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「オッパー・・・早く行かないと・・・パーティー始まってますよ・・・」
ソファに座ったミニョは、調度品として置かれた暖炉を眺めて首を傾げていた。
「五月蠅い!誰のせいでこんなにイラついてる!」
不思議顔で立ち上がったミニョは、首を傾げたまま近づき、肩の高さにある置物を手に取っている。
「知りませーん・・・オッパがイライラするのは、性格の問・・・」
手にしたうさぎのぬいぐるみを持って、にこにこ振り返ったミニョは、屈みこんでミニョを覗いているテギョンにヒクリと喉を震わせた。
「もうい・ち・ど!言ってみろっ!」
「えっ!?あ、えー・・・そ・・・」
ぬいぐるみを持ち上げてゆっくり顔半分を隠したミニョは、上目遣いの瞳でニヤニヤしているテギョンを見つめ、小さく苦笑いを返している。
「イラつかせたのは、だ・れ・だ!?」
「わっ、わたしじゃないですっ!」
勢いよく降ろした手からぬいぐるみが、暖炉に放り込まれ、あ、と口を開け、困り顔になったミニョの肩の上に両手を置いたテギョンは、俯いて片手で顔を覆った。
「ぷ・・・ク、クク、あは、ミ、ニョ・・・お前、やっぱり俺を怒らせたいらしい」
「そ・・・そんなつもりはぁ・・・」
肩を震わせて笑い、ミニョの気にしている暖炉前にしゃがみ込んだテギョンは、ぬいぐるみを拾ってミニョの手に押し付けている。
「ああ、そうか、妻を辞めるんだったな!なら、俺も辞めるか」
「えっ!?やっ、辞めるなんて言ってなっ、お、おおおおオッパー」
肩を抱いたテギョンに促されたミニョは、ぬいぐるみを抱きしめ、慌てて横を見上げた。
「妻が犠牲になるんだろう・・・だったら、俺も辞めよう」
「なっ!?何・・・を」
「・・・ああ、けど、プモ(両親)は、犠牲にならないから・・・」
おろおろきょとんと見上げるミニョをソファに座らせたテギョンは、くるりと背中を向けて続き部屋に入り腰を浮かせたミニョは、振り返っている。
「おおおお、あ、あ、あ、ア、アッパを、辞めたらダメっ!!!ダメでっすっ・・・」
「なんだかんだいってもあいつは俺の子だし・・・俺の方が・・・」
「だ、だ、だ、ダメですっ!や・・・」
はっきり聞こえる独り言を口にしながら、ジャケットを手にネクタイを首にかけて戻って来たテギョンは、ミニョの前を素通りして鏡の前に立った。
「妻は、犠牲になっても良いが、オンマは、辞められないと言ってたなぁ・・・」
「どっちも辞めませんっ!!」
ぬいぐるみをソファに放り投げ、バタバタとテギョンの横に立ったミニョは、袖口に縋り、ぶんぶんと首を横に振っている。
「それで良いのか!?」
ニヤリと口角をあげたテギョンを恨めしそうに見上げるミニョは、何度も首を縦に振った。
「・・・い、良いというか・・・オッパにご迷惑をかけるのは、覚悟してましたし・・・今だって、オッパは大変なのに・・・わたしまで面倒を見てもらうのですから・・・」
「覚悟が必要なのは俺だろう・・・だいたい、お前の面倒は、ずっーっと見てるっ!」
俯いたミニョに眉間に皺を寄せ溜息を吐いたたテギョンは、下から顔を覗き込んでいる。
「と、とにかくっ!どっちも辞めないですっ!どっちって聞かれたからぁ」
「妻って答えた訳だ」
肘を曲げて顎をあげたテギョンに微笑んで腕を回したミニョは、大きく頷き、脚付きの腰高テーブルに置かれたハンドバッグに腕を伸ばした。
「ま、勝手に辞めさせないけどな!リンは、俺も見てるから」
「辞めないです!妻だってちゃんとやります!オッパのお役にたちます!」
「妻って役に立つのか!?」
「役に立たないのですか!?」
顔を見合わせ廊下に出たふたりは、カードキーを差し出したテギョンからミニョが受け取りハンドバックに仕舞い込んで歩き始めた。
「ま、お前がいるのといないのじゃ、俺の気分の問題だよな」
「わたしは、オッパの奥さんになれて嬉しかったですけど・・・」
