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『じゃぁねミナムっ!俺達もお菓子貰いに行ってくるねー』
ベビーカーを押したジェルミに手を振るミナムは、腕を回したヘイに促され適当な椅子に座った。
『きゃー、嬉しっ久っしぶりに子供達から解放されたー』
『チッ・・・いつでも解放されてるじゃん・・・俺ばっか世話してるってのに・・・』
『なーにーよー、デートも久しぶりでしょう!もっと喜びなさいよー』
ヘイに抓られる頬を引っ張られながらミナムが腕をあげている。
『チッ、こんなもんで喜んでくれるなら幾らでも連れてってやるってのに・・・』
給仕係から受け取るグラスをヘイに渡したミナムは、辺りを見回した。
『拗ねないのっ!忙しかったんだから仕方ないでしょう』
『大変、なのか!?稽古・・・』
『ま、ぁね、舞台は、初めてだし、テレビとは勝手も違うわよ』
『ふぅん・・・良く引き受けたな』
『あんた達のコンサートに刺激されたからね、ライブ感覚なら舞台も楽しそうじゃないっ』
ヘイも周りを見回し、顔馴染みを見つけて合図を送っている。
『だからってなぁ、俺は、まだ、許してないんだからなぁ』
『な、によ・・・別に良いじゃない・・・』
近づいて来た男性に目を細めていたミナムだった。
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『ジェルミー!トーッリックオアトリート!?』
『リーン!TREATに決まってるだろう!ほら!』
ポケットを探ったジェルミは、かぼちゃが連なったアクセサリーをリンに差し出した。
『わーい、かわいいー!ピアス!?』
『いーやイヤリングだ、リンも問題なく付けられるよ!それと・・・』
同じ形の色違いを四つ取り出したジェルミは、ジュンシンとユソンに渡し、ウォンとスヨンの前にも差し出した。
『うーん、チビ達にはまだ早いよなぁ・・・食べちゃいそうだな・・・』
かぼちゃを揺らす方向に双子の目が動き、腕を伸ばしたスヨンが引っ張って口を開けている。
『あーあ、やっぱり駄目だぁ、もっと大きいのにすれば良かったなぁ』
慌てるジェルミの前にジュンシンがお菓子を差し出した。
『変なもの食べさせるとおばちゃんに怒られるもんねー』
両耳にイヤリングを付けたリンは、傍らの枕を抱え直し、ジェルミが目を細めている。
『枕!?』
抱き締める枕をジェルミが覗きこみ、目が合ったリンはニンマリ笑った。
『リン!?枕なんて何に使うんだ!?』
枕を引っ張っるジェルミにリンが背中を向けている。
『オンマにあげるんだよー、シヌヒョンに買って貰ったのー』
『シヌヒョンに!?何でさ!?』
リンが抱いている枕に興味深々のジェルミは、立ち上がって上から覗いている。
『それさー、何に使うか俺達にも教えてくれないんだよなー』
『そうですよね・・・普通の枕に見えるんですけど』
『そうだよな・・・なんの変哲も無い枕だろ!?』
腕を伸ばしたジェルミからリンが逃げ出した。
『まーだ内緒―、オンマが来たら教えてあげる―』
『あー、だったら、もう聞けるねー』
『えっ!?』
立ち止まり振り返ったリンは、マリア像の前に立つミニョを見つけて駆け出している。
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『オンマー!きれーい』
『リ、ン・・・これは、ちょっと・・・やり過ぎではないでしょうか!?』
『そんなことないもーん!綺麗だもーん!やっぱりユンギヒョンにお願いして良かったのー』
『うっ・・・アッパに聞かれたら殺されます・・・』
『僕が守るから大丈夫だもーん』
シフォン素材に身を包んだミニョは、頭に乗ったベールの先を指に引っ掛けた。
『うーん・・・ベリーダンスの衣装ですよ・・・ね・・・』
『そうだよー!アラビアンナイトなのー』
ミニョの手を握ったリンは、くるくる回り始め、くるんと回るミニョの体から涼しげな音が響いている。
『『『アラビアンナイトー!?』』』
『って何!?』
『あー・・・・・・だから、枕・・・なのか!?』
『何の関係があるのですか!?』
きょとんとするジュンシンに妙な顔をするジェルミと不思議顔のユソンの前でにっこり笑っていたリンだった。