最後のお皿をそこへ置いた。
「オンマ終わり!?」
リンが手を洗いながらミニョに聞いた。
「ええ、終わりですね!」
時計は、まだ5時前を指している。
ふと、そこへ再び携帯が鳴った。
ミニョが、振り返るよりも先に、下に降りていたリンが、携帯へ駆け寄っている。
「アッパ!!・・・・!?ジェルミヒョン!?」
「えっ!?」
ミニョが、慌てて、携帯に出ようとリンの傍によると、リンが、携帯を差し出した。
「ジェルミ!?・・・えっ!?ええ・・・わかりました!」
携帯を切ったミニョは、リンを見て大きな溜息をついた。
「お客様・・・増えるみたいです」
「ミナムも来るのー!」
「ええ、多分・・・A.N.Jell揃って来そうですね・・・」
ミニョは、ダイニングを見て更に溜息を付いた。
テギョンにちょっと仕返ししようと作ったテギョンの嫌いな野菜中心の料理。
「シヌオッパだけだと思ったのにー!」
ジェルミやミナムが訪問すれば、テギョンを揶揄するのは、目に見えている。
それを思うミニョは、ちょっとだけ後悔しているのだった。