「他の男に口説かれるよりは、俺のだと宣言してるものだから必要か・・・」
「オッパ!何のお話ですか!!ものじゃないですし!」
エレベーター前でピッタリ止まったテギョンを睨みあげたミニョは、ボタンを押しているテギョンのニンマリした顔に頬を染めている。
「お前を愛してるって話だろ・・・妻は、辞めさせない!」
「辞めないです・・・辞めたくない・・・ファン・テギョンの傍にいたいですっ」
「甘えるのが上手くなったな!」
「オッパが教えてくれたのです!」
ぎゅっと腕に力を込めて組み直したミニョの手に軽く触れたテギョンは、微笑んで頬にキスを落としエレベーターに促した。
「はぁぁ・・・お前に自覚がないのが怖いんだよな・・・お前のペンは、あんなに残ってるし・・・妻を辞めるとか公共の電波で話すし・・・」
「辞めないですってば!オッパの奥さんになりたかったのですから!」
狭いエレベーターで溜息を吐くテギョンにぷっくり膨れたミニョがグッと顔を近づけ、壁に追い込まれたテギョンは、ぎょっとしている。
「そ・・・そう」
「はい!オッパが許可してくれたから!復帰もです!許可してくれたから!でも!オッパの奥さんです!!」
間抜けな返事をするテギョンにミニョは得意顔で正面を向き、両の拳を握って頷いた。
「俺が一番か!?」
「はい!オッパが一番です!」
ミニョの背中からそろりと腕を伸ばしたテギョンは、肩を抱き、肩越しに振り返るミニョにニヤリと片頬をあげている。
「リンは!?」
「!?比べるものじゃないです・・・」
「チッ!失敗か・・・」
のほほん顔と声で首を傾げたミニョを見下ろしたテギョンは、大きな舌打ちと共に顔を背け、悔しそうに唇を突き出した。
「オッパは、リンのアッパですから、リンがオッパに似てるのです!」
「そりゃ、俺の子だからな・・・似なくて良いところばかり似てる」
「可愛いですよねー!オッパの子供時代を見てるみたいでー」
開いたエレベーターに賑やかな声が届き、また肘を曲げたテギョンの腕を取ったミニョは、にっこり微笑んでいる。
「お前・・・そんなつもりでリンを育てているのか」
「違いますよー、ただ、ギョンセssiが、オッパと同じだなぁとおっしゃってました」
数歩歩き、立ち止まって真顔で聞き返したテギョンに絨毯で足をもつれさせたミニョは、グラリと揺れた。
「お、おオッパみたいになるかもっ、なぁ・・・って」
「夢を見すぎだっ!ったく、年寄り共め、夢が多くて困るな」
テギョンに支えられて肩を撫で下ろし、はにかむミニョにテギョンが小さく微笑み、パーティ会場の入り口に立っている案内係も笑っている。
「解らないですよぉ」
「ふ・・・ん・・・スターなんて簡単になれるもんじゃない!」
「でも、オッパは、応援してくれるのでしょう」
「リンがやりたいって言ったらな!今は、ステージに立つ夢を叶えてやる」
「ふふ、だから、オンマを頑張ります!」
「妻を犠牲にしてか!?」
「違いますっ!」
ラジオで話した軽い一言に尽きない痴話喧嘩を続けながら、ユンギの誕生日パーティーに向かった二人だった。
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これで、2013年の更新終わります!(^^)!
相変わらず終了の出来ていないお話が数本ございますのよねん(;^ω^)
お運び頂いている皆様には申し訳ないと思いつつ・・・
このお話も夏の話なのに終われなかったという・・・(^_^;)
笑っておこうwww(←悔し紛れ(^▽^;))ミアネヨー|д゚)笑う門には福が来るさぁーww
皆様は、この一年どんな年でしたでしょう(^◇^)山も谷もあり、新しい出会いもありました!
今年も(そこ(^J^)突っ込まない(笑))”コメント”や”メッセ”も沢山感謝!
気ままなブログへのお付き合いをありがとうございました(^_-)-☆
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