「アボニム!?」
「やぁ久しぶり・・・でも話は、後だよ!歌えるね」
きょとんとした顔でギョンセを見つめたミニョは、差し出された譜面を混迷の表情で受け取っていた。
「え・・・ええ・・・大、丈夫みたい・・・です」
「ユンギ君もね」
ギョンセに紹介されてステージに並び立ち、続けて礼の挨拶を終えて振り返ったユンギに拍手をしながらギョンセが頷いている。
「ええ、素敵なプレゼントをありがとうございます」
「ヒジュンに言ってくれ、あいつの提案だ」
「でも、ギョンセssiがお持ちだったんですよね、アボジの・・・」
「そうだよ・・・わたしが持ってた・・・古い思い出だ」
僅かな時間にコンサートマスターの男性が楽団の配置を替え、その位置に立ったシヌが、ギターネックを肩に掛けながらリンを前に押し出た。
「母も喜びます」
「そうだと良いね・・・さぁ、始めよう!リンは、こっちにおいで」
「ヤー!ハラボジ!」
片手をあげてギョンセとハイタッチをしたリンは、ミニョを見上げてにっこり微笑み、即席の楽団の前に立っている。
「わ、たし・・・なぜここにいるのでしょう!?」
前奏が始まり、ギョンセと一緒に指揮棒を振っているリンに顔を向けたミニョは、マイクを握った手と譜面を持った手を交差させ、口元を隠しながら丸い目でユンギを見上げている。
「テギョンに言われてソンベの家に行ったでしょう」
「え、ええ・・・ぁ・・・♬シネマトゥ横通り────」
────サザンクロス
シネマトゥ横通りのカベテリア
窓から見えるサインボドゥ
古びた本の間 鄙びたティケッ
ペルが鳴る
ペルが鳴り渡る
薄暗い階段上のオプンテラス
窓辺を彩るシャイニングガル
ぼんやりした顔今日もサランヘ
ペルが鳴る
ペルが鳴り響く
始まりを告げる鐘 終わりを告げる鐘
白の上の足跡にシネマトゥ通りは────
「なーんかデートしてるみたいな歌だねー」
「そうね、恋人同士の歌」
「ふふ、ヌナも作って貰ったりしたー!?」
「なぁに!?シヌに!?」
「そうそう!テギョンヒョンみたいにさぁ」
クスクス笑うユナの隣で、ギターを弾いているシヌを指差したジェルミの背中に向かって舌打ちをしたテギョンは、ステージを一瞥して後ろを向いた。
「チッ!リンの奴・・・あの楽譜の練習をしたんだな・・・ミニョめ・・・上手く歌いやがって・・・」
「ねー、ヒョン!なーに拗ねてるのさーミニョとユンギヒョンのデュエット聞こうよー」
舌打ちに振り返ったジェルミがテギョンを見つめ、ギロリと動いた瞳に軽く笑ってまたステージを見ている。
「拗ねてる!?俺が!?俺は拗ねているのか!?・・・・・・・・・いや、今日は拗ねる必要はない・・・アボジがいる・・・約束は最大限有効だ」
ニヤリ笑うテギョンは、ニンマリ口角をあげてまたグラスを煽り、瞳を閉じてククと笑って、後ろを向いた。
「ジェルミssiもデュエットをするのでしょう!?」
「うん!アルバムは、もう録ったんだ!コンサートで歌うからミニョと練習してる!!ヌナも来てくれるんでしょう」
「ええ、シヌが招待してくれたから見に行くわ!A.N.Jellも復帰後、久しぶりの大きなコンサートでしょう!ここにいる殆どが行くみたいよ」
ディスコボールの反射した光が、色を変えて会場に降り注ぎ、歓談をしている老若男女の大きな拍手に歓声が混じっている。
「ユンギー!良いなぁ!美女との共演!最高だぞー」
「素敵だったわー」
「アンコールはないのー」
「もっと聞かせろー」
「ユンギー売れよー!コ・ミニョとのデュエットなら買うぞー」
若い声が幾つも飛び交い、ステージに立つユンギは、ミニョの手を取って膝をついた。
「ありがとうミニョssi!テギョンには、怒られそうだけど!最高の誕生日プレゼントです」
「えっ!?あ、ああー、えっと・・・わたしも共演出来て嬉しかったです!やっぱり、お上手です・・・ね・・・ヴォーカルは為されないのですか!?」
「ええ、昔、ミナの母親にめちゃくちゃけなされましたからね!俺の書く曲は、女性の方が合うって言ってましたからね」
「え、あ、そう・・・なのですか・・・あ、でも・・・」
ミニョの口は、また開きかけたが、肩に手を乗せたギョンセに振り返り、ユンギも立ち上がってヒジュンからマイクを受け取っている。
「皆さん!今日は、本当にありがとうございます!記念日を祝って貰って、一緒に祝えて感謝します!また一つ歳をとるので、すこーしだけ!オンマ離れをしようかなと思いますが!まだまだ未熟者です!新曲を出すから、そっちを買えよー」
明け透けなく好意と賞賛を現したユンギは、破顔し、マイクを手に招待客に手を振っていて、会場が大きな笑いに包まれた。
「アボニム!?」
「やぁ、ミニョ、お疲れ様!リンも!楽しかったかい」
ステージを降りたミニョは、お腹に両手を回して一生懸命、深呼吸をしているリンの髪を撫でている。
「ハラボジー!緊張したのー」
振り向いたリンは、両手を拡げ、腕を伸ばしたギョンセの胸に収まり、顔を寄せて頬を合わせた。
「楽しかったですが・・・この曲・・・」
「アレンジさせろとリンに送った譜面で練習したんだろう」
リンの頬ずりにくすぐったそうに顔を歪めたギョンセは、小さなお尻を軽く叩いている。
「ええ、リンがずっと弾いていて、歌う様にお願いされたので何度か・・・」
負けじと頬を擦りつけているリンにギョンセが笑い、ミニョがリンに首を振った。
「テギョンに何か言われたかい」
「いえ、特には・・・オッパは、これを知っていらしたみたいですけど」
首を振るミニョにギョンセの首に腕を回しているリンは唇を突き出している。
「ああ、昔、わたしが良く弾いていたからね」
「ギョンセssiがですか!?」
ミニョの面食らった表情にリンの顔を見たギョンセは、クスリと笑った。
「テギョンは、これをファランと私の思い出の歌だと思っていたみたいだけどね」
「そうなのですか!?」
「ああ、これは、ユンギ君の・・・イ・ソンジンという古い友人が作った歌で、彼は・・・彼も音楽の道を進みたかった人だった・・・この一曲だけで、他には何も残っていないんだ・・・父から子への・・・時代を超えた誕生日プレゼントかな」
「まぁ、じゃ、とっても素敵なプレゼントなのですね!」
両手を合わせたミニョは、嬉しそうに微笑んだが、頭の上で動いた影にゆっくり振り返ったのだった。
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あんにょん|д゚)
こっそり、こそこそ、気が付きゃ4月ーーーーーーーーーーー|д゚)
年度替わりですねー・・・消費税UP・・・駆け込み需要・・・と
仕事によっても切り替わりの時期も異なるし、対応に追われた皆様ひとまず、
スゴハショッソヨーお疲れ様です。
まだまだ、終われないよー(^^;続くよー(;^ω^)という方
ファィティーン頑張ろう。
ちゃんと社会保障に使われると良いね('_')
さて、ロッテ免税店の短編映画が少しづつ公開されてますね(^^♪
やっぱり、この二人落ち着く( *´艸`)
[LOTTE DUTY FREE] DREAM JOURNEY IN #1
こっちもどうぞ!
[ロッテ免税店] 2014 NEW DREAM JOURNEY_JPN
動画はお借りしています。